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早期肺がんにおいて術前のチェックポイント阻害薬併用は有効

ニボルマブ+イピリムマブの併用による術前補助療法、すなわち手術前の治療を受けた早期切除可能非小細胞肺がん患者における病理学的著効(major pathologic response:MPR)率は33%であった。これらの患者では、手術時点での腫瘍の残存率が10%以下であることを意味する。この結果から、この併用免疫療法は第2相NEOSTAR試験で事前に規定した有効性評価項目を満たしたこととなる。この試験はテキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターの研究チームが実施した。

ニボルマブによる単剤療法群のMPR率は17%であり、両群を合わせたMPR率は25%であった。本試験の結果は、2019年6月1日に2019年米国臨床腫瘍学会年次総会にてThoracic/Head & Neck Medical Oncologyの講師Tina Cascone医師が口頭発表する予定である。

「NEOSTAR試験の結果は、この併用療法が臨床的に有望であり、この療法、おそらく他の治療法との併用療法について更に研究する必要がある事をはっきりと示しています」とCascone氏は述べた。「これらの結果とわれわれの前臨床トランスレーショナル研究の知見を検討することで最適な組み合わせを見つけ出すことができます。そうすれば、この分野において大きな一歩を進めることができ、早期肺がん患者の腫瘍再発を抑制することができます」。

早期又は局所進行肺がん患者は治癒が得られる可能性があるものの、手術のみの場合は患者の半数以上が再発をきたす、とCascone氏は説明した。したがって、再発リスクを低下させる最も有効な術前補助療法の選択肢を特定する差し迫ったニーズがある。

マウスでの前臨床試験から、肺腺がん中の免疫チェックポイントタンパク質のPD-L1の発現量の増大は、がんの転移及び生存上重要なことが明らかになり、術前補助療法としての免役療法を検討することの理論的根拠を示している。

「本試験以前に、単剤での術前補助免疫療法により22~45%のMPR率が得られることがわかっていました。ですが、切除可能NSCLC患者を対象とした抗PD-1薬+抗CTLA-4薬併用による免疫チェックポイント阻害による術前療法の検討は行われていませんでした」とCascone氏は述べた。「切除可能な自然転移非小細胞肺がんのマウスモデルにおいて、術前の免疫療法の併用は補助併用療法よりも生存期間延長および肺転移の発生頻度低減において優れていました。このことは、臨床での術前補助療法として免疫チェックポイント阻害との併用を更に検討することを支持しています」。

研究チームは、術前に免疫チェックポイント阻害剤を併用することの有効性を検討するために本試験を設計した。試験では患者44人を登録し、ニボルマブ(抗PD-1阻害剤)単剤による補助療法群とニボルマブ+イピリムマブ(抗CTLA-4阻害剤)による術前補助併用療法群のいずれかに無作為に割り付けた。

本試験の主要評価項目はMPRであり、免疫チェックポイント阻害剤の単剤療法または併用療法のMPR率は、術前補助化学療法を受けた既存対象を用いて算出したMPR率より高いと仮定した。この有望視されている特定の治療法に関する試験で事前に規定された有効性評価項目は、intention-to-treat集団において得られたMPR率が6ポイント以上高かった。

切除可能非小細胞肺がん患者を対象とした術前補助療法の試験において、MPRは代替評価項目として採用された。これは、全生存および無再発生存の改善と正の相関が示されているためである、とCascone氏は説明した。

併用療法による術前治療を受けた患者21人中7人がMPRを達成したのに対して、ニボルマブ単剤療法を受けた患者では23人中4人であった。

本試験は両群を比較できるほどの検出力はなかったが、併用療法の方が手術時の残存腫瘍の低減においてより有効であるようであった。試験において併用療法後に手術を受けた患者の6人(38%)では、手術時に病理学的完全奏効又は腫瘍の消滅を認めたが、ニボルマブ単剤療法を受けた患者では2人(10%)のみであった。外科的切除の段階で腫瘍残存率が50%を超えていた患者の大半はニボルマブ単剤療法を受けていた。

治療の忍容性は一般に高いものでした、とCascone氏は述べた。許容できない毒性や周術期の障害発生率または死亡率の上昇は認められなかった。しかしながら、これらの薬剤を周術期に使用するときは、モニタリングを慎重に行うことが推奨される。

また、本試験では治療前、中、後の時点で各種生体試料を患者から採取した。これにより、結果についての患者間の差異の原因を検討し、治療により生じる潜在的バイオマーカーの動的変化を理解することが可能となった。治療前の腫瘍内でのPD-L1(免疫チェックポイントタンパク質)の発現量上昇は、手術時のX線画像上の奏効および病理学的腫瘍縮小と正の相関を示すことを研究チームは発見した。

免疫療法を受けた患者から切除した腫瘍の免疫学的特徴を予備的に検討したところ、併用療法は単剤療法よりも腫瘍浸潤リンパ球数の増加との強い関連性を示した。また、これらT細胞の一部が腫瘍反応の活性を有する可能性も示された。また、ポスターセッションで発表されるその他の結果として、併用療法は治療前の腫瘍標本と比較して、切除腫瘍内のT細胞の多様性及び反応性が高いことと関連すると考えられることを示している。

「この点は非常に重要です。なぜなら、臨床現場では早期肺がん患者を診る機会が転移性肺がん患者ほど多くないためです。ですから、患者さんのためにもこの機会を大いに利用したいと考えています。本試験は全体的に小規模コホートであるため、限度があります。しかし、良好な結果が得られたことから、患者さんの選択肢としての術前補助併用免疫療法の評価を継続すべきことが示唆されます。探索的解析は継続中であり、これにより、この反応の理解を深め、将来行われる試験に情報をもたらす可能性のあるバイオマーカーの特定に役立てることができます」とCascone氏は述べた。

研究チームは、NEOSTAR試験に、ニボルマブ+白金製剤ベースの化学療法の術前補助療法を評価する3番目の試験群を追加し、その登録はほぼ完了している。患者登録が成功したため、上記以外の併用療法を評価するための別の試験群の追加も検討している。

本試験は以下の団体から助成を受けた:Bristol-Myers Squibb-MD Anderson Lung Strategic Alliance、 the Conquer Cancer Foundation ASCO Career Development Award、the MD Anderson Physician-Scientist Training Program、the NIH/NCI P30 CA016672 CCSG New Faculty Award、the Khalifa Scholar Award(the Khalifa Bin Zayed Al Nahyan Foundationの助成による)、およびthe Bob Mayberry Foundation。

また、本試験はLung Cancer Moon Shotの支援を受けている。Lung Cancer Moon Shotは、MD Anderson’s Moon Shots Programの一環をなし、科学的発見を促し、患者の命を救う臨床上の進歩につなげるようデザインされている。

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翻訳三浦恵子

監修小宮武文(Hematology/Medical Oncology, Thoracic/Research, Parkview Cancer Institute)

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