FDAが、画像検査による不要な放射線被曝の低減に向けた指針を発表

FOR IMMEDIATE RELEASE: 2010年2月9日 Media Inquiries: Peper Long, 301-796-4671 Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

FDAが画像診断時における不要な放射線照射を減らすための方針を発表 本指針での焦点は放射線量の高い3種の画像診断

米国食品医薬品局(FDA)は本日(2月9日)、コンピュータ断層撮影(CT)、核医学検査、および透視診断の3種の画像診断法における不要な放射線照射を減ずる方針を発表した。 これらの診断法で使用される線量は、米国国内で使用される放射線照射量のうちで最も高い割合を占めており、通常のX線診断や歯科用X線診断、あるいはマンモグラフィーといった他の診断法と比較しても非常に高線量の放射線を使用している。 CT、核医学検査、および透視診断は、病気の早期発見や治療計画の向上につながり、画像誘導下治療により毎日多くの命が救われている。FDAはこれら診断法の必要性とそれに伴うリスクの理解を広めるため、患者と医師間の強い相互対話のサポートを今後も続けていく。 しかし全ての医療処置と同様、CT、核医学検査、および透視診断もリスクをもたらす。これらの画像診断法は患者を電離放射線に被曝させる。この種の放射線は、発癌リスクを生涯にわたって増大させる可能性がある。誤って非常に高線量の放射線に被曝した場合にも、皮膚の火傷や脱毛、白内障といった障害を起こす可能性がある。患者と医師で医療ケアを決定する際には、必ずどの診断法においても治療上の必要性とそれに関連したリスクのことを話し合う必要がある。 「米国国民が画像診断で放射線に被曝する量は、過去20年間で劇的に増加している。FDAの方針の目標は、画像診断法のベネフィットを支持しつつ、そのリスクを最小限にすることである」と、FDAの医療機器・放射線保健センター(Center for Devices and Radiological Health)のJeffrey Shuren医師および法学博士は述べている。 画像診断時の放射線被曝による発癌リスクの程度についてはいくつかの異論があるものの、不必要な放射線被曝を減じる対策をとることは可能であり、とるべきであるという点では広く同意が得られている。 例えば、腹部のCT検査における放射線量は胸部X線撮影400回分と同等の線量である。さらに比較して、歯科用のX線1枚は、胸部X線のおよそ半分の線量である。いずれの診断法も、重要かつ決定的な公衆衛生上の必要性がある。 FDAはCTスキャナなど画像診断機器に対する規制監督の実施ならびに他の連邦機関や医療専門家グループとの協同活動を通して、放射線から人体を保護する2つの原則を適用するように推奨している。それは、放射線診断を行うには適切で正当な理由を必要とすること、診断時に使用される放射線量を最適化することである。 Shuren医師は、「FDAおよび他の組織機関は共に協力し、患者が正しい画像診断を正しい時期に正しい線量で受けられるよう支援することを希望する」と述べている。 このFDAの方針は、画像診断装置の安全使用の推進、同意のもとの臨床的判断のサポート、患者自身に放射線被曝の認識を浸透させるという、3本柱からなる。 FDAはCTおよび蛍光透視装置のメーカーを対象に必要条件を出し、安全な技術を提供するために機器の設計に安全装置を含めること、臨床医が安全に使用できるよう適切なトレーニングを提供することを要求する予定である。 FDAは2010年3月30日〜31日に公開集会を行って必要事項に盛り込む内容を求める予定である。 メーカー対象の必要条件の例としては、機器に設定および放射線量を表示、保存、記録できる機能を持たせること、線量が診断用基準レベル(最も標準的な患者に対する最適な線量)を超えると警告を出すこと、ユーザー向けのトレーニング提供、機器が線量の情報を集めて患者の電子医療記録および全国放射線量登録所に送信ができることである。 加えて、FDAおよび米国公的保健制度運営センター(Centers for Medicare and Medicaid Services)は画像診断施設および病院に対する認可の必須項目として、重要な品質保証の実践および調査活動に対する協力を条件とするよう、協同して取り組んでいる。これら品質保証の実践により監督の質が向上し、上記施設が高度な画像診断技術を安全に使用することが促進されるであろう。 FDAは医療専門家組織に対し、引き続き本組織と協力して画像診断手順の基準レベルを定めるよう、また引き続き、全国放射線量登録所への登録努力をさらに行うよう勧告している。 放射線量登録とは全国の画像診断施設からデータを収集し、さまざまな画像検査で使用された線量の情報を記録するものである。この登録は、現在は未定である診断時の基準値を定義し、あるいは現在使用されている値を認証するのに役立ち、医療施設が個々の画像検査時に利用するベンチマークとなるであろう。 患者の権利拡大および理解を広めることを目指し、FDAは他の組織と協同して患者の画像診断の記録カードの作成および普及を行っている。このカードはFDAのウェブサイト上で取得可能である。患者は自分の画像診断記録を参照し、特に自分の医療記録にそれが掲載されていない場合に、この画像診断記録を担当医に見せることができる。 本方針に関する他の情報:

http://www.fda.gov/Radiation-EmittingProducts/RadiationSafety/RadiationDoseReduction/UCM199904.htm

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****** 中島 美香 訳 平 栄 (放射線腫瘍医/武蔵村山病院 放射線治療センター長)監修  ******


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