[ 記事 ]

コンピュータ断層撮影(CTスキャン)とがん

2019/08/14 原文更新版

 

コンピュータ断層撮影とは?

コンピュータ断層撮影(computed tomography:CT)とは、特殊なX線装置を用いて、身体内の領域の詳細な画像を作成したり、あるいは走査を行う撮像手法のことです。CTはコンピュータX線体軸断層撮影( computerized axial tomography:CAT)と呼ばれることもあります。

「tomography」という語は、ギリシャ語の「tomos(切片、薄片、断片)」と「graphein(書く、記録する)」に由来します。CT検査時に得られる画像の一枚一枚は、身体内の臓器、骨、その他の組織を薄い「スライス」状で示したものです。CTで得られた一連の画像は、パン1斤を何枚にもスライスしたようなもので、スライス1枚ずつ(2次元画像)を見ることも、1斤全体(3次元画像)を見ることもできます。いずれの次元の画像も、コンピュータプログラムを使用して作成されます。

今日のCT装置はヘリカル(スパイラル)CTと呼ばれ、従来のCT装置のように身体をスライス毎に撮った画像をまとめる方法ではなく、らせん状に連続して画像を撮影します。ヘリカルCT(スパイラルCT)は、旧式のCT技術に比べて、撮影速度が速い、身体内の領域の3次元画像がより鮮明に写す、小さな異常でも発見しやすいという点で優れています。

CTは、がんの検査以外にも、冠動脈疾患(アテローム性動脈硬化症)、動脈瘤、血餅などの循環器(血液)系の疾患および状態、脊柱の状態、腎臓および膀胱における結石、膿瘍、潰瘍性大腸炎や副鼻腔炎などの炎症性疾患、ならびに頭部、骨格系および臓器への損傷について診断する際に広く使用されています。また、CT画像検査は、認知機能障害のある成人患者においてアルツハイマー病など認知機能低下の原因となる疾患について調べる際に、脳機能の異常や沈着を検出するためにも使用されています。

CT検査はどのように行なわれるのか?

CT検査を受ける際は、寝台にあおむけでじっと横たわり、寝台ごとドーナッツ型をしたX線装置の中央をゆっくりと通過していきます。このように寝台が動くタイプ以外にも、寝台は動かずX線装置が身体の周りを動くものもあります。検査中、ブンブンという音が聞こえるかもしれません。CT撮影中は、画像のぼけを防ぐために、息を止めるように指示される場合もあります。

CT検査では造影剤を使う場合もあります。造影剤は、経口、静脈注射、注腸、あるいはこれら3通りすべてにより検査前に体内に注入されます。造影剤により、身体内の特定の領域が明瞭に浮き出され、より鮮明な画像が得られます。CTでは造影剤としてヨードおよびバリウムが一般的に使用されます。

きわめてまれですが、CTで使用される造影剤によってアレルギー反応が生じる場合があります。軽いかゆみやじんましん(皮膚に現れる小さな盛り上がり)が生じる人もいます。より重度のアレルギー反応の症状として、息切れや、咽喉をはじめとする身体の各部位が腫れることがあります。上記のいずれかの症状が現れた場合、適切な処置を受けるためにも速やかに放射線技師に伝えてください。CTで使用される造影剤は、ごくまれに、腎臓の機能が低下している患者など特定の患者においては腎臓の問題を引き起こすことがあります。腎機能は、造影剤を注入する前に簡単な血液検査で確認することができます。

CTは非侵襲的な検査で、痛みを伴うことはありません。ただし、検査中、同じ姿勢でじっと横になっていることを少し辛く感じる場合があります。CT検査時間はスキャン部位の大きさによって異なりますが、通常、わずか数分から30分ほどです。ほとんどの場合、CT検査は、病院や放射線センターで外来で行われ、入院の必要はありません。

CT検査中に閉所恐怖に陥るのではないかと不安になる方もいますが、ほとんどのCTスキャナは身体の一部分を覆うのみで、全身が囲まれるわけではありません。装置の中に閉じ込められないため、閉所恐怖の心配はあまりないと思われます。

妊娠している可能性が少しでもある女性は、担当医師や放射線技師に伝えてください。 スキャンする部位によっては、医師は放射線量を減らしたり、別の画像診断方法を使ったりすることもあります。しかし、CTスキャンの放射線被ばく量は非常に低く、発育中の胎児に害を与えるほどではないと考えられています。

がん診療におけるCTの用途は?

