運動が日本人男女の癌発症リスクを低下させる

キャンサーコンサルタンツ
2008年8月

日本の研究者らは、“相対的に痩せている集団”において、日々の身体活動(運動)の増加が癌の発症リスクを減少させると報告した。この研究の詳細は2008年8月15日発行のAmerican Journal of Epidemiology誌で発表された。

運動の増加は乳癌リスク減少と関連付けられていた。しかし、他の癌への運動の効果についてはあまり研究されていなかった。運動に関する調査は、同様に癌リスクに影響を及ぼしうる食習慣や肥満による交絡が生じる可能性がある。少なくとも一つの試験では、運動が肥満女性における癌リスクの増加を補うわけではないことが示されている。本調査研究は、痩せ型が多い日本人の集団において実施されたため、大きな関心がもたれている。

厚生労働省研究班による多目的コホート研究[the Japan Public Health-Center-based Prospective Study]に属する研究者らは、45-74歳の約8万人を対象に癌リスクを評価した。研究者らは、運動量の最大群と最小群を比較した場合、全ての癌において発症リスクが男性では13%、女性では16%低下したと報告した。また著者らは、運動の効果は男性より女性に現れ、特に高齢の女性においては顕著であると述べている。効果がみられた主な癌は、男性では結腸癌、腎臓癌および膵臓癌であり、女性では胃癌であった。

コメント:
これらのデータは、相対的に肥満でない集団では、成人期を通じた定期的な運動が癌の発症リスクを有意に低減させることを示唆している。

参考文献:
1 Daily total physical activity level and total cancer risk in men and women: Results from a large-scale population-based cohort study in Japan. American Journal of Epidemiology 2008;168:391-403.


 c1998- 2008CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 大隅 郁子

監修 Watanabe

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

がんと生活・運動・食事に関連する記事

ストレス誘発性の免疫変化はがん転移を助長する可能性の画像

ストレス誘発性の免疫変化はがん転移を助長する可能性

過去数十年における研究から、お金の心配、仕事の問題、家族の緊張などの慢性的なストレスは、体内に化学変化を引き起こすことが証明されている。こうした変化は、血圧の上昇、炎症、特定のホルモン...
意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果の画像

意図せぬ体重減少はがんの兆候か、受診すべきとの研究結果

ダナファーバーがん研究所意図せぬ体重減少は、その後1年以内にがんと診断されるリスクの増加と関連するという研究結果が、ダナファーバーがん研究所により発表された。

「運動習慣の改善や食事制限...
野菜、ナッツ/豆類が小児がんサバイバーの早期老化を軽減の画像

野菜、ナッツ/豆類が小児がんサバイバーの早期老化を軽減

米国臨床腫瘍学会(ASCO)​​ASCO専門家の見解  
「本研究により、小児期にがん治療を受けた成人において、濃い緑色野菜やナッツ・種子類の豊富な食事と早期老化徴候の軽減との間に強力な...
がん治療中の心身フィットネスにより入院や受診が減少の画像

がん治療中の心身フィットネスにより入院や受診が減少

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCOの見解から引用「本試験によって、オンラインの心身フィットネスプログラムは、がん患者に支障なく提供することができ、治療に伴う合併症を軽減するこ...