アバスチン、サロミド(Thalomid)(サリドマイド)、タキソテール、プレドニゾンが ホルモン不応性前立腺癌患者に有効

キャンサーコンサルタンツ
2010年3月

米国国立癌研究所の研究者らは、アバスチン(ベバシズマブ)、 サロミド(Thalomid)(サリドマイド)、 タキソテール(ドセタキセル)、およびプレドニゾンの併用は、ホルモン不応性前立腺癌(HRPC)患者に多大な効果があり、有害事象もコントロール可能であることを報告した。この試験の詳細は2010年3月22日発行のJournal of Clinical Oncology誌に掲載されている。1

タキソテールはHRPCの緩和治療として最も効果を有する唯一の薬剤である。しかし、患者の多くは最終的に反応しなくなる。イタリアの研究者らが先に報告したところによれば、アバスチンとタキソテールを併用することで、それまでタキソテール療法を受けていたHRPC患者に効果がみられることがあるとしている。HRPCの治療として、サロミドの単剤またはステロイドを併用する試験が何件か行われてきたが、有効であるという結果は得られていない。

今回の試験の担当者らは述べている。「我々は、ドセタキセルと、これらの異なる標的を持つ血管新生阻害剤との併用で十分な臨床効果が得られるという仮定を立てた。」彼らはマウス・モデルでアバスチン、サロミド、タキソテールおよびプレドニゾンを併用した試験を行い、有意な効果を認めた。彼らはこの臨床試験において、90%のHRPC患者に50%以上の前立腺特異抗原(PSA)減少を認めた。無増悪期間の中央値は18カ月であり、全生存期間は28カ月であった。この治療により、生存期間が2倍に延びることが示唆された。

コメント:これらは将来的に期待できる結果であるが、立証するためにはさらに多くの臨床試験が必要となる。

参考文献:
1 Ning Y-M, Gulley JL, Arien PM, et al. Phase II trial of bevacizumab, thalidomide, docetaxel, and prednisone in patients with metastatic castration-resistant prostate cancer. Journal of Clinical Oncology [early online publication]. March 22, 2010.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 滝澤 美樹

監修 野長瀬 祥兼(工学/医学生)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

前立腺がんに関連する記事

ポリメラーゼ阻害薬タラゾパリブが転移性前立腺がんの無増悪生存を改善の画像

ポリメラーゼ阻害薬タラゾパリブが転移性前立腺がんの無増悪生存を改善

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCOの見解「早期前立腺がんの発見と治療には大きな進歩がありましたが、新たに診断された転移性ホルモン抵抗性前立腺がんの治療については、過去10年間...
ASCO泌尿生殖器がんシンポジウムの最新知見の画像

ASCO泌尿生殖器がんシンポジウムの最新知見

米国臨床腫瘍学会(ASCO)
2023年米国臨床腫瘍学会(ASCO)泌尿生殖器(GU)がんシンポジウム(2月16日~18日、カリフォルニア州サンフランシスコMoscone West Buildi...
植物性食品の多い食生活は、前立腺がんの進行/再発リスク低下と関連の画像

植物性食品の多い食生活は、前立腺がんの進行/再発リスク低下と関連

ASCOの見解「前立腺がんの患者、その家族、介護者、医師にとって、病気の進行リスクは極めて重要な懸念事項の一つです。今回の試験結果は、健康管理のために推奨する食事内容など臨床ケアに直接...
民族差と遺伝子検査へのアクセス格差が前立腺がんの発症および治療に影響の画像

民族差と遺伝子検査へのアクセス格差が前立腺がんの発症および治療に影響

ESMOプレスリリース2020年には世界で140万人を超える男性が前立腺がんと診断されたが(1)、世界の患者の大部分で疾患の分子特性は探究されないままである。毎年11月に、前立腺がん、...