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タモキシフェン後エキセメスタンによって乳癌の再発が減少、生存期間を延長する

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タモキシフェン後エキセメスタンによって乳癌の再発が減少、生存期間を延長する

http://www.cancer.gov/types/breast/research/exemestane-prolongs-survival

(Posted: 03/10/2004, Updated: 06/04/2006) 2006年American Society of Clinical Oncology(ASCO)会議の研究発表によると、 数年間タモキシフェン投与後エキセメスタン(アロマシン)に転向した閉経後乳癌女性における大規模多国間第3相臨床試験のさらに長い追跡期間データで、タモキシフェン投与を続けた女性に比べて病気の進行の遅延と生存の優位性が確認された。

 

 

要約
数年間のタモキシフェン投与後にエキセメスタン(アロマシン®)へ変更した閉経後乳癌女性を対象とする大規模多国間第3相試験の長期追跡調査のデータから、タモキシフェン投与を継続した女性よりも乳癌の進行が遅くなり、生存率も良好なことが示されました。

 

出典 米国臨床腫瘍学会年次総会 ジョージア州、アトランタ 2006年6月3日(会議抄録参照)

 

背景
乳癌手術後、ホルモンのエストロゲンに反応して腫瘍が増殖する女性は、通常抗エストロゲン薬タモキシフェンを5年間服用して、乳癌の再発リスクを減少させます。しかし、タモキシフェンはすべての再発を予防するわけではなく、乳癌細胞は本剤に耐性を示すようになることがあります。また、女性の子宮内膜癌、血栓、および卒中のリスクを増加させます。

 

タモキシフェンとエキセメスタンはいずれもエストロゲンに反応する乳房腫瘍の増殖を阻害しますが、両剤は異なる方法で作用を発揮します。タモキシフェンは乳癌細胞が増殖するためにエストロゲンを利用する能力を阻害しますが、エキセメスタンは身体のエストロゲン産生能力を阻害します。

 

エキセメスタンは、エストロゲンを産生するのに身体が利用する酵素、アロマターゼを不活化します。閉経前はエストロゲンの大半が卵巣で産生され、エキセメスタンが阻害できるより多くのアロマターゼが含まれています。しかし、閉経後の卵巣はもはやエストロゲンの主要供給源ではなく、エキセメスタンはその他の組織によるエストロゲン産生を阻害できます。このため、エキセメスタンやその他のいわゆるアロマターゼ阻害剤(AI)は、閉経後女性のみに有効です。

 

さまざまな大規模多国間試験の早期の知見により、タモキシフェン5年服用後にAIを服用する女性、あるいは短期間タモキシフェンを服用後にAIへ変更する女性では、癌が再発する可能性が低いことが示唆されました。これらの試験ではエキセメスタン以外のAI、正確にはアナストロゾール(アリミデックス®)およびレトロゾール(フェマーラ®)が使われていました。タモキシフェンとは異なり、AIによって、子宮内膜癌、血栓、および脳卒中のリスクが増加することはありません。

 

試験
1998年に開始し、37ヵ国から閉経後女性4,724名を本試験に組み入れました。全員が早期乳癌に対する治療を受けており、再発予防を期して2~3年間タモキシフェンを投与し、現在は癌を認めていません。試験へ登録後、参加者を2群のうちのいずれかに無作為に割り付けました。1群(2,352名)にはエキセメスタンへ変更してその後2~3年間投与し、計5年間の治療を行いました。もう1群(2,372名)にはタモキシフェンを継続投与し、5年間の治療を終了しました。

 

本試験の試験責任医師は、英国ロンドンのImperial CollegeのRaoul Charles Coombes医学博士でした。

 

参加者に対し約2.5年間の追跡調査を実施後、本試験の予備的結果を『New England Journal of Medicine』2004年3月11日号で発表した(ジャーナル要旨参照)。この追跡調査期間は、エキセメスタンへ変更した女性の乳癌再発が大幅に遅れることを統計的確実さをもって示すには十分な長さですが、エキセメスタン群の生存期間が実際に延長されるかどうかを知るには十分な長さとは言えませんでした。

 

2006年ASCO総会で発表された最新の結果では、より長期の追跡調査データが示されました。

 

結果
中央値4.8年間の追跡調査後、エキセメスタンへ変更した女性は、タモキシフェンの服用を継続した女性よりも、死亡リスクが15%低くなりました。また、乳癌の再発や乳癌以外の疾患による死亡のリスクも24%低くなりました。

 

また、エキセメスタン群では対側乳房の発癌リスクが44%低くなり、乳癌が他の臓器へ進展するリスクも17%減少しました。これらの知見はすべて統計的に有意でした。

 

タモキシフェンを継続服用した女性はエキセメスタンへ変更した女性よりも、血栓、子宮癌、子宮ポリープ、膣出血、および筋痙攣の発症率が高くなると考えられました。エキセメスタン群の女性は、骨折が若干多くみられました。心臓発作、胸痛、および脳卒中の発生率は、両群でほぼ同じでした。

 

制限事項
エキセメスタンを服用した女性は、タモキシフェンのみを服用した女性よりも骨折が多くみられました。その他のいくつかのAI試験でも骨折増加が示され、すべての試験でAIが骨量の減少を促進することが示されました。

 

コメント
「研究者らは早期の試験から、タモキシフェン投与開始当初の2~3年間に、患者がその最大の予防的効果を得られることはわかっていました」と、英国ロンドンのInstitute for Cancer Researchに所属し、ASCO総会で試験の知見を発表したJudith Bliss医師は述べています。

 

「本試験実施の目的は、2~3年間のタモキシフェン投与後にエキセメスタンへ変更した患者が、現在の標準的治療法である5年間のタモキシフェン療法から得られるであろうと予測される利益を改善するかどうか明らかにすることでした。本試験の知見から、利益が改善されることが示されました」とBliss医師は述べています。

 

「この試験結果は、乳癌の再発予防のためにタモキシフェンを服用している女性のすべてが当該薬剤を2~3年間服用後にエキセメスタンへ変更すべきであると意味しているのではありません」と、英国シェフィールドのSheffield大学に所属し、ASCOの記者会見で試験について見解を示したRobert E. Coleman医師は述べています。

 

「すべての患者にとってひとつの戦略が最善であるとは限りません。タモキシフェンからエキセメスタンへ変更することが適切な患者もいます。タモキシフェンを継続することが適切な患者も少ないながらいます」と、Coleman医師は述べています。

 

「これらの知見により、医師はタモキシフェン療法の2~5年投与後にエキセメスタンまたはその他のAIに変更するようになるでしょう。しかし、AIはすでに骨折を有している、あるいは骨折リスクが高い女性にとっては適切でない場合があります」と、National Cancer Institute癌療法評価計画のJo Anne Zujewski医師は述べています。

 

(注:本試験のサブ試験が実施され、両群の生活の質を比較しました。英国University of SussexのLesley J. Fallowfield理学士・医学博士を筆頭とする研究者らにより、両群間に有意差がないことが明らかになり、「エキセメスタンの臨床効果はタモキシフェンを上回り、生活の質に対して著明に有害な影響を及ぼすことはない」ことが示されました。このサブ試験から得られたデータは、『Journal of Clinical Oncology』2006年2月20日号で発表されました。ジャーナル要旨参照)

原文掲載日

翻訳Oyoyo

監修林 正樹(血液・腫瘍科)

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