FDAが多発性骨髄腫にレナリドミド+Dex併用でカルフィルゾミブを承認

Oncology Approved Drug

2015年7月24日、米国食品医薬品局(FDA)は、1~3種類の治療歴のある再発した多発性骨髄腫の患者に対する治療として、carfilzomib[カルフィルゾミブ](商品名:Kyprolis[カイプロリス]、Amgen社の子会社、Onyx Pharmaceuticals, Inc.社)を、レナリドミドとデキサメタゾンとの併用で承認した。

本承認は、多施設共同、非盲検試験(PX-171-009 ASPIRE試験)で無増悪生存期間(PFS)の改善が示されたことに基づいたものである。本試験は、1~3種類の治療後に再発したまたは寛解しなかった多発性骨髄腫患者792人が参加した。患者は、レナリドミド+デキサメタゾンの2剤併用群またはこれにカルフィルゾミブを併用した3剤併用群に1:1で無作為に割り付けられ、いずれも18サイクルの投与が実施された。その後、レナリドミドとデキサメタゾンは増悪が認められるまで継続された。2剤併用群からカルフィルゾミブを追加する3剤併用群へのクロスオーバーは計画されなかった。

独立した審査委員会により、無増悪生存期間の統計的に有意な延長が示された[ハザード比0.69(95%信頼区間:0.57~0.83);p=0.0001、層別化ログランク検定]。無増悪生存期間の中央値は、3剤併用群26.3カ月に対し、2剤併用群17.6カ月であった。治療効果はいずれのサブグループでも観察されたが、効果の程度は、試験開始時の腫瘍量が多い患者で減弱していた[無増悪生存期間中央値での改善:ISS(国際病期分類)ステージIで11カ月、ステージIIで8カ月、ステージIIIで2カ月]。

主要な副次的評価項目である全生存期間(OS)の中間解析が同時に行われた。その結果、両群での全生存期間の差は、事前に設定された統計的有意性の境界値に到達しなかった。部分寛解以上を達成した患者は、3剤併用群では87%、2剤併用群では67%であった。

3剤併用療法におけるカルフィルゾミブの安全性に関するデータは、既知のものと同様であった。3剤併用群で2剤併用群より多くみられた有害事象は、心血管イベント、静脈血栓塞栓イベント(VTE)および血小板減少症であった。血栓予防薬の使用が義務付けられたプロトコールであったにもかかわらず、治療の1~12サイクルにおけるVTE発現率は、3剤併用群で13%、2剤併用群で6%であった。

改訂された薬剤ラベルには、VTE、心毒性、急性腎不全、肺毒性および高血圧に対する新たな警告と使用上の注意が追記された。また、高齢患者では死亡率など危険性が増加することも追記された。添付文書におけるカルフィルゾミブ単剤療法の安全性情報の詳細も更新された。

医療従事者は、カルフィルゾミブ単剤投与またはレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用投与における推奨投与スケジュールが改訂されたことに注意すべきである。

臨床試験情報、安全性、用法・用量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報は以下で入手可能である。

http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2015/202714s009lbl.pdf

翻訳担当者 大澤朋子

監修 野崎健司(血液内科/住友病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

骨髄腫に関連する記事

再発難治性多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン3剤併用療法は新たな選択肢となるかの画像

再発難治性多発性骨髄腫にベランタマブ マホドチン3剤併用療法は新たな選択肢となるか

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCO専門家の見解「多発性骨髄腫は 血液腫瘍の中では2 番目に多くみられ、再発と寛解を繰り返すのが特徴です。ダラツムマブ(販売名:ダラキューロ)、...
多発性骨髄腫の初期治療へのダラツムマブ上乗せ効果を示す試験結果の画像

多発性骨髄腫の初期治療へのダラツムマブ上乗せ効果を示す試験結果

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ新たに多発性骨髄腫と診断された患者を対象とした大規模ランダム化臨床試験で、標準治療レジメンにダラツムマブ(販売名:ダラキューロ配合皮下注)を...
意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果の画像

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果

ダナファーバーがん研究所意図せぬ体重減少は、その後1年以内にがんと診断されるリスクの増加と関連するという研究結果が、ダナファーバーがん研究所により発表された。

「運動習慣の改善や食事制限...
【米国血液学会(ASH)】 ルキソリチニブ+ナビトクラックス併用で骨髄線維症の脾臓容積が有意に減少の画像

【米国血液学会(ASH)】 ルキソリチニブ+ナビトクラックス併用で骨髄線維症の脾臓容積が有意に減少

MDアンダーソンがんセンターMDアンダーソン主導の第3相試験で脾臓縮小患者数が約2倍に希少な骨髄がんである骨髄線維症の中リスクまたは高リスクの成人患者に対して、JAK阻害剤ルキ...