ペムブロリズマブによる肺がん初回治療の有益性に喫煙歴が影響する可能性

進行非小細胞肺がん(NSCLC)において、PD-1阻害剤ペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)による初回治療の有益性は、患者の喫煙歴と関連する可能性があることが、MDアンダーソンがんセンターの後向きコホート研究でわかった。本研究は、JAMA Network Open誌2022年5月 25日号に掲載された。

この結果は、喫煙歴のある患者とない患者において、化学療法に対してペムブロリズマブと別のPD-1阻害剤(ニボルマブ)が有意に高い有効性を示した2つのランダム化臨床試験の結果と一致する。

本研究では、米国における日常診療で初回ペムブロリズマブ単剤療法を受けた進行非小細胞肺がん患者において、診断時に現在または過去の喫煙歴を報告した患者は、非喫煙者に比べて一貫して全生存期間が長かった。非喫煙者は高齢で、女性の割合が高く、非扁平上皮癌の組織型であった。

ペムブロリズマブ単剤による初回治療を受けた進行非小細胞肺がん患者1,166人のうち、91人(8%)が喫煙歴なし、1,075人(92%)が現在または過去の喫煙者であった。ペムブロリズマブ初回投与を開始した喫煙経験者は、非喫煙者と比較して全生存期間が有意に延長した(OS中央値、12.8カ月対6.5カ月、ハザード比、0.69)。

この傾向はプラチナ製剤による初回化学療法開始群では認められず、喫煙者のほうが非喫煙者と比較して全生存期間が有意に短かかった(HR、1.2)。

この試験では、非喫煙者のサンプル数が少ないという弱点があると著者らは認めている。また、非喫煙者ではゲノム遺伝子型が一致する治療のため、腫瘍を包括的にプロファイリングする努力が優先されるべきであるとしている。

JAMA Network Open、ロイター ヘルス、より要約

監修 高濱隆幸(腫瘍内科・呼吸器内科/近畿大学病院 ゲノム医療センター)

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