電子タバコ製品の使用に関連する肺疾患

背景
・米国食品医薬品局(FDA)と米国疾病管理予防センター(CDC)は、電子タバコ製品の使用に関連した重度の呼吸器疾患という悲惨な出来事について精力的に調査している。 FDAとCDCは、州および地方の保健当局と緊密に協力しながら、これらの出来事の調査を可能な限り迅速に進めており、事実解明が進んだ折には適切な措置を講じることにしている。

・連邦および州の保健当局が使用製品、入手場所、含有物質に関する詳細情報の特定作業を進めているが、FDAは、消費者が自分自身を守るために必要な情報の提供を行っている。

出来事の概要
・米国疾病管理予防センター(CDC)は州と協力し、疑わしい症例の医療記録を調べた上で、症例確定か症例の可能性濃厚かの判断を行っている。

・最新の症例については、CDCのサイト(英語)を参照のこと。数字は頻繁に更新される場合がある。

・各州の症例の一部には類似点があり、電子タバコ製品の使用と関連があるようにみえるが、呼吸器疾患の原因を特定するにはより多くの情報が必要である。

・患者の多くは、入院前から呼吸困難、息切れや胸痛などの症状が徐々に始まったと報告している。一部の患者では、嘔吐や下痢など軽度から中程度の胃腸疾患や、発熱や疲労など他の症状を報告していた。

・患者の多くは、医療従事者や保健部門のスタッフに、テトラヒドロカンナビノール(THC、マリファナ植物の精神活性成分)を含む電子タバコ製品を最近使用したと申告していた。

・症例に類似点があるようには見えるが、共通の原因があるのか、症状が似ているだけで別の疾患なのか、明らかではない。まさにこの点が我々の調査の焦点である。

・CDCとFDAは、州の保健部門から相談を受け付けており、彼らと協力しながら、使用された製品や物質に関する情報収集を行っている。

・たとえば、CDCとFDAは、州レベルにおける情報収集を標準化して、インシデントの全体像をより包括的に把握するための取り組みを進めており、電子タバコ製品のブランド、メーカー、種類、それらがFDAの規制対象になっているか、そしてそれらの入手場所も調査対象としている。

FDAの対応
・FDAは、これら呼吸器疾患と死亡について依然強く懸念しており、CDCや州・地方の公衆衛生担当部署と緊密に協力して、調査をできるだけ迅速に進めている。

・できるだけ多くの情報を収集して分析するために、FDAの研究所は、連邦および州の担当部署と緊密に連携して、疾患の原因となっている可能性のある製品または物質の特定を進めている。

・FDAは、複数の州から提出されたサンプルを分析し、ニコチン、THCなどのカンナビノイドや切削剤/希釈剤、その他添加物、農薬、オピオイド、毒物、重金属、毒素など、幅広い化学物質の含有の有無を分析している。

・サンプルを検査して(原因)物質が特定されたわけではない。サンプルが含有する化合物を特定することがパズルの一部を解明することになったとしても、疾患の原因が必ずしも判明するわけではないことを理解することは重要である。

・連邦および州のパートナーは、可能性のある糸口をたどっている。FDAは、事実が明らかになった折には適切な措置を講じること、そして共有できる情報が増えた折には情報を公にすることにしている。

消費者向けの情報と情報源
・発生と推奨の詳細については、FDAが発信する電子タバコ製品に関する消費者向け最新情報(英語)を参照のこと。

・現在進行中の調査のなかで州またはFDAが検査したサンプルの大部分は、THCを含む電子タバコ製品であることがわかっている。

・この調査を通じて、当該疾患を罹患した患者のほとんどが、THC含有製品の使用を報告していることもわかっており、THC含有電子タバコ製品が発生に関与していることが示唆される。

・これらTHC含有電子タバコ製品をこれからも使用する場合は、自身の症状(例:咳、息切れ、胸痛)を観察し、健康上の心配があればすぐに医療機関を受診すること。

・電子タバコ製品を使用したことについて健康上の心配がある場合は、かかりつけの医療従事者に連絡するか、1-800-222-1222に電話して地元の中毒管理センターに相談のこと。

