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前立腺MRI検査で侵襲的生検を安全に回避できる可能性

Cancer Research UK

 

前立腺がんの疑いがある男性がMRI検査を最初に受ければ、そのうちの四分の一以上が侵襲的生検を回避できるとみられることが、新しい国際的研究によって示唆されている。

 

前立腺がんの疑いがある男性は、通常超音波ガイド下生検(経直腸超音波ガイド(TRUS)下生検とも呼ばれる)を受ける。この検査は前立腺から組織の小片を採取して、これらががんであるか否かを分析するものである。

 

しかし研究者らは、最初にMRI検査を行えば、この侵襲的検査を受ける必要のない男性を識別するのに役立つことを発見した。

 

「ヨーロッパ各地で質の高いMRI検査を実施できれば、現在生検を受けている100万人の男性のうちの四分の一以上が安全にそれを回避できる」-University College LondonのMark Emberton教授

 

この研究は、電子版New England Journal of Medicine誌で公表され、またコペンハーゲンで開催された欧州泌尿器科学会で発表された。

 

この研究は何を意味するか?

試験には、血液検査(PSA検査と呼ばれる)または直腸診の結果が異常であった500人の男性が参加した。これらの異常な結果は、前立腺がんの徴候である可能性がある。

・半分の男性は、標準的な生検を受けた。

・ 残りの半分の男性は、MRI検査を受け、検査の結果が異常であった場合は引き続き標的生検を受けた。標的生検は、MRI検査結果に基づいて行われるため、少ないサンプルで済む。

 

研究者らは、MRI検査を受けた男性の4人のうちおよそ1人は、検査で異常が認められなかったため、生検の必要がないことを発見した。また生検が必要であった男性については、MRI検査結果に基づいて生検が行われるため、採取するサンプルの数を減らすことができた。

 

「われわれは、MRIを受けた患者は標準の経直腸超音波ガイド(TRUS)下生検を受けた患者よりも副作用が少なかったということを発見した」。この研究を主導したUniversity College LondonのVeeru Kasivisvanathan博士は述べた。MRI検査は、前立腺のどの領域を調べるべきかを判断する上でより優れているので、「前立腺全体を無作為にサンプリングする必要はない」と、彼は付け加えた。つまり診断のために必要なサンプルが少なくて済むのである。

 

Cancer Research UKの前立腺がん専門家であるMalcolm Mason教授は、この研究は「UK PROMIS研究(外部リンク)の結果と一致する」と述べた。この研究も、前立腺がん診断におけるMRI検査の可能性を強調したものである。

 

576人の男性が参加したPROMIS研究においても、MRI検査によって、標準的な生検が必要な男性の数を四分の一減らすことができることが分かった。

 

前立腺がん診断の改善

前立腺がんの診断に使用されるいくつかの検査がある。前立腺がんの症状のある男性が受ける初期検査には、PSA検査と直腸診が含まれる。これらの検査が異常であった場合、男性は通常生検を勧められる。

 

「研究によって、PSA検査単独では治療の必要がない多くのがんが診断されることが分かっている」と、Masonは述べた。「私たちには、単なるPSA以上のものが必要であり、MRIは、さらなる検査と治療が必要な患者と必要でない患者を区別するのに役立つ」。

 

「このタイプのMRIの利用可能性を改善し、その使用方法を標準化するためにさらなる研究が必要である」。

 

参照:
Kasivisvanathan, V. et al. (2018) MRI-Targeted or Standard Biopsy for Prostate-Cancer Diagnosis. The New England Journal of Medicine. (link is external)

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*監修者コメント  榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院):

 本研究の結論は「生検前のMRI検査とMRI検査に基づいた標的生検によって、標準的なランダム生検の4分の1を安全に回避できる」というものですが、「安全に回避できる」とはどういうことでしょうか。

 この研究の主要評価項目は「臨床的に有意ながんの診断割合」です。MRI群では4分の1の患者は生検を回避したにも関わらず、臨床的に有意ながんはランダム生検群より多く診断されています。このことは、MRI群の診断プロトコールでは、ランダム生検よりも少ない生検数でより多くの有意ながんを検出したことを意味しています。

 もちろん、MRI診断と標的生検が高い品質で行われていることが前提であることはいうまでもありません。

翻訳畔柳祐子

監修榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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