限局したステージのホジキンリンパ腫患者において放射線療法が必ずしも必要ではないと臨床試験で報告される

キャンサーコンサルタンツ
2010年3月

ダナファーバー癌研究所の研究者らは、「限局したステージで巨大腫瘤がない(nonbulky)ホジキンリンパ腫」に対する6サイクルのABVD療法が有効かつ安全であり、若年患者における放射線毒性を回避できる可能性があることを報告した。この研究の詳細はJournal of Clinical Oncology誌の2010年3月20日号に掲載されている。[1]

限局したホジキンリンパ腫の治療は化学療法あるいは放射線療法単独、あるいは化学療法と放射線療法を組み合わせて行われる。より多くの患者をより少ない副作用で治療できる至適治療法はまだ確定していない。カナダ国立癌研究所とECOG(Eastern Cooperative Oncology Group)臨床試験団体は今までに、限局期ステージIA-IIAのホジキンリンパ腫では化学療法に放射線療法を上乗せすることの有益性がないという報告を行ってきた。ホジキンリンパ腫治療における現在の目標は、特に放射線治療に由来する長期毒性を減らすことである。

本試験では71人のホジキンリンパ腫患者(平均年齢:29歳、範囲:17-44歳)が組み入れられた。全ての患者が巨大腫瘤がない(non-bulky)ステージIA-IIAの患者であり、6サイクルのABVD(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)療法を受けた。フォローアップの中央値は60カ月であった。

•100%の完全寛解がみられた
•6件の再発がみられたが、化学療法/放射線療法の2次治療および自家幹細胞移植により治癒した。

コメント: この結果は今までのデータ(放射線治療はステージI-II ホジキンリンパ腫の治癒において必須ではない)を裏づけている。

参考文献:
1 Canellos GP, Abramson JS, Fisher DC, et al. Treatment of favorable, limited-stage Hodgkin’s lymphoma with chemotherapy without consolidation by radiation therapy. Journal of Clinical Oncology. 2010;28:1611-1615.


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翻訳担当者 鈴木暁子

監修 吉原 哲(血液内科/兵庫医科大学病院)

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