ゼヴァリン®とベキサール(Bexxar®)の使用は予想を下回るとの報告

キャンサーコンサルタンツ
2007年7月

2007年7月14日付けのニューヨークタイムズ紙で、Alex Berensonは、「市場原理の圧力」によって非ホジキンリンパ腫治療薬のZevalin(ゼヴァリン)(Y90 ibritumomab tiuxetan:イットリウム90 イブリツモマブチウキセタン)およびBexxar(ベキサール)(I131 tositumomab:ヨウ素131トシツモマブ)の使用が制限されていると報告した[1]。2007年4月4日号のJournal of the National Cancer Institute(JNCI)誌の記事の中で、Ken Graberはまさにこの点に言及していた[2]。

ゼヴァリンは、低悪性度リンパ腫のサルベージ治療もしくは第一選択治療に、そしてより進行した状況でのサルベージ療法に有効であることが分かっている。また、高用量化学療法レジメンと安全に併用することもできる。Bexxarもまた有効なサルベージ治療薬であり、初期治療にもしくは移植レジメンと組み合わせることも可能である。2002年および2003年のFDA承認を受けて、両薬剤の広範囲に及ぶ使用が予想された。

ニューヨークタイムズ紙によれば、2006年の販売量はゼヴァリン1,000回分およびBexxar600回分のみであった。これはこの2つの非常に効果的な医薬品に対して予想されていた販売量よりもはるかに少ないものであった。記事の中ではその主な理由として、ゼヴァリンおよびBexxarの両医薬品の使用に際しては線量測定と治療を行うために放射線腫瘍医もしく核医学専門医への紹介が必要となる、という点を挙げていた。かくして、癌専門医はリツキサン(リツキシマブ)などその他多くの利用可能な治療選択肢を引き続き使用する傾向が強いようである。この2つの薬剤の使用に携わる試験責任医師らも、紹介されるケースのほとんどは他の選択肢をほとんど使い果たした進行例の治療に対するものであった、と述べた。高価であることも広く使用されない理由の一つであるが、ゼヴァリンもしくはBexxar単剤の費用は、1コースのリツキサンとさほど変わらない。生存率データがないこともゼヴァリンもしくはBexxarがあまり使用されていない原因の一つであるが、フルダラ(フルダラビン)およびベルケード(ボルテゾミブ)では、生存率データが明らかにされていないことによる売上への影響はみられない。この記事はまた、ゼヴァリンやBexxarで治療された患者の多くは、その治療を受けるために担当の癌専門医を介さず直接、自ら診療を受けているということも指摘している。

ニューヨークタイムズ紙に書かれてある内容の主な情報源はJNCI誌の記事であると思われた。JNCI誌の記事では、売り上げ不振によりZevalinの販売促進が中止になったことにも言及していた。ゼヴァリンもしくはBexxarを使用しようとしているのは少数の医療センターのみであるとJNCI誌は指摘している。近い将来に売り上げが伸びなければ両薬剤は市場から消え去るかもしれない、と憶測された。

コメント

患者を癌専門医の直接的なケアの及ぶ範囲外に委ねなければならないということが、ゼヴァリンおよびBexxarがあまり使用されていない主な理由であろうと思われる。ゼヴァリンおよびBexxarの情報をリンパ腫患者に直接提供することが、使用を広める唯一の手段であるかもしれない。

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翻訳担当者 

監修 平 栄(放射線腫瘍医)

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