[ 記事 ]

慢性下肢リンパ浮腫が高齢女性がんサバイバーの身体機能に大きく影響

大腸がん、子宮内膜がん、卵巣がんの高齢女性サバイバーの約3分の1は、下肢の慢性的な腫脹(リンパ浮腫)のために身体活動において生活の質(QOL)を損なうような問題を抱えていることが新たな研究によって明らかになった。今回の研究は、大腸がんサバイバーの下肢リンパ浮腫を評価した初めての研究である。

オハイオ州立大学総合がんセンターアーサー・G・ジェームズがん病院およびリチャード・J・ソロブ研究所(OSUCCC – James)の研究者らは、これらの知見は、高齢がんサバイバーの身体能力および自立性の維持を目的として有効かつタイムリーな介入を行うためには、彼らの下肢リンパ浮腫の定期的評価が重要であることに注意を向けるものであると述べている。現在このような評価は、米国の臨床実践ガイドラインにはない。

この研究結果は、JAMA Network Open誌の3月9日号に掲載された。

リンパ浮腫は、下肢および上肢の腫脹、重苦しさ、痛み、不快感、運動能力の低下などの症状を伴う慢性疾患で、多くの場合、がん治療の副作用に関連している。この疾患は、日常生活に必要な活動(例えば、歩行、長時間の立ち仕事、重いものを持ち上げるなど)の能力に影響を及ぼす。この疾患を放置すると、体の患部(多くは腕、骨盤、脚)に慢性的な感染症を引き起こし、重症の場合は手足を失う場合がある。

「早期発見と効果的な治療により、がんサバイバーはより長く生きられるようになりましたが、その結果、生活の質を長期的に維持することがより重要になってきています。身体能力が制限されると、心身の健康に影響を与え、その影響は年を重ねるごとにさらに深刻になります」と、この研究の筆頭著者であり、OSUCCC-Jamesで人口科学/地域社会部門の副ディレクターを務めるElectra Paskett氏は述べている。

研究方法と結果

今回の研究では、過去に子宮内膜がん、大腸がん、または卵巣がんと診断された閉経後の女性900人を対象に、二次解析を行った。試験登録者はすべて、Women’s Health Initiative(WHI、女性の健康プロジェクト)プログラムおよびその付随研究であるLife and Longevity After CancerLILAC、がん治療後の暮らしと寿命)の参加者であった。LILAC研究にはWHIのがんサバイバーが登録されていた。LILAC研究は、フレッドハッチンソンがん研究センター、カイザーパーマネンテ、およびオハイオ州立大学の研究者が共同で主導している。WHIには、1993年から1998年にかけて、OSUCCC-Jamesを含む全米40の提携医療機関から女性が登録された。

試験登録者の平均年齢は78.5歳で、がん診断から平均8.75年が経過していた。下肢リンパ浮腫のない同年代の女性と比較したところ、全員が身体能力の低下を経験していた。特に大腸がんサバイバーへの影響は顕著で、その21.8%が身体機能の著しい低下、および歩行、長時間の立ち仕事、重いものを持ち上げるなどの日常生活動作における介助必要性の増加を報告している。こうした傾向は、子宮内膜がんや卵巣がんのサバイバーでは認められなかった。

「私たちのデータによって、女性がんサバイバーの多くが抱える重大かつ重要な課題に注意が向けられています。それは、長期的なサバイバーシップケアの一環として医療界が真剣に関心を払い、行動をとるべきものです」とPaskett氏は述べている。

「がんを克服することだけでなく、がんになった後の人生も充実させるべきです。私たちの知見は、特に高齢のがんサバイバーにおいて、下肢リンパ浮腫の症状を軽減し、身体機能を改善し、自立した生活と生活の質を維持・向上させるための介入を特定し実施することが急務であることを示しています」。

本研究の共著者には、Xiaochen Zhang、Eric McLaughlin、Jessica Krok-Schoen、Michelle Naughton、Brittany Bernardo、Andrea Cheville、Matthew Allison、Marcia Stefanick、Jennifer Beaである。本研究は、米国国立心肺血液研究所、米国国立衛生研究所、米国保健福祉省、米国国立がん研究所、乳がん研究基金からの助成金で行われた。

リンパ浮腫診療の進歩

リンパ浮腫の予防と管理のための医学的治療は、過去10年間で劇的に改善されたが、包括的な治療センターは全米でもまだ限られている。OSUCCC – Jamesは、Lymphatic Education and Research Networkにより、リンパ系疾患の診断と治療における包括的なセンターとして指定されている。この指定は、腫瘍学を含む、患者コミュニティにおけるリンパ浮腫およびリンパ系疾患の医療について、厳しい基準を満たした病院に与えられるものである。OSUCCC – Jamesにおけるリンパ浮腫の治療について詳しくは、cancer.osu.edu/lymphhedemaをご覧ください。

翻訳担当者外山ゆみ子

監修佐藤恭子(緩和ケア内科/川崎市井田病院)

原文掲載日

【免責事項】

当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。
翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

関連記事