がん治療の悪心・嘔吐管理に関するASCOガイドライン改定

がん治療の悪心・嘔吐管理に関するASCOガイドライン改定

米国臨床腫瘍学会(ASCO)臨床診療ガイドラインが更新され、がん治療において悪心および嘔吐を予防する医薬品が新規に追加された。731日に発表された最新情報では、オランザピン、NK1受容体拮抗薬およびデキサメタゾンの適正使用に関する新しいエビデンスに基づく情報を提供している。

「悪心および嘔吐の不適切な管理が患者の生活の質に及ぼす悪影響を十分に文書化しています」と、このガイドラインの最新情報を作成したASCO専門家委員会の共同議長であるPaul J. Hesketh医師は述べている。「臨床医は、ASCO制吐療法ガイドラインに従うことにより、治療誘発嘔吐を最小限に抑え、患者の生活の質を改善することができます」。

このガイドラインを作成するために、専門家委員会では、200911月から20166月までに発行された医学文献を体系的にレビューした。委員会は、医学腫瘍学、放射線腫瘍学、看護学、薬学および保健サービス研究の専門知識を持つメンバーならびに患者代表で構成された。

「新しい種類の制吐剤の導入により、化学療法誘発性悪心および嘔吐の予防において過去25年にわたり驚異的な進歩が実現されてきました」と、このガイドラインの最新情報を作成した専門家委員会の共同議長であるMark G. Kris医師は述べている。「しかし、エビデンスに基づくガイドラインが完全に実施される場合にのみ、これらの治療の進歩による十分な利益を得ることができるのです」。

更新されたガイドラインの主な推奨事項:

・悪心および嘔吐のリスクが高い化学療法(シスプラチン、シクロホスファミドとアントラサイクリンの併用など)を受けている成人の場合、標準制吐療法(5-HT3受容体拮抗薬、NK1受容体拮抗薬およびデキサメタゾンの併用)にオランザピンを追加するべきである。オランザピンはまた、化学療法を受ける前に嘔吐を予防する医薬品を服用しているにもかかわらず嘔吐症状を経験した患者にも有用である。

・カルボプラチンベースの化学療法または高用量化学療法を受けている成人、ならびに悪心および嘔吐のリスクが高い化学療法を受けている小児の場合、標準制吐療法(5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの併用)にNK1受容体拮抗薬を追加するべきである。

・デキサメタゾン治療は、アントラサイクリンとシクロホスファミドの併用を受ける患者の化学療法投与日に限定される場合がある。

・専門家委員会は、標準制吐療法に耐性のある悪心および嘔吐を治療するために、FDA承認のカンナビノイド製剤であるドロナビノールまたはナビロンを推奨している。化学療法または放射線療法を受けているがん患者の悪心および嘔吐の予防または治療のいずれかに対して医療用大麻を推奨するにはエビデンスがまだ不十分である。

制吐剤:米国臨床腫瘍学会臨床診療ガイドラインに焦点を当てた更新内容が、7月31日にJournal of Clinical Oncology誌に掲載された。

ガイドラインの最新情報は、asco.org/supportive-care-guidelinesで入手できる。

悪心および嘔吐に関する患者の情報は、cancer.net/navigating-cancer-care/side-effects/nause-and-vomitingで入手できる。

ASCOは、ASCOガイドラインWikiasco.org/guidelineswiki)を通じて、腫瘍学者、開業医および患者からのガイドラインに関するフィードバックを推奨している。

公表されたガイドラインの最新情報のコピーに関するお問い合わせは、Amanda Narodamanda.narod@asco.orgまたは571-483-1795)まで。

翻訳担当者 会津麻美

監修 高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

がん治療に関連する記事

市販薬ががん免疫療法薬の効果に影響を与える可能性の画像

市販薬ががん免疫療法薬の効果に影響を与える可能性

免疫療法薬が、かつては予後不良とされていたがんに対して新たな希望をもたらしている。免疫療法薬は、体自身の免疫システムを利用してがんと闘うことで、多くの場合、患者を化学療法の辛い副作用か...
メトホルミン+GLP-1薬は、2型糖尿病においてDPP-4阻害薬よりもがんリスク/死亡率低下と関連の画像

メトホルミン+GLP-1薬は、2型糖尿病においてDPP-4阻害薬よりもがんリスク/死亡率低下と関連

 2型糖尿病患者において、メトホルミンとGLP-1受容体作動薬の併用療法は、DPP-4阻害薬療法よりも、脂肪関連がんのリスクを39%低下させ、5年間の死亡リスクを67%低下させることと...
米FDAがDPD欠損症に伴うリスクについてカペシタビン/5-FUの添付文書を変更の画像

米FDAがDPD欠損症に伴うリスクについてカペシタビン/5-FUの添付文書を変更

米国食品医薬品局(FDA)は、カペシタビン(販売名:ゼローダ)およびフルオロウラシル(販売名:5-FU)の製品添付文書におけるジヒドロピリミジン脱水素酵素(DPD)欠損症に伴うリスクに...
急性骨髄性白血病の治療には年齢への柔軟性が必要と示唆されるの画像

急性骨髄性白血病の治療には年齢への柔軟性が必要と示唆される

急性骨髄性白血病(AML)患者の予後に年齢がどのように影響するか、オハイオ州立大学総合がんセンターのアーサー・G・ジェームズがん病院およびリチャード・J・ソロブ研究所(OSUCCC -...