・また、電子タバコ製品に関連した呼吸器疾患に罹患した場合、州もしくは地元の保健部門に対してその事実を報告すること、そして関連する製品を提供することをFDAでは推奨している。州または地方の保健部門に報告することは、連邦政府と州の担当部署が協力して正確な症例識別と報告件数把握を行うにあたり非常に重要である。州および地方の保健部門の問い合わせ先詳細については、以下を参照のこと。

https://www.cdc.gov/publichealthgateway/healthdirectories/index.html(英語)

・予期しない健康上の問題や安全性の問題など、たばこ製品全般に関する問題は、安全性報告ポータル(英語)を使用してオンラインで報告のこと。ここでは、タバコ、手巻きタバコ、葉巻、無煙タバコ、電子タバコ、水タバコなど、タバコ製品全般に関して報告することができる。タバコ製品の成分や部品について報告することもできる。FDAのサイトには、報告に含めるべき内容に関する詳細情報(英語)が掲載されている。

気化器、電子タバコ、その他の電子ニコチン送達システムに関する一般的なFDA情報については、こちら(英語)を参照のこと。

医療従事者向けの情報
・当該調査が継続している間、CDCとFDAは、電子タバコ製品に関連するかもしれない呼吸器疾患について、臨床医が地元や州の保健部門に報告することを奨励している。連邦政府と州の担当部署が協力して正確な症例識別と報告件数把握を行うにあたり、州または保健部門に報告することは必要不可欠である。

・電子タバコ製品が患者の肺疾患の原因として疑われる場合、CDC Health Advisoryに概説されているように、使用物質、入手先、使用された器具について詳細な履歴を取得する必要がある。製品、器具や液体が残っている場合、テストに利用できるかの判断をする努力が必要である。医療従事者から地元の毒物管理センターに連絡してもよい。

・原因となっているかもしれない製品固有の情報は、Safety Reporting Portalを使用してFDAにオンラインで提出できる。FDAのサイトには、Safety Reporting Portalへのレポートに含めるべき内容に関する詳細情報(英語)も掲載されている。

州保健部門向けの情報
・FDAは、電子タバコや電子タバコ製品に関連した昨今の呼吸器疾患について、継続的に尽力、協力、協業してくれている全ての州保健部門(および他のパートナー)に感謝している。

・FDAは、Forensic Chemistry Center(FCC)の検査室でサンプルを検査している。 FCCは、分析的な問題解決を必要とする国内および国際的な公衆衛生上の有害事象に関して州およびCDCと提携した経験をもち、現在、電子タバコ関連呼吸器疾患に関してCDC、FDAと州が行っている調査にも従事している。

・FCCは現在、これら疾患に関する理解を深める可能性が最も高いサンプル、つまり、肺損傷のケースに関連する電子タバコ製品サンプルを優先している。

・今後、FCCは、調査結果の概略を連邦および州のパートナーに定期的に発行する予定である。これら疾患の調査は、FDAにとって依然緊急の優先事項である。

・進行中の調査の一環で、あなたの州において、対象疾患に直接関連する製品サンプルを特定した場合は、近くのFDA地区緊急対応コーディネーターに連絡するか、FDAVapingSampleInquiries @ fda.hhs.govにメールして、FDAフィールドスタッフを通じたサンプルの追跡調査、収集、およびFCCへの発送を依頼してほしい。

・FCCは、検査結果が確定次第、電子タバコ製品サンプルを提出したオフィスに直接結果を提供する。特定サンプルに関する最終的な検証済みの結果のみが開示される。

・詳細については、FDAのサイトにある「電子タバコ関連インシデントのサンプル収集(英語)」のページを参照のこと。

翻訳担当者 関口百合

監修 稲尾 崇 ( 呼吸器内科/天理よろづ相談所病院 )

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原文掲載日 

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