FDAが原発性マクログロブリン血症(WM)にザヌブルチニブを承認

2021年8月31日、米国食品医薬品局(FDA)は、成人のワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)患者を対象に、ザヌブルチニブ(販売名:Brukinsa、BeiGene社)を承認した。

ザヌブルチニブは、MYD88遺伝子のL265P変異(MYD88MUT)を有するWM患者を対象に、無作為化、実薬対照、非盲検試験でイブルチニブと比較検討したASPEN試験(NCT03053440)で検証された。本試験は2つのコホート(集団)で構成され、コホート1の患者(n=201)は、病状が進行するか許容できない毒性が認められるまで、ザヌブルチニブ160mgを1日2回投与する群とイブルチニブ420mgを1日1回投与する群に1対1で無作為に割り付けられた。コホート2では、MYD88遺伝子野生型またはMYD88変異不明のWM患者(それぞれn=26、2)が登録され、ザヌブルチニブ160mgを1日2回投与された。

本承認を支持することとなった主要評価項目は、第6回ワルデンシュトレームマクログロブリン血症国際会議で合意された奏効規準に基づいて、独立審査委員会(IRC)が評価した部分奏効(PR)以上の奏効判定であった。また、有効性の評価指標として奏効持続期間(DOR)が追加された。

ザヌブルチニブは、本剤投与群における、奏効率の非比較評価およびDORに基づいて承認された。その奏効率[完全奏功(CR)+最良部分奏効(VGPR)+部分奏効(PR)]は、77.5%(95%CI:68.1, 85.1)であった。また、12カ月間の無再発DORの割合は、94.4%(95%CI:85.8, 97.9)であった。コホート2において、IRCで評価された奏効率(CR+VGPR+PR)は50%(奏効率評価が可能な26人中13人、95%CI:29.9, 70.1)であった。

ザヌブルチニブ投与群で報告された臨床検査値の異常を含む最も頻度の高い副作用(20%以上)は、好中球数減少、上気道感染、血小板数減少、発疹、出血、筋骨格痛、ヘモグロビン減少、挫傷、下痢、肺炎、咳であった。

ザヌブルチニブの推奨される用法・用量は、160mgを1日2回、または320mgを1日1回経口投与である。

Brukinsaの全処方情報はこちらを参照。

翻訳担当者 滝坂美咲

監修 峯野知子(薬学・分子薬化学/高崎健康福祉大学)

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