白血病AMLにおける遺伝子変異の関連性が新治療につながる可能性
あるタイプの急性骨髄性白血病(AML)における2つの遺伝子変異に関連性があることが、オハイオ州立大学総合がんセンター・アーサー・G・ジェームスがん病院・リチャード・J・ソロヴ研究所(OSUCCC - James)とニューヨークのメモリアル・スローン・ケタリング(MSK)がんセンターの研究者らによって明らかになった。この関連性は、AMLの新たな治療法につながる可能性があるという。
Journal of Clinical Investigation誌に掲載された本試験では、TP53遺伝子とTET2遺伝子の変異の結合によって血液細胞の形成が変化し、AMLの発症に関与することが示された。
「要するに、今回の試験結果は、TET2遺伝子とTP53遺伝子の変異に白血病を促進する関連性があることを示しており、この有害なAMLに対する免疫抑制作用を患者が克服するのに役立つ治療戦略が浮き彫りになったのです」と、本試験の共同責任著者の一人で、OSUCCC – Jamesの白血病および血液悪性腫瘍(LHM)プログラムの共同リーダーであるRosa Lapalombella博士は述べた。
試験デザインと結果
本試験では、ヒトAMLのマウスモデルとヒト患者を調べ、このAMLタイプにおける遺伝子の類似点を明らかにした。
研究者らは、異なる施設の2つのAML患者群を検討することにより、TP53遺伝子変異AML症例の10%がTET2遺伝子変異を併発しており、臨床転帰が極めて不良であることを特定している。
TP53遺伝子変異とTET2遺伝子変異を併発したマウスは、ヒトAMLに酷似した侵襲性の急性白血病を発症することが明らかとなり、ヒトAML患者と比較するための貴重なモデルとなっている。その他の試験結果は以下のとおりである:
• TP53/TET2遺伝子変異を有する前臨床モデルおよびAML患者では、がん細胞において白血病につながる可能性のある免疫シグナル伝達が高かった。
• TP53/TET2遺伝子変異を有する前臨床モデルでは、T細胞ががんと闘うのを阻止する抑制性の細胞がより多かった。
• TP53/TET2遺伝子変異を有する前臨床モデルおよびAML患者では、がん細胞上のCD155が高発現していた。
また、本試験では、CD155リガンドを阻害する抗体を用いることで免疫系のナチュラルキラー細胞がTP53/TET2遺伝子変異AML細胞を破壊する能力が高まり、白血病の腫瘍量が減少し、TP53/TET2前臨床モデルの生存期間が延長することが明らかとなり、ヒトAML患者に対する治療戦略の可能性が示された。
試験著者情報は原文を参照。
- 監訳 吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)
- 記事担当者 生田亜以子
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- 原文掲載日 2025/04/22
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