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KRAS阻害薬ソトラシブが非小細胞肺がんに長期的な臨床的有用性をもたらす

CodeBreaK 100試験の2年追跡調査で、腫瘍への効果持続期間の延長と良好な安全性プロファイルが確認された

KRAS G12C阻害薬ソトラシブ(販売名:ルマケラス)を投与した非小細胞肺がん(NSCLC)患者の2年全生存率は32.5%であったとのCodeBreaK 100試験の結果が、4月8日から13日まで開催された米国がん学会(AACR)年次総会2022で発表された。

この試験の主要解析結果に基づき、米国食品医薬品局(FDA)は2021年5月に、腫瘍にKRAS G12C変異を有する、治療歴のある局所進行/転移NSCLC患者に対する治療薬としてソトラシブを承認している。

この結果を発表した、ロズウェルパーク総合がんセンター(ニューヨーク州バッファロー)胸部腫瘍科部長兼腫瘍学教授のGrace K. Dy医師は次のとおり述べている。「ソトラシブは、非小細胞肺がん患者を対象として承認されたファーストインクラス(画期的医薬品)のKRAS G12C阻害薬であるため、安全性と有効性をより明確にするためには長期間の追跡データが重要です。今回の解析では、ソトラシブによる治療によって長期的な利益を得られる患者を特定できる潜在的なバイオマーカーの有無についての判断も試みました」。

Dy医師らは、このCodeBreaK 100試験の第1相および第2相複合試験でソトラシブの投与を受けた174人の患者のデータを解析した。ほとんどの患者には、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体による免疫療法薬やプラチナ製剤を用いた化学療法など、平均2種類の治療歴があった。

この最新の解析にはFDAが承認した用量のソトラシブ960mg/日を投与された非小細胞肺がん患者が含まれているが、これらの患者の40.7%がソトラシブに対して部分奏効または完全奏効を示しており、奏効期間の中央値は12.3カ月であった。無増悪生存期間および全生存期間の中央値は、それぞれ6.3カ月と12.5カ月であった。全生存率は、治療開始1年後で50.8%、2年後で32.5%であった。

ソトラシブの長期投与は忍容性が良好で、毒性は軽度で管理可能であり、ソトラシブを1年以上継続投与している患者においても新たな安全性の懸念は示されなかった。

「登録された非小細胞肺がん患者の大多数が過去に免疫療法薬やプラチナ製剤を用いた化学療法を受けていたことを考えると、2年全生存率がほぼ33%であり、従来の治療成績と比較して非常に良好であることは注目に値します。例えば、非扁平上皮NSCLC患者が二次治療として化学療法薬であるドセタキセルを単独または抗VEGFR抗体ラムシルマブ(販売名:​​サイラムザ)と併用で投与されたときの2年全生存率は、15~22%とされています」と、Dy医師は述べている。

また、Dy医師は「生存期間と毒性プロファイルからみると、ソトラシブは、以前の治療で奏効しなかった患者において、サルベージ化学療法と比較して最適な治療法となります」と続けた。

さらに、腫瘍への効果持続期間の延長はPD-L1の発現とは無関係に、PD-L1発現レベルの低い腫瘍でも認められた。「今回の結果は、免疫療法の効果があまりみられない非小細胞肺がん患者の予後を改善するために、治療経過の早い段階でソトラシブを組み込むことを検討する研究の根拠にもなります」と、Dy医師は続けた。

この研究では、持続した臨床的有用性が認められるバイオマーカーのプロファイルを特定するために、腫瘍と血液サンプルの両方で追加の解析を実施した。これらの研究により、腫瘍の変異負荷、PDL1の発現状況、およびSTK11の共存遺伝子変異の状態とは無関係に、臨床的有用性の延長が観察されることが示された。

この試験の限界は、CodeBreaK 100試験が単一群の非ランダム化試験であることである。現在、ドセタキセルを比較対照薬とするランダム化国際共同第3相試験(CodeBreaK 200)が実施されている。Dy医師は「本年中に発表される予定の第3相試験の結果が待たれるが、CodeBreaK 100試験で得られた結果が確定できるものと期待しています」と述べている。

この試験はアムジェン社の資金援助により実施された。Dy医師は過去2年間にアストラゼネカ社、イーライリリー社、Mirati Therapeutics社、武田薬品からコンサルティング料を受領している。

翻訳担当者瀧井希純

監修 稲尾 崇(呼吸器内科/神鋼記念病院)

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