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米国の特定地域で女性の肺がん死亡率低下が遅れている

  • 2018年4月17日
  • 発信元: 米国がん学会(AACR)

これらの地域には重点的タバコ規制プログラムが必要

 米国がん学会(AACR)

 

近年、米国の大半の州で女性の肺がん死亡率がかなり低下している一方で、アパラチア中央部と米国中西部南側にわたる地域、および中西部北側の地域の女性において死亡率低下が遅れていることが、米国がん学会の学術誌Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌で発表された研究により明らかとなった。

 

「米国全土で、肺がんの死亡率は2000年代半ばから女性の間で着実に低下しています」と、アトランタにあるエモリー大学Rollins School of Public Health 疫学部の大学院生Katherine Ross氏(公衆衛生学修士)は述べた。「肺がんの死亡率低下に地理的差異があるかどうか確かめようと思いました。重点的なタバコ規制・禁煙プログラムや、肺がん負荷を軽減するための他の介入によって、女性が恩恵を受ける可能性がある地域を米国内で特定できるのではないかと考えたのです」。

 

Ross氏らは1990~1999年から2006~2015年にかけて、アパラチア中央部および米国中西部南側にある21州669郡を網羅する地域で、特に減少が遅れている地区(重点地区)で女性の肺がん死亡率が13%上昇したことを確認した。同時期に、米国中西部の北側にある4州81郡を網羅する第2の重点地区では女性の肺がん死亡率が7%上昇した。隣接する他の州では、女性の肺がん死亡率は6%低下した。

 

研究者らはまた、各重点地区の女性の肺がん死亡率を米国の他の州と比較した。1990年代に、最大である第1の重点地区での死亡率は、非重点地区周辺の死亡率より4%低かったが、2015年には28%高かった。第2の重点地区については、死亡率が1990年代には非重点地区周辺より18%低かったが、2015年には非重点地区周辺の死亡率と同等であった。

 

「米国中西部およびアパラチア地域では、女性の喫煙率が最も高く、近年喫煙率低下の傾向が最も低いことが分かっているので、これらの地域の女性と他地域の女性では肺がん死亡率の格差があることは驚くに当たらないでしょう」とRoss氏は述べた。「これら重点地区における女性の喫煙率低下を具体的に進めない限り、この地理的格差は広がる可能性があります」。

 

「タバコ物品税引き上げや、職場、レストラン、バーでの喫煙を禁止する全面禁煙法など、有効なタバコ規制対策がいくつか実施可能です」とRoss氏は続ける。「しかし、私たちが確認したホットスポット内の州の多くでは、上述の対策が整備されていないか、比較的弱く強化の余地があります」。

 

研究実施のために、Ross氏らは米国国立がん研究所(NCI)の監視疫学遠隔成績プログラム(National Cancer Institute’s Surveillance, Epidemiology and End Results Program:SEER)のデータベースから女性の肺がんによる死亡者数のデータを用いて、1990~1999年から2006~2015年にかけて、隣接州の各郡における年齢調整肺がん死亡率を算出した。次に、各郡で2つの時期の死亡率の絶対的変化および相対的変化を算出した。

 

研究者らはArcGISというソフトウェアツールを用いて、2つの時期で肺がん死亡率が上昇または微減している郡が集まっている地域(重点地区)を特定した。

 

Ross氏によると、本研究の主な限界は、研究者らが確認した傾向がタバコ規制の差によるものであるかどうか結論を出せないことである。「さらに、女性の肺がん死亡率傾向について結論を出すために必要な死亡率に関する十分な情報が入手できなかった郡もあります。これは、本研究の結果がこれらの郡に当てはまらない可能性があることを意味します」。

 

Ross氏は利益相反がないと宣言している。

翻訳太田奈津美

監修廣田 裕(呼吸器外科、腫瘍学/とみます外科プライマリーケアクリニック)

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