経皮吸収貼付剤の使用患者はMRI検査前に取り外すよう勧告

キャンサーコンサルタンツ
2009年4月

米国食品医薬品局(FDA)は、アルミニウムなど金属製支持体を含む経皮吸収貼付剤を使用する患者はMRI(磁気共鳴画像診断法)検査前に同貼付剤を取り外すよう公衆衛生勧告を発表した。これらの貼付剤が検査の際に皮膚への火傷を引き起こす可能性があるという。

経皮吸収貼付剤は、皮膚を経由して血中に吸収される長時間持続型の薬剤を含んでおり、数種類の薬剤送達に使用されている。例えば、禁煙用ニコチンや、更年期症状を緩和するためのエストロゲン、狭心症(胸痛)に対するニトログリセリン、鎮痛薬も数種ある。経皮吸収貼付剤にはアルミニウムやその他の金属が支持体に含有されているものがある。

金属製支持体は皮膚とは接触してはいないものの、MRI検査中に過熱し、痛みを伴う火傷を引き起こす可能性がある。そのような外傷を避けるため、FDAは金属を含む貼付剤はMRI検査前に取り外すよう、また経皮吸収貼付剤の使用患者は火傷の危険性についての警告ラベルをよく読むよう勧告している。現在、金属を含有する貼付剤の全てに警告ラベルが添付されているわけではないため、金属含有のいかなる貼付剤であってもMRI検査前に取り外すよう勧告が出されている。

経皮吸収貼付剤の金属製支持体によるMRI検査中の火傷を避けるには、患者は検査前に医師と同貼付剤を取り外し破棄すべきか相談することが望ましい。医師も検査後に同貼付剤を取り替えるよう患者への指導を行っていく。また、MRI検査の予約日が決まったとき、患者は検査の実施に先立って医療機関に貼付剤を使用中であると報告すべきである。これにより、MRI検査前に貼付剤を取り外し、検査実施後に新しい貼付剤と取り替えるという正しい手順の確保が可能となる。

コメント:MRI検査中の経皮吸収貼付剤に関する火傷の危険は回避可能である。この問題を認識し医師と相談した上で正しい安全な手順に従えば、患者は安全かつ快適に経皮吸収法による投薬とMRI検査によって最大のベネフィットを得ることができる。

参考文献:金属製支持体を伴う経皮吸収貼付剤によるMRI検査中における火傷の危険(Risk of Burns during MRI Scans from Transdermal Drug Patches with Metallic Backings) [FDA Public Health Advisory]. US Food and Drug Administration Web site. http://www.fda.gov/cder/drug/advisory/transdermalpatch.htm. Accessed April 17, 2009.

※参考(日本放射線技術学会の勧告):http://www.jsrt.or.jp/web_data/news_files/1125966197.html


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翻訳担当者 平川 麻衣子

監修 村中 健一郎(生物物理学)

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