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軟髄膜転移を有するEGFR+肺がんにTKI二次治療が有益

軟髄膜転移およびEGFR変異を有する患者は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による二次治療の恩恵を受ける

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

エルロチニブ(商品名:タルセバ)または高用量のエルロチニブは、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による治療中または治療後に、軟髄膜転移を発症した上皮成長因子受容体(EGFR)変異陽性、非小細胞肺がん(NSCLC)患者に有益である。これらの患者を対象に、TKIを用いた二次治療を支持する知見が、4月11〜14日にスイス、ジュネーブにて開催された欧州肺がん学会(ELCC)2018で発表された。

 

非小細胞肺がん患者で軟髄膜転移が発症すると転帰は不良である。チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)は軟髄膜転移を有するEGFR変異陽性非小細胞肺がん患者に対して効果があることが知られているが、TKI治療がうまくいかなかった場合、その後の最適な治療法は明らかにされていないと、フランス、ヴィルジュイフのグスタフ・ルッシーがん研究所腫瘍内科のRonan Flippot氏は言う。

 

本試験は、2003年4月から2016年9月までグスタフ・ルッシーがん研究所およびリール大学病院で、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤による初回治療中に軟髄膜転移進行を来したEGFR変異陽性非小細胞肺がん患者、連続66症例を対象に行った。軟髄膜転移進行は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療中に軟髄膜転移と診断を受けた場合、またはTKIによる初回治療後に既知の軟髄膜転移が進行した場合と定義した。

 

患者の臨床的および病理学的データを後ろ向きに収集し、研究者らは、二次治療後の全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、臨床的奏効率(CRR)および病勢コントロール率(DCR)を評価した。病勢コントロール率は、2カ月を超えて持続する臨床的奏効または疾患安定と定義した。

 

患者年齢の中央値は54歳(範囲26〜79歳)。51人(77%)は女性、56人(85%)は非喫煙者であった。患者がこれまでに受けた治療数の中央値は2(範囲1〜7)であり、19人(29%)は髄腔内治療も受けていた。遺伝子解析により、23例(35%)の腫瘍にエクソン19欠失、23例(35%)にエクソン21のL858R変異、10例(15%)にT790M変異があることが明らかになった。

 

チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による二次治療は、軟髄膜転移進行後に36人(55%)の患者に実施されていた。その治療は、19人(53%)がエルロチニブ、10人(28%)が高用量(300mgを毎日)のエルロチニブ、3人がオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)、4人が他の第1世代または第2世代のTKIによるものであった。

 

チロシンキナーゼ阻害薬による二次治療後の全生存期間中央値はエルロチニブで延長

 

チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による二次治療を受けた患者では、軟髄膜転移進行時からの無増悪生存期間中央値は3ヵ月(95%信頼区間[CI] 2,3)、全生存期間中央値は7ヵ月(95%CI 3,10)であった。臨床的奏効率は43%、病勢コントロール率は77%であった。

 

全生存期間中央値は、エルロチニブによる二次治療を受けた患者で8カ月(95%CI 7,10)、高用量エルロチニブで2カ月(95%CI 1,5)、および他の第1世代または第2世代TKIで2カ月(95%CI 0,2)であった。エルロチニブによる二次治療を受けた患者は、大部分がアファチニブ(商品名:ジオトリフ)またはゲフィチニブ(商品名:イレッサ)(79%)による治療歴があり、軟髄膜転移進行後に他の第1世代または第2世代のTKIで治療された患者と比較して良好な全生存期間を示した(ハザード比0.28,p = 0.0237)。また、T790M変異のある患者3人で、オシメルチニブによる生存期間延長の報告があり、全生存期間中央値は未到達(95%CI 6,NR)であった。

 

10カ月時点で生存していた患者9人(25%)のうち、6人がエルロチニブ、1人が高用量のエルロチニブ、2人がオシメルチニブによる治療を受けていた。

 

高用量のエルロチニブ治療を受けた患者の80%は、初回治療として過去にエルロチニブ治療を受けており、臨床的奏効率は40%および病勢コントロール率は60%を示した。

 

本試験のポスター発表について考察したEls Wauters博士は、このデータは非常に興味深いと述べた。一般に、中枢神経疾患に対するEGFRチロシンキナーゼ阻害剤については、前向きランダム化試験のわずかなデータしか入手できない。これらの患者のケアは、集学的アプローチで個別化するべきである。そしてその治療は、中枢神経疾患の症状・程度、治療ライン、進行部位、中枢神経への薬物送達、および腫瘍の分子プロファイルに基づいて選択するべきである。

 

結論:以上の知見に基づき、研究者らは、チロシンキナーゼ阻害剤による治療歴があり、軟髄膜転移を有するEGFR変異陽性非小細胞肺がん患者において、チロシンキナーゼ阻害剤を用いた二次治療は生存期間を延長させることができると結論付けた。

 

さらに、ゲフィチニブまたはアファチニブを用いた治療の後に、エルロチニブを投与することは適切な治療戦略であり、また、二次治療でエルロチニブの投与量を増加させることによって、この患者集団において臨床的利益が得られる可能性があると結論付けた。

 

開示:外部資金は開示されなかった。

 

参考文献

144PD – Flippot R, Auclin E, Biondani P, et al. Leptomeningeal metastases in EGFR-mutated non-small cell lung carcinoma: Management after tyrosine kinase inhibitors.

翻訳坂下美保子

監修吉松由貴(呼吸器内科/飯塚病院)

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