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ギルテリチニブが急性骨髄性白血病患者の生存期間を延長

再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者に対して、FLT3 標的療法剤ギルテリチニブ(ゾスパタ錠)による治療は、標準化学療法レジメンと比較して生存期間を延長した。このADMIRAL第3相臨床試験の結果が、3月29日~4月3日開催の米国がん学会(AACR)2019年次総会で発表された。

ギルテリチニブは、2018年11月、FLT3遺伝子変異陽性の再発または難治性AML成人患者の治療に、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されている。

「FDAによるギルテリチニブの承認は、ADMIRAL試験における安全性データとギルテリチニブに対する奏効率の中間解析に基づいたもので、標準化学療法に対するギルテリチニブの有効性の比較に基づくものではありませんでした。今回発表するのは、ADMIRAL試験の結果の最終分析です。これには、全生存期間の延長から判断されるように、ギルテリチニブが標準化学療法より優れていることを示すデータが含まれています」と、 ペンシルベニア大学ペレルマン医科大学、血液/腫瘍学科の准教授でエイブラムソンがんセンターの研究員であるAlexandcr E. Perl医師は述べた。

「ギルテリチニブの比較的低い毒性と今回の生存期間データにより、ギルテリチニブ単剤療法は再発または難治性のFLT3遺伝子変異AML患者に対する新しい標準治療法として確立されます。さらに、ギルテリチニブは、毒性が比較的低く、経口療法であることから、医師は患者を外来で対応でき、このことはこの疾患の治療の劇的変化を意味します」と、Perl氏は続けた。

米国で診断されたAML症例の約3分の1でFLT3遺伝子が変異していると、Perl氏は説明した。 再発または難治性のFLT3遺伝子変異AML患者は特に予後が不良であり、標準化学療法レジメンでは寛解率が低く、寛解しても短期間しか持続しないと、同氏は語った。

ADMIRAL試験は、再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性AML患者に対してギルテリチニブが標準化学療法レジメンと比較して生存期間を延長するかどうかを検証する第3相ランダム化臨床試験であった。標準化学療法は、低用量シタラビン、アザシチジン、ミトキサントロン+エトポシド+シタラビン、フルダラビン+シタラビン+顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) +イダルビシンの中から試験医師が選択した。

臨床試験に登録された患者371人のうち、247人が無作為にギルテリチニブ療法群に割り付けられ、124人が標準化学療法群に割り付けられた。

最終解析で、ギルテリチニブ療法群は、標準学療法群と比較して、死亡リスクが36%減少したことが判明した。全生存期間中央値は、標準化学療法群の5.6カ月に対して、ギルテリチニブ療法群は9.3カ月であった。 12カ月の時点で生存していた患者の割合は、標準学療法群16.7%に対して、ギルテリチニブ療法群37.1%であった。

完全寛解(患者の血球数が完全に回復し、疾患の痕跡がないこと)、および部分的に血球数が回復した完全寛解(部分的に血球数が回復し、疾患の痕跡がないこと)を合わせた割合はギルテリチニブ療法群では34.0%で、標準化学療法群では15.3%であった。

「ギルテリチニブ療法群での最長生存期間は、続けて移植を受け、その後、AMLの再発を防ぐためにギルテリチニブ投与を再開した患者でみられましたが、残念ながら長期生存はどちらの療法群でも非常にまれでした。長期転帰をさらに改善する努力の一環として、再発または難治性のFLT3遺伝子変異AML患者を対象に他の治療法とギルテリチニブを併用する臨床試験、および新たに診断された患者に対する初回治療としてのギルテリチニブの臨床試験がすでに開始されています」と、Perl氏は述べた。

Perl氏によれば、本試験の主な制限は、FDAが2017年4月にこの適応症に対してFLT3遺伝子を標的とした治療薬ミドスタウリンを承認したため、ADMIRAL試験への患者登録中にFLT3遺伝子変異AMLの標準初回治療が変更された結果、両群のごく少数の患者がADMIRAL臨床試験前にFLT3標的療法を受けていたことである。ミドスタウリンを含む初回治療後に再発したか、それが奏効しなかった白血病は、FLT3遺伝子にさほど関係なく成長し、したがってギルテリチニブへの反応もより低かった可能性があるとのことである。

この試験は、Astellas Pharma US Inc.社が資金提供した。Perl氏は過去2年間、AbbVie社、Actinium Pharmaceuticals社、Agios社、Astellas社、第一三共株式会社、Jazz Pharmaceuticals社、Novartis社、NewLink Genetics社、および武田薬品工業株式会社から顧問委員としての謝礼金を、Astellas社、第一三共株式会社、Arog社、AbbVie社からコンサルタント料を受け取っている。 同氏の施設は、Actinium Pharmaceuticals社、Astellas社、Bayer社、BioMed Valley Discoveries社、第一三共株式会社、富士フイルム株式会社 、およびNovartis社から多施設共同臨床試験を行うための研究資金を受け取っている。

翻訳有田香名美

監修佐々木裕哉(血液内科/横須賀米国海軍病院)

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