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ESMOが転移性乳がんの新ガイドラインを発表

  • 2021年11月18日
  • 発信元:欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

[欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2021プレスリリース]

待望のESMO転移性乳がんの診断・分類・治療に関する診療ガイドライン(ESMO Clinical Practice Guideline for the diagnosis, staging and treatment of metastatic breast cancer )(1)が本日、Annals of Oncology誌に掲載された。乳がん啓発月間に合わせて世界中で情報発信や支援活動が行われるなか、本ガイドラインが発表されたことは、個別医療(プレシジョン・メディシン)が求められる時代において、近年の研究成果を実際の治療に反映させる上で画期的な出来事と言える。

数々の新しい治療法に関する臨床試験のエビデンスが十分に蓄積され、がん専門医にとって日常的な治療方針決定に役立つレベルになっていることを受けて、本ガイドラインは過去数年間に大きな進捗のあった研究を網羅し、進行乳がんの管理についての最新技術を総合的に示すものとなった。作成にあたってパネルを務めたのはこの分野で最も著名な専門家28人であり、本ガイドラインは前回のESO-ESMO進行乳がんに関する国際コンセンサスガイドライン5(The 5th ESO-ESMO international consensus guidelines for advanced breast cancer)(2)に代わるものとなっている  。

ESMOガイドライン委員会の委員長であるGiuseppe Curigliano教授は、次のように述べている。「科学的知識は急速に進歩しているため、ESMO診療ガイドラインのような文書が作成されたあと、出版され、臨床で使用されるまでの間に新しいエビデンスが出てくることもあります。そのため、転移性乳がんに関する今回のガイドラインでは、最新のデータであっても革新的な治療法となる可能性があれば内容に盛り込むという方式にしました。さまざまな治療法の選択肢について、その根拠となるエビデンスのレベルに応じて、ESMO Magnitude of Clinical Benefit Scale(ESMO-MCBS)およびESMO Scale for the Clinical Actionability of Molecular Targets(ESCAT)における評点に基づいた推奨度を段階的に示しています」。

進行がんの腫瘍生物学的特性は、早期乳がん治療の進歩に由来する淘汰圧のもとで変化したと考えられ、新たな標的療法の出現によって、将来、乳がんのサブタイプ分類が見直される可能性もある。こうした状況下でESMOガイドラインが作成されたことは、いずれ起こるであろう治療の技術革新についての議論の立ち上げを支援する上でまさに時宜を得ており、またそのガイドラインも、新しい技術とともに今後も発展するものである。

将来的には、ガイドラインの「Living版」がESMOのウェブサイトで公開され、ユーザー指向の双方向性ツールを提供することになるだろう。医師は必要に応じて治療アルゴリズムや重要な参考資料、また定期的に更新される情報にリアルタイムでアクセスできるようになる。また2022年には、アジア各国の民族的、科学的、社会経済的、地域的な特徴を考慮した、汎アジア版転移性乳がんのガイドラインが発行される予定であり、これはアジア全域の医師に、それぞれの地域の実情のなかで適用可能な治療法についての情報を提供し、最適な治療を可能にするものである。

参考文献

  1. A. Gennari, F. André, C. H. Barrios, J. Cortés, E. de Azambuja, A. DeMichele, R. Dent, D. Fenlon, J. Gligorov, S. A. Hurvitz, S.-A. Im, D. Krug, W. G. Kunz, S. Loi, F. Penault Lorca, J. Ricke, M. Robson, H. S. Rugo, C. Saura, P. Schmid, C. F. Singer, T. Spanic, S. M. Tolaney, N. C. Turner, G. Curigliano, S. Loibl, S. Paluch-Shimon and N. Harbeck, on behalf of the ESMO Guidelines Committee. ESMO Clinical Practice Guideline for the diagnosis, staging and treatment of patients with metastatic breast cancerhttps://doi.org/10.1016/j.annonc.2021.09.019
  2. F. Cardoso, S. Paluch-Simon, E. Senkus, G. Curigliano, M.S. Aapro, F. André, C.H. Barrios, J. Bergh, G.S. Bhattacharyya, L. Biganzoli, F. Boyle, M.-J. Cardoso, L.A. Carey, J. Cortés, N.S. El Saghir, M. Elzayat, A. Eniu, L. Fallowfield, P.A. Francis, K. Gelmon, J. Gligorov, R. Haidinger, N. Harbeck, X. Hu, B. Kaufman, R. Kaur, B.E. Kiely, S.-B. Kim, N.U. Lin, S.A. Mertz, S. Neciosup, B.V. Offersen, S. Ohno, O. Pagani, A. Prat, F. Penault Lorca, H.S. Rugo, G.W. Sledge, C. Thomssen, D.A. Vorobiof, T. Wiseman, B. Xu, L. Norton, A. Costa and E.P. Winer. 5th ESO-ESMO international consensus guidelines for advanced breast cancer (ABC 5). https://doi.org/10.1016/j.annonc.2020.09.010

 

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(*以下、英語ページです。自動翻訳がご利用可能です)

診療ガイドライン(Clinical Practice Guidelines) – 転移性乳がん

2021年10月19日

eUpdate – 腎細胞がんの治療に関する推奨事項

2021年9月28日

診療ガイドライン- 消化管間質腫瘍(GIST)

2021年9月21日

診療ガイドライン – 骨肉腫

2021年09月06日

翻訳岩佐薫子

監修田原梨絵(乳腺科/乳腺腫瘍内科)

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原文掲載日

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