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実臨床下での免疫療法薬による副作用は臨床研究よりも多い

専門家の見解
「免疫チェックポイント阻害薬は多くのがん患者の生存期間を改善しますが、これまでの新しい治療法と同様に、その使用には副作用のリスクが伴います。免疫療法は実用化されてからまだ数年しか経過していませんが、普及しつつあることから、この新たな解析により患者の副作用の発現頻度に関する情報が得られました」と、2018年臨床腫瘍緩和ケアシンポジウムのメンバーであるJoe Rotella医師(経営学修士、 HMDC、 FAAHPM)は述べた。

免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブ(オプジーボ)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)、またはアテゾリズマブ(テセントリク)を投与した非小細胞肺がん(NSCLC)患者約2,800人を解析したところ、有害事象(意図しない医学的事象)が これらの免疫療法の承認につながった初期の臨床試験の報告よりも多い可能性が明らかになった。今回の知見は、カリフォルニア州サンディエゴで近く開催される2018年臨床腫瘍緩和ケアシンポジウムで発表される。

「免疫療法薬は引き続き良好な忍容性を示し、重度の副作用は従来の化学療法に比べても少ないでしょう。 それでも、免疫療法は稀に重篤な医学的問題を引き起こす可能性があります」と、本研究の統括著者であり、ミネソタ州ロチェスター市のメイヨークリニックの特別研究員であるElizabeth Jane Cathcart-Rake医師は述べた。 「がん治療の副作用を十分に理解することは重要であり、新しい治療法をきちんと評価するにはしばらく時間がかかることを患者や医療提供者は認識すべきです」。

Cathcart-Rake医師は、さまざまなタイプの治療例として、約8%の患者で関節痛を報告した乳がんのアロマターゼ阻害剤の初期臨床試験の結果について言及した。 過去20年間の患者報告の転帰と包括的な解析に基づく現在の知見は、アロマターゼ阻害剤を服用している患者の約50%が関節痛を報告していることを示している。

研究について
研究者らは、免疫療法による有害事象が記載されている大規模な医療保険データベースを用いて診療情報明細データを検討した。 データベースであるOptumLabs Data Warehouseは、2012年にメイヨークリニックによって共同設立され、米国の1億5千万人以上の人々の臨床データが匿名化されている。主導研究者らは、2015年から2017年の間にPD-1またはPD-L1免疫チェックポイント阻害剤であるニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはアテゾリズマブを投与されたどうかを調べた後、免疫関連有害事象の頻度について調べた。 ほとんどの患者が免疫療法の開始前に標準的化学療法を受けていた。

Cathcart-Rake医師は次のように述べている。「われわれの研究は、診療報酬明細データを使用し、単一試験よりも集団ベースの観点から幅広く有害事象を調べた最初の研究だと思います。 複数の臨床試験から得られたデータを比較する研究が行われてきましたが、われわれはほとんどの被保険患者の結果を包括的に検討しました」。

本研究の限界により、研究者らは保険に加入していない患者について把握することができなかった。

主な知見
最も一般的な免疫関連有害事象である甲状腺機能低下症は、9.2%の患者で発症した。 甲状腺は免疫系の刺激に影響を受けやすいため、予測事象であった。他の副作用では、貧血が5.7%、急性腎障害が2.8%の患者で発症した。胃腸障害および心臓障害は比較的まれであった。

研究者らは、臨床研究で報告された毒性と全州人口で見られた毒性における絶対差をさらに検討するため、データ解析は進行中である。

著者らによると、本結果発表時点で臨床試験の約14%のみが有害事象を報告していた。 しかし、ペムブロリズマブと化学療法を比較したKEYNOTE-24試験を用いて初期結果と集団ベースのデータを比較することができた。 KEYNOTE-24試験は、まれな有害事象として脳下垂体に急性または慢性の炎症が生じる下垂体炎を患者の0.6%に認めたと報告したが、本研究では、2.4%の患者が下垂体炎を発症したことがわかった。

次のステップ
次のステップとして、研究者らは医療保険会社のデータベースを利用して自己免疫副作用が発症するタイミングを調査するだろう。臨床医がどの時期に副作用が最も発生しやすいかがわかれば、適時に対応できる。

すべてのニュース報道は2018年臨床腫瘍緩和ケアシンポジウムに帰属する

-追加情報-

2018年臨床腫瘍緩和ケアシンポジウム:プレゼンテーション情報

アブストラクトID:236121

タイトル:免疫療法関連の毒性:当初の報告よりも多い可能性

著者:Elizabeth Jane Cathcart-Rake, Lindsey R. Sangaralingham, Nilay Shah, Aaron Scott Mansfield; Mayo Clinic, Department of Oncology, Rochester, MN; Robert D. and Patricia E. Kern Center for the Science of Health Care Delivery, Mayo Clinic, Rochester, MN; Robert D. and Patricia E. Kern Center for the Science of Health Care Delivery and Division of Health Care Policy and Research, Department of Health Services Research, Mayo Clinic;Optum Labs, Rochester, MN; Mayo Clinic, Rochester, MN

テーマの選択:Symptom Biology, Assessment, and Management – Symptom Biology, Assessment, and Management

背景:免疫関連有害事象(irAE)の発生率に関する集団レベルのデータは不足している。本研究では、免疫チェックポイント阻害薬を投与された非小細胞肺がん(NSCLC)患者の大規模患者集団における免疫関連有害事象(irAE)の頻度を評価した。

方法:2015年1月1日から2017年12月31日の間に、PD-1またはPD-L1阻害剤を投与されたNSCLC患者を遡及的に特定するため、大規模な米国民間医療保険データベース(OptumLabs Data Warehouse)の診療報酬明細データを用いた。irAE の報告は、患者が免疫療法を受けていた期間中に、ICD-9またはICD-10コードに該当する新規の診療報酬明細データを用いて特定された。

結果:2798人(PD-(L)1開始年齢中央値:69歳、四分位範囲60-75,男性1558人[55.7%]、女性1240人[44.3%])のNSCLC患者うち、1,998人(71.4%)がニボルマブ、699人(25.0%)がペムブロリズマブ、101人(3.6%)がアテゾリズマブをそれぞれ投与された。 多くの患者(1463人、52.3%)が二次治療としてPD-(L)1阻害薬を投与された。 患者の大多数(744人)は、PD-(L)1阻害剤の治療開始前にアルキル化剤および代謝拮抗物質による治療を受けていた。 irAEの頻度については、表1参照。

結論:免疫チェックポイント阻害薬に関連するいくつかの免疫関連有害事象(irAE)の発現頻度が、免疫療法のFDA承認につながった初期の臨床試験で報告されたものよりも高い可能性があることが示唆された。 例えば、KEYNOTE-024試験では0.6%の患者が下垂体炎を発症したが、この大規模コホートでは2.4%の患者で確認された。実臨床データは臨床試験の結果よりも医療提供者および患者に治療に対する明確な展望を示すことができるであろう。

免疫関連有害事象(irAE)の発現頻度

器官別  毒性  頻度N(%)
内分泌系  甲状腺機能低下症
下垂体炎
257 (9.2)
67 (2.4)
血液  貧血、
血小板減少症、
白血球減少症
160 (5.7)
腎臓  急性腎障害  78 (2.8)
肝臓  肝炎 49 (1.8)
神経系  神経炎 40 (1.4)

 

 

翻訳小熊未来

監修川上正敬(肺癌・分子生物学/米国国立がん研究所)

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原文掲載日

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