MDアンダーソン研究ハイライト 放射線腫瘍学:ASTRO2026特集
MDアンダーソン研究ニュース 2026年9月25日
● MDアンダーソンの研究者が、2026年米国放射線腫瘍学会(ASTRO)年次総会で約70件の演題を発表
● 研究発表のテーマには、品質保証やゲノムバイオマーカーにおける進歩などが含まれる
● MDアンダーソンの研究者3人が、同総会期間中に表彰を受ける予定である
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、2026年米国放射線腫瘍学会(ASTRO)年次総会で、約70件の演題を発表する予定である。
以下では、同センターの主要な演題に加えて、口頭発表として選ばれた研究の中から、放射線の正確な照射を確実にするための取り組みや、過去のデータセットを用いた最新のゲノム検査の検証など、重要な知見が紹介される。
UT MDアンダーソンがんセンターのASTRO年次総会に関する詳細情報は、MDAnderson.org/ASTRO でご覧いただけます。
治療計画の選択が放射線外科治療の質を左右(アブストラクト348)
定位放射線治療(SRS)を有効に実施するためには、極めて正確な標的の特定と、極めて精密な線量照射が求められる。しかし、これまでの質的監査では、装置の正確性や精度にのみ焦点が当てられ、放射線治療計画そのものについては十分に評価されてこなかった。
本研究では、研究者らが2013年から2025年にかけて、650以上の施設で実施された800件以上の放射線治療計画を分析した。すべての治療計画は、頭部への放射線照射量を測定するために設計された「ファントム」と呼ばれる標準モデルの内部に同じ標的を設定して作成されたものである。治療装置の種類によって、高線量を受ける健康な脳の体積には約5倍の差が認められた。各装置の性能上の制約も要因の一つではあったが、標準的なリニアック(直線加速器)を用いた場合、こうした差異の主な原因は装置そのものよりも、治療計画作成者による選択にあることが明らかになった。最も重要な判断は、放射線の照射範囲を標的の形にどこまで厳密に一致させるかという点であった。
「異なる装置で同じ治療計画を立てたとしても、健常な脳への線量が同じになるわけではありません」と、発表者であるLian Duan氏(放射線物理学専攻 博士後期課程)は述べている。「医療機関は、自施設の装置を基準として比較検討し、その基準を出発点とすべきです。同じハードウェアであっても、綿密な計画立案によって治療計画を大幅に改善できる可能性があります」。
Duan氏は、UT MDアンダーソンがんセンター内に設置された画像・放射線腫瘍学コア(IROC)で、Stephen Kry博士と共同で研究を行っている。IROCは、全米で4カ所あるセンターの一つであり、米国国立衛生研究所(NIH)傘下の国立がん研究所(NCI)から資金提供を受け、がん臨床試験における放射線治療の品質基準の確認と維持を担っている。
遺伝学的分類は、前立腺がんの進行・経過を予測する強力な指標である(アブストラクト315)
NRG/RTOG 9601試験は、前立腺がんの放射線治療における画期的な研究であり、臨床診療を大きく変える契機となった。この試験では、手術後にがんが再発した患者に対して、救済放射線療法に抗アンドロゲン療法を追加することで、治療成績が改善することが示された。
しかし、抗アンドロゲン療法は重大な副作用を引き起こす可能性がある。当初の結果が発表された時点では、どの患者がこの追加治療から最も恩恵を受ける可能性が高いかを判断する確実な手段がなかった。その後、さらなる研究により、前立腺の細胞から産生されるタンパク質である前立腺特異抗原(PSA)の検査が、治療方針の決定に役立つことが示唆されている。とはいえ、この検査を行っても、個々の患者における再発の進行度を予測することは依然として困難である。
この問題に対処するため、放射線腫瘍学准教授のKrishnan Patel医師が率いる研究チームは、腫瘍内の遺伝物質を評価してその挙動をより正確に予測する最新のゲノム検査を用いて、この画期的な臨床試験の腫瘍サンプルを解析した。この検査により、長期的な予後が著しく異なる患者群を分類することが可能となり、医師が患者に予後について説明する際の助けとなる。治療から15年後の時点で、生存率は低リスク群で75%であったのに対し、超高リスク群では25%であった。
本研究はまた、PSA検査などの標準的な血液検査に加えて、ゲノム検査を活用できる可能性を示唆している。例えば、従来は多くの医師が、放射線治療前のPSA値が高い男性にはホルモン療法を推奨し、値が低い男性には推奨していなかったが、本研究によれば、放射線治療前のPSA値が低くても、生物学的に悪性度の高い特徴を有する患者群では、ホルモン療法が有益である可能性を示唆している。
「約20年前に実施された臨床試験のサンプルに、最新のゲノム検査を適用できることは、非常に大きな価値があります」とPatel 氏は述べている。「これらの研究結果は、治療の個別化をさらに進めるうえで役立っています。ホルモン療法による効果が期待できない患者が、その副作用を避けられるようになる一方で、治療効果が最も期待できる患者を特定する際に、臨床医がより確信を持って判断できるようになるのです」。
- 記事担当 青山真佐枝
- 監修 山﨑知子(頭頸部・甲状腺・歯科/埼玉医科大学国際医療センター 頭頸部腫瘍科)
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- 原文掲載日 2026/09/25
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