がんに関連してCTはさまざまな方法に用いられています。

・がんがないか調べること

・腫瘍の有無の診断に役立てること

・がんステージに関する情報を提供すること

・生体組織検査を行うべき部位を正確に特定すること(すなわち生検の指針とすること)

・凍結療法、高周波焼灼療法、放射性シードの移植など、特定の局所的治療の指針とすること

・体外照射療法または手術のプラン作成に役立てること

・がん治療の効果を判断すること

・腫瘍の再発を検出すること

がん検診でのCTの用途は?

これまでの研究によって、CTは大腸がん検診(大きいポリープを含む)および肺がん検診に有効であることが明らかになっています。

大腸がん】

大腸CT検査(別名:バーチャル大腸内視鏡検査)は、大きい大腸ポリープおよび大腸腫瘍の検出に用いることができます。大腸CT検査で照射される放射線量は、腹部および骨盤の標準的なCTと同程度で約10ミリシーベルト(mSv)です(1)。(これに対して、自然界に存在する放射線発生源からの年間平均被ばく量は約3 mSvと推定されます。)標準的な大腸内視鏡検査の場合と同様に、CT検査前に大腸を洗浄して空にします。より鮮明な画像が得られるように、検査では空気もしくは二酸化炭素を大腸に注入して大腸を膨らませます。

NCIの助成により実施された臨床試験である米国CTコロノグラフィ試験(National CT Colonography Trial)によって、大腸CT検査の精度は標準的な大腸内視鏡検査と同程度であることがわかりました。大腸CT検査は標準的な大腸内視鏡検査に比べて侵襲性が低く、合併症リスクも低いとされています。ただし、大腸CT検査でポリープなど異常な増殖が見つかった場合には通常、標準的な大腸内視鏡検査を行って取り除きます。

大腸CT検査が、大腸がんによる死亡率の低下につながるかどうかは未だ明らかになっておらず、現在、多くの保険会社(およびメディケア)が、この検査を保険適用外としています。上記に加えて、大腸CT検査では大腸以外の臓器や組織の画像も同時に撮影されるため、大腸以外の部位の異常が発見される可能性があります。このような「大腸以外の部位での」所見が深刻な場合もありますが、そうではない場合が多く、むしろ不要な追加検査や手術につながるおそれがあります。

【肺がん】

NCIの助成により実施された臨床試験である米国肺がん検診試験(National Lung Screening Trial: NLST)の結果、ヘビースモーカー歴のある55歳から74歳の人々が低線量ヘリカルCTによる検診を受けた場合、標準的な胸部X線検査による検診を受けた場合と比べて、肺がんで死亡する確率が20%低いことが示されました。(先行研究では、標準的な胸部X線検査による検診では、肺がんによる死亡率が低下しないことが示されていました。)低線量ヘリカルCT検査における放射線量の推定値は1.5 mSvです(1)。 喫煙歴のない人は肺がんのリスクが低いため、肺がん検診のメリットはないと考えられています。

NLSTの結果により、ヘビースモーカーにおける低線量ヘリカルCTによる肺がん検診の有効性が示されましたが、こうした利益とともにリスクも確認されました。たとえば、標準的なX線検診を受けた人に比べて、低線量ヘリカルCT検診を受けた人では、偽陽性判定(異常が疑われたが、実際にはがんはなかった場合のこと)の全体的な割合が高かったことが示されましたNCI作成の「患者・医師向けガイド:全米肺がん検診試験(Patient and Physician Guide: National Lung Screening Trial)」には、利害に関する詳細な情報が記載されています。

