カーフィルゾミブは新たに診断された多発性骨髄腫に対して有望

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試験薬カーフィルゾミブは、レブリミド (レナリドミド)と低用量デキサメタゾンと併用することで、新規診断多発性骨髄腫患者に対して、高い奏効率を示す。この第1/2相試験の結果は、米国血液学会2011年次総会で発表された。

多発性骨髄腫は、形質細胞の癌である。なお、形質細胞は、人体の免疫システムの一部である特別な種類の白血球である。多発性骨髄腫患者では異常形質細胞が多数増殖しており、これらの細胞は血中や尿中で検出可能な、正常に機能しない抗体を多量に産生することがある。

カーフィルゾミブは、プロテアソーム阻害剤として知られる分子標的薬の一種である。カーフィルゾミブは、再発性または難治性多発性骨髄腫患者に対して、良好な結果をもたらしている。また、早期多発性骨髄腫患者に対しても試験中である。カーフィルゾミブは、静注剤である。

新規診断多発性骨髄腫患者に対するカーフィルゾミブの効果を評価するために、同疾患の患者53人を対象にした第1/2相試験が実施された。全患者は、カーフィルゾミブ・レブリミド・低用量デキサメタゾン併用療法を受けた。

  • 患者の94%は、治療1サイクル目終了後、部分寛解(検出可能な骨髄腫細胞の一部減少)以上に至った。
  • 奏効率は、治療サイクルの増加とともに、上昇し続けた。治療を12サイクル以上受けた患者全員は、非常に良好な部分寛解以上に至った。
  • 追跡調査期間9.5カ月後、患者全員は生存していたが、1人のみは多発性骨髄腫が悪化(進行)していた。

これらの結果から、カーフィルゾミブ・レブリミド・低用量デキサメタゾン併用療法の新規診断多発性骨髄腫に対する効果が、示唆される。カーフィルゾミブは、様々な病期の多発性骨髄腫患者に対して、その効果が評価され続けることになる。

参考文献:

Jakubowiak AJ, Dytfeld D, Jagannath S et al. Final results of a frontline Phase 1/2 study of carfilzomib, lenalidomide, and low-dose dexamethasone (CRd) in multiple myeloma (MM)。 第53回米国血液学会年次総会(カリフォルニア州サン・ディエゴ市、2011年12月10~13日)で発表。抄録番号631。


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翻訳担当者 渡邊 岳

監修 林 正樹(血液・腫瘍内科/敬愛会中頭病院)

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