米FDAが更年期ホルモン補充療法製剤の「枠囲み」警告の削除を開始

米FDAが更年期ホルモン補充療法製剤の「枠囲み」警告の削除を開始

更年期ホルモン療法(ホルモン補充療法とも呼ばれる)は、ホットフラッシュや寝汗といった更年期障害によく見られる症状の緩和を目的として承認されている。これらの薬剤に伴うリスクに関する「枠囲み警告」(米FDAが削除予定)のため、更年期障害の症状を緩和し、女性の健康状態を改善する承認済みの治療法が十分に活用されてない可能性がある。

ホルモン補充療法について

  • ホルモン補充療法は、ホットフラッシュや寝汗(血管運動症状とも呼ばれる)などの一般的な更年期症状、およびエストロゲンの減少によって引き起こされる膣、外陰部、尿路の変化による症状(外陰膣萎縮症または更年期泌尿生殖器症候群とも呼ばれる)の緩和を目的としてFDA(米国食品医薬品局)の承認を受けている。一部のホルモン補充療法製品は、骨粗鬆症(骨が弱くなる病気)の予防にも承認されている。
  • 閉経後10年以内にホルモン補充療法を開始すると、多くの女性にとって潜在的なリスクを上回る多くのメリットが得られることが研究で証明されている。ベネフィットには、全死亡(※下部の論文抄録を参照)や骨折のリスク低減が含まれる。ホルモン補充療法は、心臓発作リスクの50%低下認知機能低下の64%低下アルツハイマー病リスクの35%低下との関連性も認められている。
  • 女性26,708人を対象とした30件の試験を分析した(※下部抄録訳)結果、ホルモン補充療法とがん死亡率上昇との関連性は認められなかった。実際には、60歳未満でホルモン補充療法を開始した女性では、死亡リスク低下の傾向が認められた。

「枠囲み」警告の削除

  • FDAは、女性が医療提供者と相談しながら健康のために最善の決定を下せるよう、これらの薬剤のベネフィットとリスクに関する最新かつ正確でバランスのとれた情報を提供するよう企業にラベルの更新を要請している。
  • 具体的には、FDAは、心血管疾患、乳がん、認知症のリスクに関する記述を削除するため、製品ラベルの文言を更新するよう企業に働きかけている。FDAは、全身性エストロゲン単独製剤における子宮内膜がんに関する枠囲み警告の削除は求めていない。
  • ホルモン補充療法の開始時期と使用期間は処方医と個々の患者の間で決定されるが、FDAは、閉経後10年以内、または全身ホルモン補充療法の場合は60歳までにホルモン補充療法を開始することを推奨している。
  • この措置は、閉経開始から10年以内にホルモン補充療法を開始した若い患者集団のデータの再分析を含む、FDAによる現在の関連文献の評価に従って行われたものである。
  • FDAは最近、更年期障害やホルモン欠乏に関連するさまざまな症状の治療に使用されるエストロゲンの複合混合物であるプレマリン(結合型エストロゲン)錠剤のジェネリック版を承認した。
  • FDAは、ほてりなどの中度から重度の血管運動症状の治療に非ホルモン薬も承認している。

※ 若年女性と高齢女性のホルモン補充療法と関連する死亡率:メタ分析
抄録

目的: 若年および高齢の閉経後女性を対象にホルモン補充療法と関連する死亡率を評価すること。
 
デザイン: 1966年から2002年9月までのホルモン補充療法に関するランダム化比較試験を同定するため、MEDLINE、CINAHL、EMBASEデータベースを包括的に検索した。この検索では、2003年4月までの一部の学術誌と、同定された論文の参考文献を精査することで補完した。対象は、試験期間が6カ月を超えるランダム化試験のうち、ホルモン補充療法とプラセボまたは無治療を比較し、少なくとも1件の死亡例が報告されている試験とした。
 
評価項目: 評価対象は、総死亡数および心血管疾患、がん、その他の原因による死亡数であった。総死亡率および原因別死亡率のオッズ比(OR)は、治療開始時の参加者の平均年齢が60歳未満と60歳を超える試験に分けて報告された。
 
主な結果: 26,708人を対象とした30件の試験の統合データでは、ホルモン補充療法に関連する全死亡率のオッズ比(OR)は0.98(95%信頼区間[CI]、0.87~1.12)であることが示された。ホルモン補充療法は若年層では死亡率を低下させた(OR 0.61、CI 0.39~0.95)が、高齢層では低下させなかった(OR 1.03、CI 0.90~1.18)。全年齢層を合わせると、治療は心血管疾患またはがんによる死亡リスクに有意な影響を与えなかったが、その他の原因による死亡率は低下させた(OR 0.67、CI 0.51~0.88)。
 
結論: ホルモン補充療法は、参加者の平均年齢が60歳未満の試験において全死亡率を低下させた。平均年齢が60歳を超える試験では、死亡率の変化は認められなかった。

  • 監修 喜多川 亮(産婦人科/総合守谷第一病院 産婦人科)
  • 記事担当者 仲里芳子
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  • 原文掲載日 2025/11/10

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