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アテゾリズマブ免疫療法+化学療法は進行扁平上皮肺がんの増殖を遅らせる

ASCOの見解

「この研究は、いくつかのがんに対して免疫療法が着実に進歩を遂げていることを示す1つの例です。免疫療法は他の種類の肺がんに有効であることが示されていますが、さらに今回、従来治療が極めて困難な進行扁平上皮肺がんにおいて有望な改善がみられています」と、米国臨床腫瘍学会(ASCO)専門委員であるDavid Graham医師(FASCO)は述べた。

 

第3相ランダム化比較試験の初期の知見から、進行扁平上皮非小細胞性肺がん(NSCLC)患者は、初回治療としてPD-L1を標的とした免疫療法であるアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)と化学療法を併用するほうが、化学療法単独よりもより多くの利益を得ると示された(29%の患者は、化学療法を単独で受けた患者と比較して疾患の悪化または死亡リスクが低かった)。12カ月時点でがんが悪化していなかった患者数は、アテゾリズマブ+化学療法群では化学療法単独群と比較して、2倍であった。この利益は、PD-L1を発現するすべてのサブグループで観察された。

本試験の知見は本日の記者会見で紹介され、2018年ASCO年次総会で発表される予定である。

 

「これまで、扁平上皮非小細胞肺がんの治療法はほとんど進歩していませんでした。われわれの知見によって、この種類のがんに対して見込みのある新たな治療選択肢が提供されるかもしれません」と、筆頭著者のRobert M. Jotte医学博士は述べた。同博士はUSON Thoracic Committeeのメディカルディレクターおよび共同代表で、コロラド州デンバーのロッキーマウンテンがんセンター所属である。「私たちは、化学療法が患者の免疫系をただ破壊するだけで、免疫療法との併用は非合理的であろうと考えていましたが、本試験をはじめとした研究の発展により、化学療法は腫瘍に対する免疫応答を誘発し、免疫療法をより効果的にする可能性があると示されています」。

 

非小細胞性肺がん(NSCLC)の25~30%を占める扁平上皮NSCLCは、治療が極めて困難である。進行扁平上皮NSCLCで、診断1年後に生存している患者は15%未満であり、5年生存する患者は2%未満である。

 

最近の試験で、非扁平上皮肺がんにおいて、化学療法と免疫療法を併用する利益も見出されている。これらの知見と本試験の結果から、臨床診療の急速な変化が予想されるとJotte博士は指摘した。

 

試験について

IMpower131試験には、ステージ4の扁平上皮非小細胞性肺がん患者1,021人を登録した。腫瘍のPD-L1発現について検査を行ったが、PD-L1発現レベルにかかわらず患者を試験に組み入れた。腫瘍にEGFRまたはALK遺伝子変異を有する患者は、本試験で治療を開始する前に、分子標的治療を受けた。試験参加者を3つの治療群のうちの1つに無作為に割り付けた。しかし、今回の発表では2つの群の結果だけを報告する。

・アテゾリズマブ+化学療法(カルボプラチンおよびナブパクリタキセル)群、患者343人

・化学療法(カルボプラチンおよびナブパクリタキセル)群、患者340人
第3の治療群はアテゾリズマブと、わずかに異なる化学療法レジメン(カルボプラチンおよびパクリタキセル)とを投与したが、その結果データはまだ入手できない。

 

主要な知見

本試験では、PD-L1の発現にかかわらず、全患者の29%は化学療法を単独で受けた患者と比較して、疾患の悪化または死亡のリスクが低下した。重要なことに、免疫療法と化学療法を受けた場合、無増悪生存期間(PFS)に2倍の利益が認められた。つまり、12カ月時点でがんが悪化していなかった患者は、免疫療法と化学療法を受けた群では24.7%であったのに対して、化学療法を単独で受けた群では12%であった。

 

免疫療法と化学療法を受けたすべての患者において、無増悪生存期間の改善が観察された。それはPD-L1陰性腫瘍および肝転移を有する患者でも同様であった。全生存期間のデータはまだ完成していない。

 

本試験は、免疫療法の集学的治療に関する最初の第3相試験であり、進行扁平上皮非小細胞性肺がんにおいて無増悪生存期間の有意な改善を示したと、著者らは報告している。治療群間の差は大きくないが、統計学的に有意な改善が認められたことにより、全体として、進行扁平上皮肺がん患者では標準治療に免疫療法を追加した場合に利益が得られることが示されたと、著者らは述べている。

 

重度の副作用の割合は、集学的治療のほうが化学療法単独よりも高かったが(68%対57%)、集学的治療の安全性プロファイルは、個々の治療の既知の安全性リスクと一致し、管理可能なものであった。アテゾリズマブで最もよくみられた副作用は、皮膚発疹、大腸炎、および甲状腺ホルモン低下であった。

 

この中間解析では、統計学的に有意な全生存期間(OS)に関する利益は観察されなかった(全生存期間中央値はアテゾリズマブ+化学療法群で14カ月であったのに対し、化学療法単独群で13.9カ月であった)。研究者は患者の追跡調査を続けており、今年後半にその後の解析を進める予定である。

 

次の段階

標準化学療法に免疫療法を追加することで最も利益を得る患者を特定するには、より多くの研究が必要である。研究者らは、腫瘍のPD-L1発現および腫瘍遺伝子変異量(tumor mutational burden:TMB)などの他の分子マーカーを探索する予定である。こうした分子マーカーから、患者にこの治療レジメンが有効かどうかを予測できる可能性がある。

本試験はF. Hoffmann-La Roche Ltd社より助成を受けた。

 

試験の概要

疾患

扁平上皮非小細胞性肺がん

試験の相、種類

第3相、国際(27カ国)、多施設共同(317カ所)、ランダム化比較試験

登録患者

1,021人、全員参加(all-comer、PD-L1による選別を行わず)、化学療法未経験のステージ4の扁平上皮非小細胞性肺がん患者

治療内容

アテゾリズマブ+化学療法と化学療法単独との比較

主な知見

無増悪生存期間中央値はアテゾリズマブ+化学療法群で6.3カ月であったのに対し、化学療法単独群で5.6カ月であった

副次的知見

12カ月時点の無増悪生存期間はアテゾリズマブ+化学療法群で24.7%であったのに対し、化学療法単独群で12%であった

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翻訳担当者坂下美保子

監修高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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