授乳は高リスクの閉経前女性の乳癌リスクを低下させる | 海外がん医療情報リファレンス

授乳は高リスクの閉経前女性の乳癌リスクを低下させる

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

授乳は高リスクの閉経前女性の乳癌リスクを低下させる

キャンサーコンサルタンツ
2009年8月

授乳が、第一度近親者に乳癌患者を持つ閉経前女性の乳癌リスクを低下させることをNurses’ Health Study IIに参加している研究者らが報告した。この研究の詳細はArchives of Internal Medicine誌の8月10/24日号に掲載された。[1]

 

女性は早く出産するほど、多く子供を産むほど、乳癌の発症率は低くなると長い間考えられてきた。この見解は、米国などの先進国と、女性が若年齢で出産し一般的に子供の数が多い発展途上国における乳癌発生率の差を説明するために用いられてきた。乳癌の女性は、乳癌を持たない女性より出産回数が少ないことは、これまでの研究によって明らかにされてきた。また乳癌は、授乳歴のある女性より授乳歴のない女性においてより多くみられている。乳癌リスクは、出産ごとに7%低くなることに加えて、授乳期間が一年増えるごとに4.3%低くなると推定されている。もし家族の人数の減少や授乳期間の短縮がなければ、乳癌の発症率は今日の半分になっていただろうと推測されている。

 

また一年を超える授乳が、BRCA2遺伝子ではなく特定のBRCA1遺伝子を有する女性における乳癌発症率を低下させることを52施設の研究者らは報告した。この研究は、BRCA1、BRCA2遺伝子両方、またはいずれか一方に変異を有する女性を対象としたデータベースに参加している施設で行われた。

 

この研究には、BRCA1変異を有する685人の女性および、BRCA2変異を有する280人が参加した。一年を超えて授乳したことのあるBRCA1変異を有する女性は乳癌発症率が44%低下したが、BRCA2変異を有する女性ではそのような低下は見られなかったことを研究者らは報告した。授乳によって乳癌発症率が44%低下することは、乳癌の遺伝的素因がない女性集団(これらの女性の場合、乳癌発症率は約4%低下)と比較して低下率がとても高いことを著者らは指摘した。BRCA1変異はホルモンの変化の影響を受けやすいが、BRCA2遺伝子変異はホルモンの変化とは関連がないことをこれらのデータは示唆している。

 

今回の研究により60075人の経産婦における乳癌発生率が評価された。このグループ中では閉経前乳癌は608人であった。授乳歴のある女性は閉経前乳癌の発症リスクが25%低下した。授乳期間については、傾向は見られなかった。第一度近親者に乳癌患者を持ち授乳歴のある女性においては、授乳歴のない女性と比較して閉経前乳癌の発生リスクが59%低下した。乳癌の発症リスクが高くない女性においては、授乳と閉経前乳癌の発生リスクには関連が見られなかった。

 

コメント:これは、乳癌の予防における授乳の利点をさらにサポートする興味深い研究である。しかし、他のすべて研究で認められた結果であるのに、この研究者らが乳癌発生率に授乳期間が影響しないと明らかにしたことは不可解である。

 

参考文献:
[1]Stuebe AM, Wiollett WC, Xue F, et al. Lactation and incidence of premenopausal breast cancer. Archives of Internal Medicine. 2009;169:1364-1371.

******
張 知子 訳
大藪 友利子(生物工学)監修
******


原文


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。
printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3光免疫療法:近赤外線でがん細胞が死滅
  4. 4COX-2阻害薬と抗PD1免疫療法薬併用でIDO1発...
  5. 5BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  6. 6若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  7. 7コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  8. 8がん治療の悪心・嘔吐管理に関するASCOガイドライン...
  9. 9治療が終了した後に-認知機能の変化
  10. 10FDAがベバシズマブとトラスツズマブのバイオ後続品を...

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他