がん患者のせん妄に対する個別化鎮静の目標を初めて検証

「MDアンダーソン研究ハイライト 2021年9月8日」より

がん患者が終末期に発症するせん妄、不穏および興奮に関しては、エビデンスが欠如しているため、適切な鎮静レベルの臨床ガイドラインの策定が課題である。

鎮静剤の投与が多すぎると、患者は意思疎通できなくなることがある一方、少なすぎると、不穏が悪化する可能性が高まることもある。

MDアンダーソンがんセンター急性緩和ケア病棟に入院中の終末期興奮型せん妄患者に対するランダム化臨床研究の解析で、Eduardo Bruera医師およびDavid Hui医師は、個別化鎮静目標(PSGs)をあらたな治療反応基準とする世界初の研究を主導した。

介護者は看護師と比べて軽い鎮静を好むこと、多くの患者では介護者が設定した鎮静目標と比較して弱い鎮静が行われていたことを研究者らは発見した。

せん妄患者の鎮静レベルを設定する際にPSGsを活用すれば、治療反応評価が改善する可能性がある。PSGsは興奮状態コントロール、意思疎通能力ならびに予後のバランスを保つものであり、しかも個人によって大きく異なる場合もあるため、ケアマネジメントにおけるPSGsの利用を検証するためには、さらなる研究が必要である。詳細はCancerを参照。

翻訳担当者 佐藤美奈子

監修 佐藤恭子(緩和ケア内科/川崎市井田病院)

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