FDAがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫にglofitamab-gxbmを承認
米国食品医薬品局(FDA)
2023年6月15日、米国食品医薬品局(FDA)は、2ライン以上の全身療法後の再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫非特定型(DLBCL, NOS)および濾胞性リンパ腫に由来する大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)に対しglofitamab-gxbm(販売名:Columvi、Genentech社)を迅速承認した。
二重特異性CD20指向性CD3 T細胞エンゲージャーであるglofitamab-gxbmの有効性の評価は、132人の患者を対象とした非盲検多施設共同単群試験であるNP30179試験(NCT03075696)において行われた。試験参加者の80%は再発または難治性のDLBCL, NOSであり、20%は濾胞性リンパ腫に由来するLBCLであった。また、少なくとも2ライン以上の全身療法を受けていた(中央値3、範囲2〜7)。本試験では、活動性の中枢神経系原発リンパ腫または中枢神経病変を有するか、またはその既往のある患者は除外された。
主な有効性評価指標は客観的奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)であり、Lugano分類(2014)に基づき独立審査委員会により決定された。ORRは56%(95%CI:47、65)で、43%が完全奏効を達成した。治療が奏効した患者の推定追跡期間中央値は11.6カ月で、推定奏効期間(DOR)中央値は18.4カ月(95%CI:11.4、推定不能)であった。治療開始後9カ月時点におけるDORのカプランマイヤー推定値は68.5%(95%CI:56.7、80.3)であった。奏効までの期間の中央値は42日であった。
添付文書には枠組み警告として、重篤または死亡のおそれがあるサイトカイン放出症候群(CRS)が記載されている。また警告および使用上の注意の項目には、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)を含む神経毒性、重篤な感染症、腫瘍フレアが含まれる。安全性を評価した再発または難治性LBCL患者145人のうち、CRSが70%(グレード3以上のCRSは4.1%)、ICANSが4.8%、重篤な感染症が16%、腫瘍フレアが12%に発現した。
臨床検査値異常を除いて特に多くみられた副作用(発生頻度20%以上)は、CRS、筋骨格痛、発疹、疲労であった。特に多かったグレード3~4の臨床検査値異常(発生頻度20%以上)はリンパ球減少、リン濃度低下、好中球数減少、フィブリノゲン低下、および尿酸上昇であった。
1サイクル目の初日にオビヌツズマブ1,000 mgを単回投与し、血液中およびリンパ組織のB細胞を減少させた後、glofitamab-gxbmを点滴静注にて漸増投与する(1サイクル目の8日目に2.5 mg、15日目に10 mg)。その後、最長12サイクルまで各サイクルの初日にglofitamab-gxbm 30 mgを投与する。各サイクルの期間は21日である。投与の詳細情報は、全処方情報を参照のこと。
Glofitamab-gxbmは、CRSを含む重篤な反応を管理するために、適切な医療処置を行うことができる医療従事者によってのみ投与されるべきである。CRSのリスクを考慮し、患者は漸増投与の初回(1サイクル目の8日目に2.5 mg)投与中および投与後24時間は入院する必要がある。また、2.5 mgの投与でグレードに関わらずCRSが発現した患者は、2段階目の投与時(1サイクル目の15日目に10 mg)も投与中および投与後24時間の入院を要する。それ以降の投与では、前回の投与でグレード2以上のCRSが発生した患者は、投与中および投与後24時間の入院が必要である。
Columviの全処方情報はこちら。
- 監訳 吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫兵庫医科大学)
- 翻訳担当者 高橋 多恵
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- 原文掲載日 2023/06/16
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