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クラミジア感染で卵巣がんリスクが上昇

2018年米国がん学会(AACR)年次総会(4月14日~18日、イリノイ州シカゴで開催)に先立ち、マスコミ向けに公表されたデータによると、性感染症であるクラミジアに以前に感染したことのある女性の血中にみられる抗体は卵巣がんリスクを2倍にする。

 

「卵巣がんは比較的まれながんですが、このがんに罹患した女性の生存率は低く、 卵巣がんの原因の解明を進める必要があります。そうすることで、スクリーニングと治療を向上させ、最終的には生存率を改善することが可能になるでしょう」と、本試験の筆頭著者Britton Trabert医学博士(理学修士)および治験責任医師Earl Stadtman氏 (両氏ともに米国国立がん研究所(NCI)がん疫学・遺伝学部門所属)は語った。

 

以前の研究によれば、性感染症が原因であることの多い骨盤内炎症性疾患は卵巣がんと関連があることを示していると、Trabert氏は説明した。しかしながら、他の試験では性感染症と卵巣がんとの間になんら関連性は見出されていない。クラミジアは米国で最も多く報告されている性感染症である。そこで、Trabert氏のチームはクラミジアと卵巣がんとの間に考えられる関連性を検討することとした。

 

研究者らは異なる2試験のデータを調査した。一つは、2000年~2003年に卵巣がんと診断された女性278人と、対応する対照群556人を対象としたポーランドにおける試験である。もう一つは、前立腺がん、肺がん、大腸がん、および卵巣がんのスクリーニングに関するNCI依頼による試験で、診断前に採血を行い、追跡期間中に卵巣がんに罹患した女性160人と、対応する対照群159人を対象とするコホート内症例対照試験 である。ロジスティック回帰を用いて、クラミジア抗体と卵巣がんリスクとの関連についてオッズ比を計算した。

 

両方の試験集団において、pgp3(活動性クラジミア感染または既往のクラミジア感染の高精度マーカーであると考えられているタンパク質)に対する抗体を有する女性は、卵巣がんも発現していると診断される可能性が約2倍高かった。

 

Trabert氏は、クラミジアの他にヒトパピローマウイルス、単純ヘルペスウイルス、B型肝炎、およびC型肝炎など数種類の感染因子に対する抗体もこれらの試験で評価しており、卵巣がんリスクの増加とは関連性がないことが判明したと指摘した。

 

「他の感染因子に対する抗体との関連がないという事実は、クラミジア感染と卵巣がんとの関連性の特異性をまさに裏付けています」と、Trabert氏は語った。また、次の段階は、より大きな患者集団において、この試験で得られた知見を確認し、クラミジア感染が卵巣がんの特定のサブタイプに特異的に結び付いているかどうかを調査することであると述べた。同氏によると、例えば、以前の研究では、クラミジア感染によって引き起こされる可能性のある炎症と、一部の卵巣がんサブタイプのリスクとの関連が示されている。

 

この試験の最大の制限は、今回のマルチプレックス検査プラットフォームでは、骨盤内炎症性疾患のもう一つの原因として知られる淋菌に対する抗体を確実に試験する信頼性がなかったことであると、Trabert氏は述べた。

 

本試験はNCI所内研究プログラムから助成を受けた。Trabert氏は、利益相反がないことを申告している。

翻訳有田香名美

監修辻村信一(獣医学・農学博士、メディカルライター) 

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