ヘリカルCTを用いた肺がん検診による利益は、検診を受けようとする人が、NLST参加者とどの程度類似しているかで異なるかもしれません。また、肺がんのリスクが高い人ほど利益が大きく、心臓やその他の肺の病気など医学的問題が多い人ほど、生検やその他の手術から生じる問題が増大する可能性があるために害がより顕著になると思われます。しかし、低線量肺CTでは肺以外の臓器や組織も撮影されるため、腎臓や甲状腺の腫瘤など肺以外の異常が見つかる可能性があります。大腸CT検査による結腸外所見と同様に、そのような所見の中には深刻なものもありますが、多くはそうではありません。

 医療費負担適正化法(Affordable Care Act : ACA)のもと、Marketplace(訳注:Health Insurance Marketplace。米国連邦や州が運営する、医療保険の購入や加入を支援するサービス)のヘルスプラン、および他の多くのヘルスプランでは、55歳から80歳の成人のうち30パックイヤー(*)の喫煙歴(例:30年間1日1パックの喫煙歴、または15年間1日2パックの喫煙歴)がある現喫煙者または過去15年以内に禁煙した元喫煙者に対しては、予防医療給付として低線量CT肺がん検診を保険適用とすることになっています。低線量ヘリカルCT検診の保険適用に該当すると思う方は、肺がん検診の適切性、利益およびリスクについて、担当医師に相談してください。 また、この検診が保険適用となるかどうか、健康保険会社に確認してください。 *(パックイヤーとは、1日の喫煙タバコ箱数×年数)

メディケアでは、喫煙歴からリスクが高いと思われる受益者に対し、年1回の低線量CT肺がん検診の費用を負担しています。年1回の検診が保険適用となるメディケア受益者の要件は、55歳以上77歳未満であること、肺がんの徴候や症状がないこと、現在喫煙者であるか過去15年以内に禁煙していること、30年間1日平均1パック(=30パックイヤー)の喫煙歴があること、そして、メディケア認可の放射線科施設で検診と低線量CTスキャンを受けることです。メディケアの保険適用には、肺がん検診の利益とリスクを確認するために、検診オーダーを書いた医療専門家との検診前カウンセリング受診が含まれています。

全身CTとは?

全身CTでは、あごから腰の下まで体のほぼ全領域を撮影します。全身CT検査は通常、すでにがんに罹患している方におこないますが、がんの症状が一切みられない方におこなう場合もあります。しかしながら、全身CT検査が、健康な方にとって有効な検診方法であるとは示されていません。全身CT検査によって見つかる異常所見は、深刻な健康問題ではないことがほとんどですが、 異常所見の経過をみたり問題がないことを確認するために必要な検査は高額、不便、不快であることがあります。また、所見を評価するために必要な生検などの侵襲的な処置など、患者を余分なリスクにさらす可能性もあります。さらに、全身CT検査では、比較的高線量の電離放射線が使用され、その線量はおよそ12 mSVと、自然界に存在する放射線発生源からの年間平均被ばく推定量の4倍になります。がんの徴候や症状のみられない人には全身CT検査を推奨しない医師がほとんどです。

PET-CTとは?

PET-CTとは、1回の検査で2つの画像撮影法であるCTと陽電子放出断層撮影(PET)を同時におこなうものです。最初にCTで全身の臓器などの構造を撮影します。次にPETでは、組織や細胞の代謝経路(エネルギーを作ったり使ったりするために細胞内で起きる化学反応)に関する機能データを提供する画像が作成されます。がん細胞は多くの場合、正常な細胞とは異なる代謝経路を使用します。

PET/CT検査を受ける患者さんには、がん細胞を特異的に標的とするように設計されたポジトロン放出(放射性)物質、すなわち放射性医薬品が投与されます。数多くの放射性医薬品が開発されており、もっとも一般的なPET検査では、FDG(ブドウ糖に類似した放射性物質)という造影剤が使用されます。がんは通常、正常な組織に比べてブドウ糖代謝が速いため、PET検査でFDGをより多く取り込み、他の組織と異なって見えるのです。

他のPET造影剤から得られる情報としては、特定の組織での酸素レベル、血管新生、骨の発育の有無、腫瘍細胞が活発に分裂および増殖しているかどうか、がんが転移した可能性があるか、などがあります。

PET-CT検査では、CTあるいはPETのいずれか一方を行う検査に比べて、腫瘍の位置、増殖および広がりの程度をより完全に示す画像が得られると思われます。PET-CTによって、がん診断や転移の程度を把握する精度が高まるとともに、治療計画の作成と治療の経過観察に役立てることもできます。さらにPET-CTによって、追加的な画像診断検査や他の処置を患者が受けなくてすむ可能性も出てきます。

CT検査による放射線は有害?

