ASCO2020バーチャルがん科学会議、注目のトップ演題(5月29-31日)

がん患者、プレシジョン医療、および医療へのアクセスに対するCOVID-19の影響に関する最新研究を特集

米国臨床腫瘍学会(ASCO)は今年、最新のがん科学を新たにバーチャル形式で世界の腫瘍学関連団体に配信する。肺がん、大腸がん、卵巣がん、膀胱がんの免疫療法薬や分子標的療法薬における進歩、がん医療へのアクセスの改善、さらにはCOVID-19のがん患者に与える影響といったトピックも、ASCO2020バーチャル科学会議の公式プレスプログラムの注目トピックとなっている。

5月29~31日に開催されるASCO2020バーチャル科学会議で発表される学術コンテンツは、あらかじめ決定しているものや要望に応じたものを取り揃えた興味深いもので、手法、領域、および専門分野は多岐にわたる。今年の会議のテーマは「団結そして制圧:力を合わせ、進歩をさらに加速させる(Unite and Conquer: Accelerating Progress Together)」である。

ASCO2020バーチャル科学会議での発表として約2,215の演題が受理され、オンライン公開としてさらに3,400以上の演題が受理された。これらの演題の大半は、5月13日(水)午後5時(米国東部標準時)に abstracts.asco.orgで公開される。最も重要な全体発表(プレナリー)演題を含む当日発表演題(Late-Breaking Abstracts:LBA)は、5月28日(木)午後5時(東部標準時)にオンラインで公開される。完全報道解禁日程はオンラインで入手できる。

報道解禁前プレスキャスト:5月12日(火)午後1時~2時30分(東部標準時)
5月12日には、認定メディア向けの報道解禁前プレスキャストがバーチャルで行われ、以下の研究を紹介する(報道解禁は5月13日午後5時[東部標準時])。

・Affordable Care Act(医療費負担適正化法)の採用後、メディケイド(米国公的保険)適用拡大を行った州と行わなかった州のがん死亡率に関する初の全国規模の研究。(アブストラクト2003)

・プラチナ製剤感受性再発性卵巣がん患者のうちBRCA変異を有する患者を対象として、PARP阻害薬オラパリブによる維持療法後の生存期間を評価する第3相試験。(アブストラクト6002)

・がん患者を遠距離でケアする介護者の不安と苦痛を軽減するためにテレビ会議の利用を検討した無作為化比較試験。(アブストラクト12123)

・禁煙実施が肺がんと診断される直前であっても生存に効果があるかどうかを検討した国際研究。(アブストラクト1512)

・高齢者医療の評価や管理をがん診療へ統合後、高齢患者の生活の質を調査した前向き研究。(アブストラクト1202011)

報道解禁前プレスキャスト:5月26日(火)午後2時~3時30分(東部標準時)
5月26日には、メディア向けの報道解禁前プレスキャストがバーチャルで行われ、以下の研究を紹介する(報道解禁は5月28日午後5時[東部標準時])。

・COVID-19に感染したがん患者の死亡率と重症度、およびアジスロマイシンとヒドロキシクロロキンの使用に関して検証している’COVID-19とがんコンソーシアム’(COVID-19 and Cancer Consortium: CCC19)のデータ。(アブストラクトLBA110)

・COVID-19の胸部がんを対象に、特定のがん治療が転帰にどう影響するかを検討した最新の国際研究。(アブストラクトLBA111)

・特定の進行大腸がん患者を対象に、一次治療としてペムブロリズマブと標準治療とを比較した第3相KEYNOTE-177試験。(アブストラクトLBA4、プレナリーセッション)

・腫瘍の完全切除に続く補助化学療法を受けたEGFR変異を有する 限局性非小細胞肺がん患者を対象に、 術後補助療法としての分子標的薬オシメルチニブの有効性を評価す る第3相試験。( LBA5、プレナリーセッション)

・進行膀胱がん患者を対象に、一次治療に白金製剤での化学療法を実施後アベルマブでの免疫療法による維持療法を検討した第3相中間解析。(アブストラクトLBA1、プレナリーセッション)

・化学療法抵抗性の妊娠性絨毛腫瘍患者を対象に、アベルマブを検討する第2相試験。(アブストラクトLBA6008)

・予後不良の小児がんに対するプレシジョン医療の利用を検討するINFORM試験。(アブストラクトLBA10503)

翻訳担当者  松谷香織

監修 廣田 裕(呼吸器外科、腫瘍学/とみます外科プライマリーケアクリニック)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

卵巣がんに関連する記事

一般的な卵巣がんに対する特殊なナチュラルキラー細胞の有効性が非臨床で示されるの画像

一般的な卵巣がんに対する特殊なナチュラルキラー細胞の有効性が非臨床で示される

研究タイトルメソセリンの膜近位領域を標的とするCARメモリー様NK細胞が卵巣がんに有望な活性を示す掲載誌Science Advances誌著者(ダナファ...
一部の早期婦人科がんにペムブロリズマブ+化学放射線や抗Claudin6抗体薬物複合体が有益の画像

一部の早期婦人科がんにペムブロリズマブ+化学放射線や抗Claudin6抗体薬物複合体が有益

ESMO 2024で報告された研究により、現在の標準治療に免疫療法を追加することで臨床的に意味のある利益が得られる早期の子宮体がん(子宮内膜がん)(1)および子宮頸がん(2)の新たな患...
【ASCO2024年次総会】進行卵巣がんにリンパ節郭清が不要である可能性の画像

【ASCO2024年次総会】進行卵巣がんにリンパ節郭清が不要である可能性

ASCOの見解(引用)「このランダム化第3相臨床試験は、進行卵巣がんの手術を受ける患者が、原発巣からの転移がないと思われるリンパ節の追加切除を安全に回避できる可能性を示していま...
デリケートゾーン用タルクの使用は卵巣がんリスク上昇と関連の画像

デリケートゾーン用タルクの使用は卵巣がんリスク上昇と関連

ASCOの見解「本研究は、インティメイトケア製品、特にデリケートゾーン用タルクに関連する潜在的リスクを強調している。このような製品が、特に頻繁に使用する人や20代や30代で使用...