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ウェールズが子宮頸がん検診の間隔を5年に延長ーその理由は?

ウェールズは今週、子宮頸がん検診指針の変更を発表しました。

英国国立検診委員会(UK National Screening Committee)の推奨に沿ったこの変更は、子宮頸部を有する25〜64歳の女性はすべて、5年に1回子宮頸がん検診を受けることを勧めています。これは、25〜49歳の女性は3年に1回、50〜64歳の女性は5年に1回子宮頸がん検診を受けることを勧めるこれまでの推奨と異なります。

この決定は大きな話題となり、検診間隔が長くなることで子宮頸がんの見落としにつながるのではないかと心配する声が多く聞かれました。

しかし、この変更にはもっと深い意味があるのです。

子宮頸がん検診に用いられる検査法が変更されたため、検診間隔を3年から5年に延長することが推奨されています。新たな検査法は、子宮頸がんの発症リスクの高い人を、子宮頸がん検診に使用されていた従来の検査法よりも高い精度で検出します。つまり、リスクの高くない人にとって安全に、現行の検診間隔を延長することができるのです。

改善された新たな指針

子宮頸がん検診の新たな検査法がなぜ、子宮頸がんリスクの高い女性を高い精度で発見できるのかを理解するには、子宮頸がんが発生するしくみを知ることが有用です。

ほぼすべての子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因です。HPVは、皮膚や体の内側を覆っている細胞に感染する一般的なウイルスです。100種類以上あり、約13種類の「ハイリスク」型ががんに関連します。

10人に8人が、生涯のある時点でHPVに感染しますが、ほとんどの場合、感染は自然に治癒し、それに気づくこともありません。

しかし、感染が治癒しない場合もあります。このとき、DNA損傷が起こり、体内の細胞に変化が生じます。このような細胞の変化は、細胞自ら修復することができますが、長い間治療されずに放置されると、がんが発生する可能性があります。

従来の子宮頸がん検診の検査法は、子宮頸部の異常な変化を検出することが目的でした。

新たな検査法では、子宮頸部からサンプルを採取する手順は同じですが、(従来の細胞診ではなく)HPVの検査がまず行われ、HPV 検査単独法(*サイト監修者注参照)と呼ばれます。異常細胞発生するよりも先にHPV感染が起っているため、HPV検査によって子宮頸がん発症リスクを有する女性をより早い時点で発見することができす。 

なぜ5年間隔に変更されたのですか?

HPV検査を用いた5年に1回の検診は、3年に1回の従来の検査と同等以上の予防効果があります。子宮頸がんは通常、発症までに長い年月を要するため、HPV検査が陰性であれば、この先5年間に子宮頸がんを発症するリスクは非常に低いのです。

英国の他の地域の実施状況は?

英国国立検診委員会は、英国のすべての国子宮頸がん検診の新たな検査法および間隔を実施することを推奨しています。スコットランドとウェールズがいち早く新たな間隔を採用し、イングランドがそに続いています。北アイルランドはまだHPV検査単独法*に移行していませんが、すみやかに変更することれます。

HPV検査が陰性人は、5年後に再度子宮頸がんの定期検診を受けるよう勧められます。なぜなら、子宮頸がんの発症リスクが非常に低いからです。

しかし、HPVが陽性だった場合、子宮頸部サンプルに異常細胞所見認めるかどうかによって、検診間隔が短縮されるか、あるいは他の検査の受診を勧めらます。

つまり、新たな検査法では、年齢だけでなく、子宮頸がんの発症リスクに基づいて次回の検診案内されるしくみになっています。

100%正確な検査法は存在しないため、結果が陰性だったからといって健康が証明されたわけではないといことを認識しておくことが重要です。何らかの異変を感じ場合は医師に相談してください。がん検診は自覚症状のない健康な人が受けるものです。次の検診までの間に異変に気づいた場合は、検診の予定を待たずにすみやかに医師に相談してください。

 

(*サイト監修者注:この新たな検査法では、子宮頸部からサンプルを採取する手順は同じですが、従来の細胞診ではなくHPV の検査がまず行われます。異常細胞が発生するよりも先に HPV 感染が起っているため、 HPV 検査によって子宮頸がんの発症リスクを有する女性をより早い時点で発見することができます。 この検診法は HPV検査単独法と呼ばれ、このほかに細胞診も併用する細胞診+ HPV検査併用法と2つの検診法があります。 )

翻訳担当者工藤章子

監修斎藤博(がん検診/青森県立中央病院)

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