CT検査時に照射される放射線量が心配な人もいるかもしれません。CT画像検査では電離放射線の一種であるX線を使用します。電離放射線を浴びることで、がんのリスクが高まることが知られています。通常の胸部X線検査やマンモグラフィなどの標準的なX線検査では、比較的低レベルの電離放射線が使用されます。CTによる放射線被ばく量は、標準的なX線検査に比べて高くなりますが、1回のCT検査でがんリスクが上がるとしてもわずかです。CT検査を受けないことによるリスクの方が、受けることによるリスクよりもはるかに高いと言えます。特に、がんの徴候や症状が認められる方が、がんや他の重症疾患の診断のためにCT検査を受ける場合にそれが当てはまります。

自然界で発生する電離放射線をある程度の線量レベルで誰もが毎日浴びていることも知っておかなければなりません。米国在住の平均的市民は、ラドンなど自然界に存在する放射性物質や宇宙からの放射線により、年間約3ミリシーベルト(mSv)の有効線量を浴びていると推定されます(1)。一方、胸部への低線量CT検査1回の放射線被ばく量(1.5 mSv)は、自然界に存在する放射線発生源からの被ばく量の6カ月分に相当し、胸部への標準線量CT検査1回の放射線被ばく量(7 mSv)は、自然界に存在する放射線発生源からの被ばく量の2年分に相当します(1)。

CTなど、電離放射線を用いて身体の画像を撮影する検査法が普及するにつれ、がん発症リスク上昇はわずかとは言え、それが積み重なれば将来さまざまながんにつながるのではないかという不安が高まっています(2,3)。子どもは成人に比べて放射線の影響を受けやすく、なおかつ余命も長いことから、子どもの頃にCT検査を受けた人は、がん発症リスクが高い可能性があります。同年齢で同じ線量の放射線を浴びたとすると、女性は男性に比べてがんになるリスクが若干高い傾向がみられます(4)。

CT検査を検討している方は、その検査が本当に必要なのかどうかについて、そして検査のリスクと利益について担当医師と話し合ってください。担当医師が患者の医療記録を全て入手できない場合に備えて、一部の機関は、受診した画像撮影検査の履歴を患者本人が記録しておくことを推奨しています。「私の画像撮影検査履歴(My Medical Imaging History)」は、北米放射線学会(Radiological Society of North America)、米国放射線学会(American College of Radiology)および米国食品医薬品局(FDA)が作成した様式で、X線検査やX線治療を受ける前に医師に聞いておくべき質問事項が載っています。

子どもへのCT検査のリスクは?

CT検査の放射線被ばくによる影響は成人と子どもでは異なります。子どもは身体が成長中で、身体内の細胞が分裂するペースも速いため、成人に比べて放射線による影響をかなり受けやすいと言えます。さらに、子どもは成人に比べて余命が長く、放射線に起因するがんが発生する確率が高くなります(5)。

15歳までにCT検査を複数回受診している人は、白血病、脳腫瘍(6)および他のがん(7)を初回検査後10年以内に発症するリスクが高いことがわかりました。一方、CT検査1回に起因する生涯がん発症リスクは低く、がん発症は子どもへのCT検査10,000回あたり1例程度の確率でした。

親として子どものCT検査に関して医療従事者と話し合う際は、次の3つの質問を必ずしましょう。

・なぜ検査が必要なのでしょうか?

・検査結果によって治療方針が変わるでしょうか?

・放射線を用いない代替検査法はありますか?

