レーザー治療により頭頸部癌における口腔粘膜炎が減少

キャンサーコンサルタンツ

低出力レーザー治療(LLLT)の実施は、頭頸部癌患者における化学療法や放射線療法による口腔粘膜炎の発生率と重症化を減少させる可能性がある。これらの結果は、2011年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表された。

頭頸部癌の治療には、一般的に放射線療法や化学療法がある。頭頸部癌の治療でよくみられる副作用は口腔粘膜炎(OM)であり、それは口腔粘膜の刺激と炎症である。口腔粘膜炎は、摂食と嚥下に支障をきたす場合がある疼痛を伴い、感染につながる可能性がある。口腔粘膜炎が重症化する場合、治療を遅らすか薬の用量が減少される可能性があり、そのことにより、治療による最適な結果を得られなくなる可能性がある。

LLLTは、放射線や化学療法を受けていている患者群において口腔粘膜炎の治療および予防が評価され、同患者群における口腔粘膜炎の重症化および発生率を減少させる潜在的な可能性が示された。レーザー光線を、口腔の患部に直接向けることによって、治癒を促進すると考えられる。

ブラジルの研究者らは、最近、頭頸部癌患者でOMの発生率と重症化を減らすことに関してLLLTを評価するために、第3相試験を行った。本試験には、化学療法および放射線療法で治療した患者94人を含めた。1つの群はLLLTを受け、その他の群はプラセボ(レーザー光線ではなく効力のない代替線)を受けた。

  •  重篤なOMは、プラセボ群の48%およびLLLTグループの6%で生じた。
  •  口腔の疼痛は、プラセボ群の83%およびLLLTグループの49%で生じた。
  •  LLLTグループの患者は、プラセボ群よりも疼痛、疲労、嚥下障害および情緒障害が著しく減少した。重要なことは、LLLTグループの患者1人は、治療の減量または遅れがなかったことである。

これらの結果は、LLLTが頭頸部癌患者でOMの発生回数を減少させる可能性があることを示唆する。OMに関する、他の治療とLLLTを直接比較することが必要である。

参考文献:

Antunes H, Herchenhorn C, Arajugo E, et al. Phase III trial of low-level laser therapy to prevent induced oral mucositis in head and neck cancer patients submitted to concurrent chemoradiation. Paper presented at: 2011 Annual Meeting of the American Society of Clinical Oncology; June 3-7, 2011; Chicago, IL. Abstract LBA5524.


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翻訳担当者 有田 香名美

監修 後藤 悌(呼吸器内科/東京大学大学院医学系研究科)

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