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ぺムブロリズマブは一部のトリネガ乳がんに画期的な治療薬

初回化学療法へのペムブロリズマブ(キイトルーダ)追加は、局所再発切除不能または転移性トリプルネガティブ乳がんで、PD-L1複合陽性スコア(CPS)10以上の女性患者において全生存期間を有意に延長することがKEYNOTE-355試験の最終結果によりわかった。

Hope Rugo博士(サンフランシスコ、カリフォルニア大学ヘレン・ディラー・ファミリー総合がんセンター)は2021年欧州臨床腫瘍学会年次総会(ESMO 2021)で本知見を発表し、この結果は上記患者に対するぺムブロリズマブ+化学療法を「新たな標準治療レジメン」として支持していると述べた。

本試験では、転移性トリプルネガティブ乳がんの初回治療として、化学療法(nab-パクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン+カルボプラチンのいずれか)+ぺムブロリズマブを投与する群、または同化学療法+プラセボを投与する群に847人の女性を無作為に割り付けた。

Rugo博士は、追跡期間中央値44.1カ月の時点で、ぺムブロリズマブの投与を受けた患者の全生存期間が有意に改善したと報告した。全生存期間はプラセボ投与群が16.1カ月、ペムブロリズマブ群が23.0カ月とおよそ7カ月の差があり、ハザード比は0.73、「すなわち相対的な改善率は27%であり、P値は0.0093でした」と同氏は説明した。

ペムブロリズマブは、PD-L1 CPS 1以下の腫瘍では有用性を上乗せする効果はなく、新たな安全性に関する徴候は認められなかった。

Maria Vittoria Dieci博士(イタリア、パドヴァ大学)はESMOニュースリリースで、「本疾患の全生存期間は何年間も低迷し続けているため、この最新知見は非常に重要です」とコメントした。

「免疫療法の作用機序により、全生存期間(OS)の延長期間が無増悪生存期間(PFS)の延長期間を上回ることは多く、まさに同様のことが、KEYNOTE-355試験でもみられたのです。ぺムブロリズマブは化学療法と比較して、PFSで4カ月、OSで7カ月の優位性を示しました」とDieci博士は述べた。

Amy Tiersten博士(ニューヨーク市、マウントサイナイ・アイカーン医科大学、内科学・血液学・腫瘍内科学教授)は、ロイター・ヘルスに電子メールで次のように回答した。「免疫療法はがん治療全般に大変革をもたらしましたが、免疫療法を化学療法に追加した場合、PD-L1陽性(CPS > 10)のトリプルネガティブ乳がん患者の全生存期間が実際に有意な改善を示したのは、今回が初めてです」。

「KEYNOTE-355試験では、これまで無増悪生存期間の改善が認められていましたが、さらなる追跡調査と解析によるこの生存期間の改善は、非常にエキサイティングです」とTiersten博士は述べている。同氏は本試験に参加していない。

「トリプルネガティブ乳がんは、これまで分子標的治療がなかった乳がんです。このようながんは悪性度が高く、優れた治療選択肢も多くありません。さらに、転移性乳がんに対する何らかの併用療法が、単剤療法と比較して生存期間の改善を示すことは非常にまれです」とTiersten博士は付け加えた。

本研究はMerck社から資金提供を受けている。複数の著者が同社との金銭的関係を公表している。

出典:https://bit.ly/3nNaaXt ESMO 2021 Congress, 2021年9月18日発表

 

*サイト注:薬剤の販売名は次のとおり:ぺムブロリズマブ(キイトルーダ)、nab-パクリタキセル(アブラキサン)、パクリタキセル(タキソール)、ゲムシタビン(ジェムザール)、カルボプラチン(パラプラチン)

翻訳佐藤美奈子

監修下村昭彦(乳腺・腫瘍内科/国立国際医療研究センター乳腺腫瘍内科)

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