検査の必要性が臨床的に説明されれば、検査による利益が長期リスクを上回ることがわかり、安心できるでしょう。

CTによる放射線被ばく量抑制への取り組みは?

CTなど電離放射線を使用する画像検査で発がんリスクが高まることが懸念されているため、複数の団体や政府機関が、画像検査の適切な使用に関するガイドラインや勧告を策定しています。

・Image Gentlyキャンペーンは、小児医療画像検査における放射線量の低減方法について関心を高めるため、2008年に開始されました。このキャンペーンは、小児放射線学会、米国放射線技師会、米国放射線学会、米国医学物理学会によって設立された連合体であるAlliance for Radiation Safety in Pediatric Imaging(小児画像検査の放射線安全性のための連携)の取り組みです。Image Gentlyウェブサイトでは、放射線技師、医学物理学者、放射線科医、小児科医、保護者向けに小児画像検査に関する情報を提供しています。

・2009年、米国放射線学会、北米放射線学会、米国放射線技師会、米国医学物理学会が立ち上げたImage Wiselyキャンペーンは、医学的に必要な画像検査で使用する放射線量を下げ、不要な検査をなくすことを目的としています。Image Wiselyウェブサイトでは、放射線技師、医学物理学者、その他の画像診断従事者、患者に資料や情報を提供しています。

・2010年、米国食品医薬品局(FDA)は、 「Initiative to Reduce Unnecessary Radiation Exposure from Medical Imaging(医療用画像検査による不要な放射線被ばくを減らす取り組み)」を開始しました。この取り組みの重点は、医療用画像撮影機器の安全な使用、特定の画像検査の必要性について十分な理解を得た上での意思決定、そして放射線被ばくに対する患者の意識啓発です。この取り組みの主要な構成要素には、繰り返しの検査は避けること、画質を最大限に高めながら線量をできる限り低く抑えること、適切な場合にのみ画像検査を行うことなどが含まれます。FDAはまた、「Reducing Radiation from Medical X-ray(医療用X線による放射線を減らす)」という手引書を作成しました。この消費者向け手引きには、医療用X線のリスクに関する情報、消費者が放射線リスクを減らすためにできること、一般的な医療用X線検査の放射線量を示した表などが記載されています。

・NIH臨床センターでは、CTやその他の画像検査による放射線被ばくを、同センターで治療を受ける患者の電子カルテに記載するよう義務づけています(8)。さらに、NIHが購入する画像検査機器はすべて、電子データとして追跡・報告できる形で被ばくデータを提供できるものでなければなりません。この患者保護方針は、他の病院や画像検査施設でも採用されつつあります。

 ・NCIのウェブサイトでは医療従事者向け手引き書として、「Radiation Risks and Pediatric Computed Tomography (CT):A Guide for Health Care Providers(放射線リスクと小児コンピュータ断層撮影(CT):医療従事者のための手引き)」を掲載しています。この手引きでは、小児の診断手段としてのCTの価値、小児特有の放射線被ばくの考慮点、放射線被ばくによる小児へのリスク、被ばくを最小限に抑えるための対策を取り上げています。

・ 米国放射線学会(ACR)は、医療従事者がさまざまな臨床状態に対して適切に画像診断や治療を決定できるよう、エビデンスに基づくガイドライン「ACR Appropriateness Criteria(ACR適切性基準)」を策定しました。これらのガイドラインと補足文書は、ACRのウェブサイトから入手できます。

 ・ACRはまた、Dose Index Registry(線量指数レジストリ)を立ち上げ、参加施設におけるすべてのCT検査の線量指数に関連する匿名情報を収集しています。このレジストリのデータを活用して、アメリカ国内の放射線科施設を比較したり、ベンチマークを設定することができます。

 ・CTスキャナメーカーは、より低い放射線量で高品質の画像を提供できる最新カメラと検出システムを開発しています。

CT検査改善へのNCIの取り組みは?

