白血病(AML)とMDSに対する新たな低用量治療は標準治療と効果が同程度で毒性低い

アルバート・アインシュタイン医科大学

骨髄異形成症候群(MDS)と急性骨髄性白血病(AML)は密接に絡み合った疾患で、生存率が低く、主に高齢者に影響を及ぼす。現在の治療法は、重大な副作用を伴うことが多い。高齢の患者は輸血と複数回の入院が必要となることが多いが、これは血球数低下の監視と、免疫低下から生じる感染症治療のためである。その結果として、かなりの数の患者が治療を完遂できない。

米国国立がん研究所(NCI)指定のモンテフィオーレ・アインシュタインがんセンター(MECC)が、MDSおよびAML患者を対象に新たな治療計画を開発したが、これは標準治療よりも忍容性が高い一方で、それでも有効なものである。オンラインで本日、Clinical Cancer Research誌に発表された後ろ向き試験では、当センターの治療戦略は毒性がはるかに弱く、標準的な化学療法と少なくとも同等の効果があり、患者にとってより便利であることが判明した。これらの知見により、高齢MDSおよびAML患者の治療法が変わるかもしれない。

「高齢の患者は標準的な化学療法による副作用に苦しんでいますが、これは患者の生活の質に悪影響を及ぼし、家や病院外で過ごす時間を制限するものです」と、Mendel Goldfinger医師は言う。血液悪性腫瘍科の臨床プログラム長であり、アルベルト・アインシュタイン医学校の腫瘍および内科学部の准教授であるGoldfinger医師は次のように話す。「現在のがん治療法ではより一般的となっていますが、われわれは臨床効果を維持しながら、治療の毒性を弱めることができるかどうかを確かめたかったのです。有望な治療法を開発しましたので、より大規模な前向き臨床試験で確認したいと考えています」。

この後ろ向き試験では、2018年11月から2022年11月の期間に当がんセンターで治療を受けた急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、および慢性骨髄単球性白血病(CMML)の患者75人の転帰を評価した。患者のうち39人はMECCの治療法を、残りの36人は高齢患者に一般的に使用される標準治療法を受けた。

標準治療法では、化学療法薬デシタビンと、デシタビンの有効性を高める標的薬ベネトクラックスとの併用療法を利用した。1クールでデシタビンを5日間毎日と、ベネトクラックスを21日間以上毎日併用投与した後に休薬期間を取り、主たる有害な副作用である骨髄の造血作用低下から回復できるようにする。ベネトクラックスが経口薬であるのに対し、デシタビンは静脈内投与であるため、毎日点滴センターに通う必要がある。
 
当モンテフィオーレ・アインシュタインがんセンター(MECC)の治療法では、低用量で週1回のデシタビン療法とベネトクラックスの週1回投与が併用された。特筆すべき点として、デシタビンは皮下注射で投与されたが、患者は最寄りのがん専門医の診察室で投与を受けたために毎日の来院が不要となり、治療法を守りやすくなったことがあげられる。この治療法は、患者の正常な造血細胞に影響を及ぼすことなく、がん細胞を抑制できる必要最小限の用量投与を意図した。

総じてMECCでの治療法は標準治療と同等に有効でありながら、毒性はより弱かった。当MECCの治療法では、新規に診断された高齢AML患者で88%の奏効率(すなわち、疾患の減少または消失)を示したが、これは標準治療の転帰で観察された結果と同程度である。追跡期間の中央値である260日間(約9ヵ月間)、患者は標準治療と比較するとはるかに長い期間、MECC治療法を中断なく許容した。MECC治療群の患者はより高齢で体調もより悪かったにもかかわらず、治療期間中央値は126日(標準治療法群75.5日)であった。さらに、MECCの治療法を受けた患者の47%は輸血を必要としなかった一方で、標準治療法を受けた患者のうち輸血をせずに済んだのは26%のみであった。

著者らによれば、本試験に登録された患者の構成が白人44%、ヒスパニック32%、黒人19%、男性60%、女性40%であったことを考慮すれば、この結果は広く一般化できるはずであると述べている。

論文のタイトル:
A Metabolically Optimized, Non-cytotoxic Low Dose Weekly Decitabine/Venetoclax in MDS and AML.

論文の共著者は原文記事を参照のこと。

  • 監訳 喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)
  • 翻訳担当者 藤永まり
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  • 原文掲載日 2023/06/21

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