【ASCO26】ヨガはがんサバイバーの良質な睡眠と不安や疲労の緩和に役立つ可能性
ASCOの見解(引用)
「この大規模な無作為化試験では、体系的なヨガを行うことで、がんサバイバーにおいて最も頻繁に報告され、治療が困難な症状を緩和し、不眠の軽減につながる可能性があることが示されました。これはすでに多数の薬剤を服用している可能性の高いがんサバイバーにとって、薬物療法によらない方法で4つの異なる副作用を同時に軽減できる解決策を提供する点で、重要な進展です」と、MDアンダーソンがんセンターの乳がん放射線腫瘍学准教授であり、ASCO(米国臨床腫瘍学会)のサバイバーシップ分野の専門家でもあるFumiko Chino医師は述べた。
試験概要
| 焦点 | 全般的な気分障害、不安、疲労、および/または不眠を経験しているがんサバイバー |
| 対象者 | 米国内の12の地域がん診療施設に通う410名のがんサバイバー |
| 主な結果 | ヨガを実践することで、がんサバイバーの全般的な気分障害、不安、疲労を緩和させ、その結果、不眠の改善につながる可能性がある |
| 意義 | ・アメリカがん協会は、2035年までに米国内のがんサバイバーは2,200万人を超えると予測している。多くのがんサバイバーにとって、がん治療による副作用が治療終了後も長期間にわたって継続することがある。 ・研究者らによると、最大95%のがんサバイバーが、がん治療中または治療後のある時点で睡眠障害や不眠症を経験しており、さらに半数以上が全般的な気分障害、不安、疲労を感じているという。 |
全般的な気分障害、不安、疲労、不眠に悩むがんサバイバーにとって、穏やかなハタヨガやリストラティブヨガを定期的に行うことで、これらの副作用を薬に頼ることなく改善するのに役立つ可能性がある。この研究結果は、5月29日から6月2日までシカゴで開催される2026年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表される予定である。
試験について
「がんサバイバーの全般的な気分障害、不安、疲労、不眠症を治療する唯一絶対的な行動療法はありません。本試験は、YOCAS(がんサバイバーのためのヨガ)介入がこれらのがん関連の4つの副作用すべてを改善することを実証し、さらに全般的な気分障害、不安、疲労の改善が、不眠症に対するヨガの効果にどのように影響するかを明らかにすることで、その空白を埋める一助となるでしょう」と、本研究の筆頭著者であり、ロチェスター大学医療センターの研究助教であるYuri Choi博士(看護学修士、正看護師)は述べた。
「がんサバイバーのためのヨガ(YOCAS)」は、18種類の穏やかなハタヨガおよびリストラティブヨガのポーズ、呼吸法、マインドフルネスを用いて、がんサバイバーの症状改善を図る4週間のプログラムである。このプログラムには、インストラクター指導による75分間のヨガクラスが2回と、週に30分以上行う自宅でのヨガ練習が含まれている。ハタヨガとリストラティブヨガのいずれも、小道具を用いたゆっくりとした穏やかな動きや静止したポーズに重点を置いている。また、両者とも呼吸法とマインドフルネスの技法を組み合わせている。
本研究では、転移性病変がなく、過去3カ月以内にヨガを行っていない患者を対象とした。参加者の平均年齢は54歳で、ほぼ全員が白人女性であった。参加者の4人に3人は乳がんサバイバーであった。
合計204人の参加者が無作為に割り当てられ、維持療法、経過観察、副作用のモニタリングを一般的に含む標準的ながん治療後のケア受をけた。また、合計206人の参加者は、標準的ながん治療後のケアに加え、YOCAS介入を受けた。YOCAS群の参加者は、低~中程度の強度で穏やかなハタヨガおよびリストラティブヨガを、週平均少なくとも3回、週平均180分間実践した。参加者の気分障害は、自己記入式の「気分状態プロファイル(POMS)」質問票を用いて評価した。不眠症は、患者の睡眠に関する質問を行う「不眠重症度指数(ISI)」を用いて評価された。
主な知見
標準的なケアを受けた参加者と比較して、YOCASプログラムの参加者は以下の変化が見られた:
・全般的な気分障害が有意に軽減し、POMS総合スコアが5.08ポイント低下した。これはヨガによる中~大程度の効果に相当する。
・不安が軽減し、POMS不安サブスケールのスコアが0.72ポイント低下した。これはヨガによる小~中程度の効果に相当する。
・疲労の軽減:POMS疲労サブスケールのスコアが1.49ポイント低下した。これはヨガによる中~大程度の効果に相当する。
研究者らは、全般的な気分の改善を実感したYOCAS群の参加者のうち、睡眠の改善がみられた参加者が約25%を占めていることを明らかにした。また、疲労感についても同様の結果が得られ、疲労感の軽減を実感したYOCAS群の参加者のうち、睡眠の改善がみられた参加者が約25%を占めていることが分かった。
次のステップ
研究者らは、AYA世代のがんサバイバーを対象としたヨガ介入プログラムの開発を計画している。また、オンラインプラットフォームやアプリなどのデジタル版YOCAS介入プログラムも作成する予定である。
この臨床試験は、米国国立がん研究所(NCI)の助成を受けて実施された。
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- 記事担当 佐藤美奈子
- 監修 大野 智(補完代替医療/島根大学 臨床研究センター)
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- 原文掲載日 2026/05/22
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