FDAが卵巣がんの化学療法との併用でベバシズマブを承認

FDAが卵巣がんの化学療法との併用でベバシズマブを承認

2018年6月13日、米国食品医薬品局(FDA)は、初回の外科的切除後のステージ3または4の上皮性卵巣がん、卵管がんまたは原発性腹膜がん患者に対して、カルボプラチンおよびパクリタキセルとの併用、さらにその後の単剤治療薬としてベバシズマブ(商品名:アバスチン、Genentech, Inc社)を承認した。

今回の承認はGOG-0218試験(NCT00262847)に基づくものである。この試験は、初回の外科的切除後のステージ3または4の上皮性卵巣がん、卵管がんまたは原発性腹膜がん患者を対象として、カルボプラチンおよびパクリタキセルにベバシズマブもしくはプラセボを併用投与し、評価した多施設二重盲検、プラセボ対照3群ランダム化比較試験である。患者(1,873症例)はランダム化により3等分され、最長6サイクルのカルボプラチンおよびパクリタキセル投与のみの群、カルボプラチンおよびパクリタキセルにベバシズマブを併用投与した群、6サイクルのベバシズマブ、カルボプラチンおよびパクリタキセル投与に続く最大16回のベバシズマブ単剤投与群の3群に割り付けられた。ベバシズマブは3週間毎に15 mg/kgが静脈内投与された。この試験では患者1,215人がベバシズマブを少なくとも1回投与された。

主要有効性評価項目は研究者が評価した無増悪生存期間(PFS)であり、全生存期間(OS)は副次的評価項目とした。化学療法とベバシズマブの併用投与後にベバシズマブ単剤投与を受けた患者では、PFS推定中央値は18.2カ月であった(ハザード比(HR)0.62; 95%信頼区間(CI): 0.52~0.75; p<0.0001)。化学療法後のベバシズマブ単剤投与を受けずに化学療法実施中のみベバシズマブ併用投与を受けた患者では、PFS推定中央値は12.8カ月であった(HR 0.83; 95% CI: 0.70~0.98; 有意差なし)。ベバシズマブ投与を受けずに化学療法のみ(プラセボ併用)を受けた患者では、PFS推定中央値は12.0カ月であった。OS推定中央値は、化学療法のみ受けた患者では40.6カ月であったのに対して、化学療法実施中にベバシズマブを併用投与後にベバシズマブ単剤投与を受けた患者では43.8カ月であった(HR 0.89; 95%CI: 0.76~1.05)。

GOG-0218試験でベバシズマブ投与を受けた患者に高頻度(患者の5%以上)にみられた有害反応は、下痢、悪心、口内炎、疲労、関節痛、筋力低下、四肢痛、構音障害、頭痛、呼吸困難、鼻出血、鼻粘膜障害および高血圧であった。対照群に比べて2つのベバシズマブ投与群のどちらかに高頻度(患者の2%以上)にみられたグレード3~4の有害反応は、疲労、高血圧、血小板数減少および白血球数減少であった。

初回の外科的切除後のステージ3または4上皮性卵巣がん、卵管がんまたは原発性腹膜がんに対するベバシズマブの推奨用量は、カルボプラチンおよびパクリタキセルと併用して15 mg/kgを3週間ごとに最長6サイクル投与後、3週間ごとに合計最長22サイクルの15 mg/kgの単剤投与である。ベバシズマブ(商品名:アバスチン)の全処方情報に関してはこちらをご覧ください。

FDAは本適応に対するベバシズマブをオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)として指定した。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、企業向けガイダンス、重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 木村素子

監修 喜多川 亮(産婦人科/東北医科薬科大学病院)

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