FDAが、BRCA変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がんにルカパリブを承認

FDAが、BRCA変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がんにルカパリブを承認

2020年5月15日、食品医薬品局(FDA)は、アンドロゲン受容体標的薬およびタキサン系化学療法による治療を受けた、有害なBRCA変異(生殖細胞系/体細胞系)を伴う転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者を対象にルカパリブ(販売名:RUBRACA、Clovis Oncology社)を迅速承認した。

本剤の有効性評価は、アンドロゲン受容体標的療法とタキサンベースの化学療法を受けたBRCA変異(生殖細胞/体細胞)を有するmCRPC患者115人を対象として進行中の多施設共同単群TRITON2(NCT02952534)試験で検証された。患者さんはルカパリブ600mgを1日2回経口投与され、GnRHアナログを併用されているか、または両側精巣摘除術の治療歴があるかのいずれかであった。

測定可能な病変を有する62人の患者を対象に、奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)を評価した。確認されたORRは44%(95%CI:31, 57)、DORの中央値は評価不能であった(NE;95%CI:6.4、NE)。奏効期間(DOR)の範囲は1.7~24カ月以上で、奏効が確認された 27 例の患者のうち 15 例(56%)の 奏効期間は 6 カ月以上であった。

BRCA変異陽性、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者115人全員で最も多かった有害反応(20%以上)は、疲労、吐き気、貧血、ALT/AST上昇、食欲減退、発疹、便秘、血小板減少、嘔吐、下痢でした。

ルカパリブの推奨用量は1日2回600mgで、食事とともにまたは食事なしで服用する。mCRPCに対してルカパリブを投与されている患者は、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アナログも同時に投与されているか、または両側精巣切除術を受けている必要がある。

RUBRACAの全処方情報

本適応症は、客観的奏効率と奏効期間に基づいて迅速承認された。この適応症の継続承認については、今後の確認試験における臨床的有用性の検証と根拠の提示が条件とされる。

ルカパリブは、本適応症で画期的治療法の指定を受けており、本申請は優先審査に付された。FDAの簡易プログラムについての説明は、Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologicsに掲載されている。

翻訳担当者 編集:野中 希

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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