Bonefos(ボネフォス)は、転移性前立腺癌で生存率を向上させる

キャンサーコンサルタンツ
2009年8月

英国の研究によれば、Bonefos(ボネフォス)(クロドロン酸ナトリウム)は、転移性前立腺癌男性患者において、死亡リスクを23%減少する。この研究の詳細は、Lancet Oncology誌のオンライン版に2009年8月11日掲載された。[1]

Bonefos(ボネフォス)は、経口ビスフォスフォネートの一種で、主に乳癌患者の治療に用いられる。Bonefos(ボネフォス)のようなビスフォスフォネート剤は、多発性骨髄腫による骨病変を有する患者の治療に有益である。また、ビスフォスフォネートは、高カルシウム血症における骨溶解性の合併症、骨折、乳癌患者における骨転移に伴う疼痛を有意に緩和する。さらにビスフォスフォネートは、他部位への転移性疾患を有する女性患者の骨転移を減少させる可能性、骨髄への転移拡大を妨げる可能性もある。

Bonefosの前立腺癌男性患者に対する効果を評価するため、二つのランダム化対照試験が英国で行われた。医学研究評議会(MRC)PR05試験は、1994年から1998年の間に集められた278人の転移性前立腺癌の成人男性患者を対象とした。MRC PR04試験は、1994年から1997年の間に集められた471人の非転移性前立腺癌の成人男性患者を対象とした。経口用Bonefosとプラセボを被験者に無作為に割りつけ、転移癌患者には3年間、非転移性癌患者には5年間投与した。

長期全生存率を、国立健康情報センターのデータを使って評価した。試験結果から、転移性前立腺癌男性患者は、Bonefosで治療した場合有意に長く生存したことがわかった(HR=0.77)。しかし、非転移性癌患者では同じ効果は見られなかった(HR=1.12)。

コメント:
この試験からBonefosはホルモン療法を受けている転移性前立腺癌男性患者の生存率を向上させることがわかった。しかし、非転移性癌患者にとっては、有益ではなかった。ビスフォスフォネート剤の使用の主要目的は、やはり骨粗鬆症と骨折の予防にあり、特にホルモン療法を受けている男性患者が対象になる。

参考文献:
[1] Dearnaley DP, Mason MD, Parmar MKB, et al. Adjuvant therapy with oral sodium clodronate in locally advanced and metastatic prostate cancer: Long-term overall survival results from the MRC PR04 and PR05 randomised controlled trials. Lancet Oncology. Published online August 11, 2009.


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翻訳担当者 寺田 久美子

監修 北村 裕太(農学/医学生)

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