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マンモグラフィ診断の精度は人種/民族によって異なる可能性

診断マンモグラフィの精度は人種や民族によって異なり、診断能のいくつかの指標にばらつきがあることが、米国がん学会誌であるCancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌に発表された結果によって明らかになった。

乳がんにおける人種間の格差は十分な裏付けがなされており、研究により、格差の潜在的な原因として複数の社会経済的および生物学的要因が特定されていると、本研究の筆頭著者であるノースカロライナ大学医学部放射線科准教授Sarah J. Nyante氏は説明している。また、マンモグラフィ検診の適時受診など、乳がん検診のいくつかの側面についての研究が行われているが、マンモグラフィ診断のプロセスに関連する可能性のある差異についてはあまり注目されていない、と彼女は付け加えた。

「一般的に女性は、検診マンモグラフィで乳がんの可能性を示す徴候が検出された場合、診断マンモグラフィに紹介されます」と、Nyante博士は説明している。「乳房画像診断は、診断を受けて治療の道筋に入るための重要な第一歩です。治療の初期段階での差異が、その後の転帰に影響を及ぼすと考えるのが妥当です」と、彼女は述べている。

本研究では、Nyante博士らは、2005年から2017年の間に乳がんサーベイランス・コンソーシアムの98施設で実施された267,868件の診断マンモグラフィのデータを使用した。BI-RADS(Breast Imaging and Reporting Data Systems)評価を用いて、放射線科医が陽性(悪性)の可能性が高いと判断したマンモグラフィ画像、および陰性(良性)の可能性が高いと判断したマンモグラフィ画像を特定した。マンモグラフィ画像が調査の対象となった女性の人種分布は、非ヒスパニック系白人70%、非ヒスパニック系黒人13%、アジア/太平洋諸島系10%、ヒスパニック系7%であった。

浸潤がん検出率】 浸潤がん検出率(マンモグラフィ1,000件あたりのがん検出件数)は、非ヒスパニック系白人(35.8件)が最も高く、次いでアジア/太平洋諸島系(31.6件)、非ヒスパニック系黒人(29.5件)、ヒスパニック系(22.3件)であった。

陽性的中率】 マンモグラフィ画像が陽性の場合のがんの発生率を示す陽性的中率を評価した。非ヒスパニック系白人(27.87%)で最も高く、次いでアジア/太平洋諸島系(24.37%)、非ヒスパニック系黒人(23.47%)、ヒスパニック系(19.47%)であった。

【偽陽性】 アジア/太平洋諸島系の女性は、偽陽性の報告を受ける可能性が最も高かった。マンモグラフィ1,000件あたりの偽陽性率は、アジア/太平洋諸島系が169.2件、ヒスパニック系が136.1件、黒人が133.7件、白人が126.5件であった。

【偽陰性】 非ヒスパニック系黒人女性は、偽陰性の報告を受ける可能性が最も高かった。マンモグラフィ1,000件あたりの偽陰性率は、黒人で4.6件、白人で4.0件、アジア/太平洋諸島系で3.3件、ヒスパニック系で2.6件であった。

【経過観察推奨】 非ヒスパニック系黒人女性は、「短期間の経過観察推奨」を受ける可能性が最も高かった。31%の女性が6ヶ月以内に追加の画像診断を受けるよう推奨された。一方、白人女性の22.1%、アジア太平洋諸系女性の16.1%、ヒスパニック系女性の23.6%がこの推奨を受けた。

検出された腫瘍】 診断マンモグラフィで検出された腫瘍にも差異があった。全体として、アジア/太平洋諸島系女性は、非浸潤性がんの1つである非浸潤性乳管がん(DCIS)の割合が最も高かった。一方、黒人女性は、進行病期で悪性度が高いと診断される可能性が高かった。また、これまでの研究で示されているように、黒人女性は高悪性度のトリプルネガティブ乳がんの1つと診断される可能性が高かった。

Nyante氏は、患者レベルの特性を考慮しても、この研究の性能統計の差異は説明できないと指摘し、女性の乳がん治療における診断設備の役割についてさらに研究する必要があることを示唆した。さらに、本研究では、マンモグラフィの集団レベルでのリスクとベネフィットをさらに明確に理解できるように、臨床研究にあらゆる背景を持つ女性を含めることの重要性を強調している、と付け加えている。

「デジタルマンモグラフィの診断能および腫瘍の特徴的転帰の人種や民族による差異を調べることで、なぜ一部の人口集団でがん検出や医療の質に格差が残存するのかを理解することができるかもしれません」と、Nyante氏は述べた。

Nyante氏は、この研究の限界をいくつか指摘した。本研究では、全視野デジタルマンモグラフィとデジタル乳房トモシンセシス(DBT)の両方を対象としているが、近年、DBTの方がはるかに広く利用されるようになってきている。したがって、本研究の結果は、現在の画像診断業界に対して完全に一般化できるものではない可能性がある。

本研究は、米国国立がん研究所、Patient-Centered Outcomes Research Institute、Agency for Health Research and Qualityからの助成金により実施された。Nyante氏は利益相反はないことを宣言している。

 

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日本語記事監修:下村 昭彦(乳腺・腫瘍内科/国立国際医療研究センター乳腺腫瘍内科)

翻訳担当者会津 麻美

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