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ASCOが化学療法誘発性末梢神経障害の初回治療にデュロキセチンを推奨

成人のがんサバイバーにおける化学療法誘発性の末梢神経障害(CIPN)に対しデュロキセチン(販売名:サインバルタ)を初回治療として使用すべきであると、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の最新ガイドラインで定められた。

「ガイドラインに込められている最も重要なメッセージは、デュロキセチンはCIPNの治療に有効であり初回治療として考えるべきだということです」と、シカゴ大学のBenjamin A. Derman医師は述べた。同医師は同僚のAndrew M. Davis医師とともにJAMA誌の新たな報告書の中で同ガイドラインを要約している。

「また、CIPNの予防に役立つとされる薬剤の多くが、この場面での使用は確かなエビデンスで裏付けられていません」と、Derman医師はロイター ヘルスにメールで伝えた。「特に、アセチル-L-カルニチンはCIPNの予防に使用すべきではありません」。

2014年からの旧ガイドラインを更新するために、ASCOによって任命された専門家委員会はその年以降に発表された臨床試験の文献検索を行い、選択基準を満たした関連アブストラクト45編を特定した。

結果として得られた証拠に基づき、同専門家委員会は以下を推奨している。

臨床医は、痛みを伴うCIPNの患者にデュロキセチンを提供することができる(推奨度中程度、証拠の質中等度)。

臨床医は、神経毒性を有する抗がん剤を受けていて痛みのあるCIPNの患者には、投薬の延期、減量、または中止を検討すること(推奨度中程度、証拠の質低度)。

臨床医は、以下の薬剤をCIPN予防のために提供しないこと:カンナビノイド、ガバペンチン(販売名:ガバペン)/プレガバリン(販売名:リリカ)、ベンラファキシンン(販売名:イフェクサー)、ビタミンE、ビタミンB(推奨度中程度、証拠の質中等度)。

臨床医は、CIPN予防のためのアセチル-L-カルニチンの使用を避けること(推奨度強、証拠の質高度)。

著者らは、CIPNの治療のためにデュロキセチンの使用を増やすと神経障害による疼痛が改善することがあるものの、食欲不振、体重減少、悪心、頭痛、疲労感などの副作用が生じる可能性もあると認めている。

Derman医師は、「現役の臨床医が利用できる多くの薬剤には、CIPNの治療や予防に効果的だという評価があるかもしれませんが、実際にはその使用を裏付ける根拠が示されている薬剤はほとんどありません。これらのガイドラインは、最初に検討すべき薬剤、そして、同じくらい重要ですが、完全に避けるべき薬剤の明確化に役立っています」と述べた。

「これらのガイドラインは医学文献に基づいており、エビデンスに対する私のこれまでの理解、および個人の診療と一致するものです」と同医師は付け加えた。「担当する患者のCIPNの対処法について関心を持つ多忙な臨床医のために、重要なポイントが明確にまとめられています」。

著者らは、さらなる関連研究に期待を寄せている。

「CIPN分野は一般的に研究が進んでいません。本ガイドラインに記載される推奨事項につながった多くの試験は小規模な研究であり、当該薬剤がCIPNに与える影響を説明するために、有効な評価項目はさまざまなものが使われています」とDerman医師は述べている。

「小規模試験でプレガバリンがCIPNの治療に有効であったことから、さらなる調査が必要な分野として、ガバペンチノイド(ガバペンチン/プレガバリン)をCIPNの治療に使用することが挙げられます」。

麻酔科医のAndrew T. Leitner医師(シティー・オブ・ホープ統合がんセンター、インターベンショナル・ペインマネジメント部長、カリフォルニア州ドゥアルテ)は、「高頻度に見られるCIPNのような症状にはこのような最新のガイダンスが臨床で役立ち、有効性が実証されていない予防対策を避けることができます」と述べている。

Leitner医師は「さらに、予防的使用が推奨されないアセチル-L-カルニチンは、現在作成中の、有益性の実証されていない薬剤リストに追加されます」と、ロイター ヘルスにメールで伝えた。

「鍼治療、スクランブラー療法、運動など、有害となるリスクが低いCIPN予防・治療法についてはデータが不十分で推奨できなかったため、さらなる研究が必要です」と同医師は指摘した。

原典:https://bit.ly/3zMM1CG JAMA誌 オンライン版 2021年9月21日

翻訳白濱紀子

監修佐藤恭子(緩和ケア内科/川崎市井田病院)

原文掲載日

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