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乳がんの術式選択が若年サバイバーのQOLに影響する可能性

早期乳がんの若い女性が選択した手術の種類により数年後の生活の質に影響する可能性があることが新たな研究で明らかになった。

片側または両側の乳房を手術で切除した女性(片側または両側乳房切除術)は、腫瘍とその周辺の健康な組織のみを切除する手術(乳房温存手術)を受けた女性と比較してQOL(生活の質)調査のスコアが低く、QOLの低下が示唆されることが明らかになった。

研究者らは、560人の若年性乳がんサバイバー(診断時の年齢が40歳以下)に追跡調査の一環としてBREAST-Qと呼ばれる質問票を送付した。その質問票では、術後の乳房に対する満足度、心理社会的幸福度(不安レベルなど)、性的幸福度などを含むいくつかの項目について質問をおこなった。

これらのどの項目も、乳房温存手術、片側乳房切除術、両側乳房切除術のいずれを受けたかにより回答が異なっていた。乳房切除術後に放射線治療を受けた女性のスコアが最も低く、QOLが悪化していることが9月1日付のJAMA Surgery誌に掲載された結果で明らかになった。

「乳がん女性が選択する手術が長期的な生活の質に影響を与える可能性があります」と本研究を主導したダナ・ファーバー・ブリガムがんセンター(Dana-Farber Brigham Cancer Center)の外科医であるLaura Dominici医師は語る。

「臨床医として、患者と手術の選択肢について対話し、選択した治療法が生活の質にどのような影響を与えるかを理解してもらう必要があります」とDominici医師は語る。

外科的治療法の選択

早期乳がんと診断された女性は外科療法を選択する場合が多い。術式が異なる場合でも生存率は変わらず、がんの再発リスクも同等であることがこれまでの研究で示されている。しかし、乳房切除術では、外科療法による合併症の頻度が乳房温存手術よりも高い。

結果が同様であるにもかかわらず、米国では早期乳がんの女性が乳房切除術を選択するケースが増えている。これには、片方の乳房に早期がんがある女性がもう片方の(健康な)乳房を切除する予防的対側乳房切除術を選択する場合も含まれる。

実際、本研究の参加者のほとんどが早期乳がんであり、その多くが腫瘤摘出術などの乳房温存手術の適応となる人たちだったであろうとDominici医師は解説する。それにもかかわらず、72%が乳房切除術を選択し(片側乳房切除術が20%、両側乳房切除術が52%)、28%が乳房温存手術を選択した。

研究の参加者がBREAST-Qのアンケートに回答した時期は、がんと診断されてから中央値5.8年後であった。ほとんどの参加者は白人、既婚者、経済的に余裕がある人、大卒者であった。

この質問票では患者がさまざまな問題を0~100の範囲で評価し、スコアが高いほど結果が良好であることを意味する。

乳房の満足度については、BREAST-Qは女性たちに自分の乳房が十分合っているか、触った感じはどうか、服を着たときや脱いだときにどのように見えるかについての感想を質問している。また、社会的な場での自信、情緒的健康、自尊心についても質問している。

患者とのカウンセリングに研究結果を盛り込む

今回の研究結果は患者へのカウンセリングに取り入れられるべきである、とメモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(Memorial Sloan Kettering Cancer Center)の乳腺外科医であるモニカ・モロー医師は巻頭辞の中で述べている。

乳房切除後のQOLスコアが乳房温存療法に比べて低いことを乳房切除と乳房温存療法のメリットの議論に加えるべきであるとMorrow医師は付け加えた。

早期乳がんの女性は反対側の乳房にがんが発生するリスクが低いことをMorrow医師は指摘した。このような情報は、乳房切除術にメリットがないことや外科的合併症のリスクが高いことを併せて患者に伝えるべきであると彼女は記している。

「予防的対側乳房切除術を外科医が推奨しないことが、その療法を施行しないという強力な抑止力となる」と彼女は記している。

乳がん手術の動向

乳房切除術が一般的になったのと同様に乳房切除術後の放射線治療も増加している。

このような傾向を考慮すると、乳房切除術を受けた女性、特に乳房再建後に放射線治療を受けた女性の乳房の満足度が低下しているという本研究の結果は「懸念事項」であると研究者らは記している。

「乳房切除術、特に乳房切除術後に放射線を照射した場合、QOLが低下する可能性があることを患者に伝えることができる、ということが重要です」とDominici博士は語る。

今回の研究結果は、乳房手術を検討している女性がQOLの問題について情報を得られるよう、がんサバイバーを対象とした調査を行うことの重要性を強調しています」とNCIのがんサバイバーシップオフィス(Office of Cancer Survivorship)のディレクターであるEmily Tonorezos医師は語る。

「女性たちががんの再発リスクのみを考慮するのであれば、このような外科的治療法の選択肢は類似しているように見えます」さらにTonorezos医師は「しかし、患者の長期的な満足度や幸福度を考慮すると重要な違いが浮上します」と続けた。

参加者が質問票に回答したのがある一時点のみであったことがこの研究の限界であるとTonorezos医師は指摘する。参加者が手術を選択した時点のQOL(生活の質)を知ることができなかったことも研究の限界であった。また、参加者がなぜそちらの治療法を選択したのかも明らかにできなかった。

この結果は、研究対象となった患者のタイプ(白人、既婚者、大卒者など)以外の女性に広く適用できるものではない可能性があると研究者らは指摘する。

「これまで女性とQOLについて話し合うことにそれほど時間を費やしていなかったかもしれません」とDominici医師は語る。「この研究は患者とこのような話し合いをすることの重要性を示しています」。

翻訳松長愛美

監修廣田 裕(呼吸器外科、腫瘍学/とみます外科プライマリーケアクリニック)

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