NCIの助成を受けている研究者たちは、がん検診、診断、および治療におけるCT検査利用の改善方法を研究しています。さらにNCIは、CTの改良や、CT画像処理技術の新たな活用につながる方法を探るために臨床試験を実施したり、このような臨床試験に対して助成を行ったりしています。 これらの臨床試験の一部は、NCIの全米臨床試験ネットワーク(National Clinical Trials Network)の5グループのうちの1つであるECOG-ACRIN Cancer Research Groupによって運営されています。現在ECOG-ACRINの一部となっている米国放射線学会画像ネットワーク(American College of Radiology Imaging Network:ACRIN)は、大腸がん検診におけるCT使用を検証する米国CTコロノグラフィ試験(National CT Colonography Trial)を実施し、高リスク者を対象とした肺がん検診でのCT使用を検証するNLSTに参加しました。

NCIのがん治療・診断部門(Division of Cancer Treatment and Diagnosis:DCTD)の一部であるがん画像診断技術プログラム(Cancer Imaging Program:CIP)は、画像技術において、がんに関する基礎研究、トランスレーショナル(橋渡し)研究、および臨床研究を助成しています。CIPは、医師が体内のがん細胞の位置をより正確に特定できるよう、CTなどの画像診断に用いる造影剤の新規開発を支援しています。またCIPは、低線量CT画像など、がんの医療画像を集めたライブラリCancer Imaging Archive(キャンサー・イメージング・アーカイブ)を運営しており、一般の方もダウンロードが可能です。このライブラリは、肺がん検診などで放射線科医がCT画像を解釈する際に役立つようなコンピュータ支援診断の開発において、外部の研究者にも幅広く利用されています。

 CTをもっと詳しく知るためには?

CT画像検査に関する追加情報(原文)が、米国食品医薬品局(FDA)により公開されています。FDAは、食品、医薬品、医療機器、化粧品、生物製剤、放射線放出製品を規制する連邦機関です。

CT画像検査をはじめ、放射線診断に関する情報は、北米放射線学会と米国放射線学会の公開情報サイトであるRadiologyInfo.orgでも入手できます。

【参考資料】

  1. American College of Radiology and Radiological Society of North America (April 2012). Patient Safety: Radiation Dose in X-Ray and CT ExamsExit Disclaimer. Retrieved July 19, 2013.

  2. Berrington de González A, Mahesh M, Kim K-P, et al. Projected cancer risks from computed tomographic scans performed in the United States in 2007. Archives of Internal Medicine 2009; 169(22):2071–2077. 

     [PubMed Abstract]

  3. Smith-Bindman R, Lipson J, Marcus R, et al. Radiation dose associated with common computed tomography examinations and the associated lifetime attributable risk of cancer. Archives of Internal Medicine 2009; 169(22):2078–2086. 

     [PubMed Abstract]

  4. Committee to Assess Health Risks from Exposure to Low Levels of Ionizing Radiation, National Research Council. Health Risks from Exposure to Low Levels of Ionizing Radiation: BEIR VII—Phase 2. Washington, DC: The National Academies Press, 2006.

  5. Frush DP, Donnelly LF, Rosen NS. Computed tomography and radiation risks: what pediatric health care providers should know. Pediatrics 2003; 112(4):951–957.

     [PubMed Abstract]

  6. Pearce MS, Salotti JA, Little MP, et al. Radiation exposure from CT scans in childhood and subsequent risk of leukaemia and brain tumours: a retrospective cohort study. Lancet 2012; 380(9840):499–505.

     [PubMed Abstract]

  7. Mathews JD, Forsythe AV, Brady Z, et al. Cancer risk in 680 000 people exposed to computed tomography scans in childhood or adolescence: data linkage study of 11 million Australians. British Medical Journal 2013 May 21; 346:f2360. doi:10.1136/bmj.f2360Exit Disclaimer

  8. Neumann RD, Bluemke DA. Tracking radiation exposure from diagnostic imaging devices at the NIH. Journal of the American College of Radiology 2010; 7(2):87–89.

     [PubMed Abstract]

 

日本語記事監修: 前田 梓(医学生物物理学/トロント大学)

翻訳担当者山田登志子

原文を見る

原文掲載日

【免責事項】

当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。
翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

関連記事