前立腺がんへのエンザルタミドのFDA新適応承認をダナファーバー研究が支持
転移性ホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)を対象に、ダナファーバーがん研究所のChristopher Sweeney医師(MBBS)共同主導の臨床試験の結果、経口アンドロゲン受容体阻害薬が、転移性前立腺がんのホルモン療法を開始する患者の標準一次治療薬となった。
この治療薬エンザルタミド(販売名:イクスタンジ)は、転移性ホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)[別称:転移性去勢感受性前立腺がん(mCSPC)]患者を対象として米国食品医薬品局(FDA)に本日承認された。エンザルタミドは去勢抵抗性前立腺がんの現行の標準治療薬であるが、今回の承認によって前立腺がん患者がより早期に使用できるようになる。
エンザルタミドの効果はANZUP主導の国際ランダム化第3相ENZAMET試験で実証され、New England Journal of Medicine誌に掲載されている。試験の共同主導者であるSweeney医師は、2019年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会のプレナリーセッションで中間解析の発表を行った。ENZAMET試験はFDAの添付文書には記載がないが、転移性ホルモン感受性前立腺がんに価値ある臨床データを提供している。
「転移性ホルモン感受性前立腺がん患者に対して、エンザルタミドをテストステロンの抑制に付加することでがんの病勢コントロールが改善され、生存の延長が可能であることがENZAMET試験を通じて明らかになった」と、Sweeney医師は述べている。「この結果は、複数の骨転移または肝転移のある腫瘍量の多い患者、ならびに腫瘍量が少ない患者にも該当する。この新しい治療選択肢が特に適切なのは、化学療法に不耐容で腫瘍量が少なめの患者である」。
ENZAMET試験は、追跡期間が十分に長く、全生存期間への明白な効果を示す質の高いデータを備える唯一の試験である。この試験はまた、エンザルタミドをテストステロンの抑制とドセタキセルに付加した場合の、患者の生存改善を評価したデータを備えるこれまでに唯一の試験でもある。今回の早期解析では、生存への効果は示されず、現時点ではドセタキセルとの併用は推奨されていない。
エンザルタミドをテストステロン抑制と併用したENZAMET試験の転移性ホルモン感受性前立腺がん患者は、標準的な非ステロイド性アンドロゲン受容体阻害薬とテストステロン抑制を併用した患者よりも、全生存期間が長かった。試験参加者のうち、3年後の生存割合は、エンザルタミドの投与を受けた患者では80%であったのに対して、標準的な阻害薬の投与を受けた患者では72%であった。ENZAMET試験の詳細はこちら。
ENZAMET試験は、オーストラリア・ニュージーランド泌尿生殖器・前立腺がん臨床試験グループ(ANZUP)が率いる医師主導共同試験で、シドニー大学が、カナダがん臨床試験グループ、ダナファーバー、およびアイルランドがん臨床試験グループと共同して資金提供した。世界各地から83の研究機関が参加した。試験には1,125人の参加者が登録され、参加者の追跡期間の中央値は34カ月であった。Astellas Pharma社は、ENZAMET試験に薬剤の提供と資金援助を行ったが、試験の実施と解析には関与していない。Cancer AustraliaおよびCanadian Cancer Societyからも助成金が支給された。
Ian Davis医師はANZUPの責任者であり、Christopher Sweeney医師はANZUPのScientific Advisory Committeeの一員である。両医師は、エンザルタミドを販売するAstellas社とPfizer社から研究資金が提供された実施機関で業務を行い、両社に対して助言を行った。Sweeney医師は、その助言に対してPfizer社とAstellas社から報酬を受けた。
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