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進行腎がんへのレンバチニブとエベロリムス併用について英NICEが評価

前治療歴のある進行腎細胞がんへのレンバチニブとエベロリムス併用について英国国立医療技術評価機構(NICE)が技術評価ガイダンスを発行

レンバチニブはエベロリムスとの併用で、進行腎細胞がん成人患者がVEGF標的治療を1度受けた後に適応

 

2018年1月24日、英国国立医療技術評価機構(NICE)は根拠に基づく推奨を発表し、前治療歴がある進行腎細胞がん(RCC)の成人に対するレンバチニブ(Eisai社、商品名:Kisplyx)とエベロリムスの併用を推奨した。レンバチニブとエベロリムスの併用は、過去に1度、血管内皮増殖因子(VEGF)標的治療を受けたことがある成人において進行腎細胞がんの治療選択肢の一つとして推奨されるが、患者のECOG(米国東海岸臨床試験グループ)全身状態(PS)が0または1であり、患者アクセス保障制度で合意されたディスカウント価格で製薬会社がレンバチニブを提供する場合に限る。

 

本推奨は、本ガイダンスが発表される前に英NHS(英国国民保健サービス)で開始されたレンバチニブとエベロリムスの併用治療に影響を及ぼさないものとする。本推奨と関係なく治療を受けている患者はそれを継続することができ、本ガイダンスが発行される前に用意された資金調達に変更がくわえられることはない。また、患者と英NHSの臨床医により治療の中止が妥当と判断されるまで、治療を継続できる。

 

英NHSでは、進行腎細胞がんがチロシンキナーゼ阻害剤を1度使用した後に進行した場合、アキシチニブ、ニボルマブ、またはカボザンチニブで治療する。

 

レンバチニブとエベロリムス併用の主な臨床エビデンスは、HOPE 205試験により示された。これは小規模非盲検第2相ランダム化比較試験で、レンバチニブとエベロリムスの併用(n=51)、レンバチニブ単独(n=52)、エベロリムス単独(n=50)の3種を比較したものである。クロスオーバーは不可とした。評価委員会は、レンバチニブとエベロリムスの併用とエベロリムス単独の比較に焦点を置くことで合意した。レンバチニブ単独は進行腎細胞がんの治療として認可されていないためである。本試験の主目的は、医師により評価された無増悪生存期間(PFS)で、二次的目的は全生存期間(OS)、腫瘍反応、および安全性だった。規制当局のリクエストにより、独立審査によるPFSが事後評価された。

 

HOPE 205試験では、レンバチニブとエベロリムスを併用した治療企図集団(ITT)の無増悪生存期間(PFS)中央値が、エベロリムス単独に比べて9.1カ月増加した(14.6カ月vs 5.5カ月、ハザード比(HR)0.40、95%信頼区間(CI)0.24 vs 0.68、p=0.0005)。評価委員会の述べたところによると、独立審査の事後評価によるPFSも類似していたが、治療グループ間の差はより小さく、PFSの中央値はレンバチニブとエベロリムス併用で12.8カ月、エベロリムス単独では5.6カ月、その差は7.2カ月だった(HR 0.45、95%CI 0.26 vs 0.79、p=0.003)。

 

全生存期間(OS)は、2015年7月の最新データに基づいた(追跡期間中央値はレンバチニブとエベロリムス併用で32.0カ月、エベロリムス単独で32.7カ月)。レンバチニブとエベロリムスを併用した患者は、エベロリムス単独の患者より長く生存した(生存期間の中央値は25.5カ月 vs 15.4カ月、HR 0.59、95% CI 0.36 vs 0.97、重層コックス比例ハザードモデルに基づく)。重層ログランク検定を用いたp値は0.065で、これはレンバチニブとエベロリムス併用の延命効果を示す根拠が統計的に乏しいことを反映していると、評価委員会は認識した。しかし周知の通り、HOPE205試験が注力したのは、治療グループ間における生存期間の統計学的有意な違いを検出することではない。

 

評価委員会は安全性特性を検討し、レンバチニブとエベロリムスを併用した患者(54.9%)のほうがエベロリムス単独の患者(42.0%)より高い割合で重篤有害事象が発生したと指摘した。レンバチニブとエベロリムスを併用したグループでは、72.5%の患者がグレード3以上の治療起因有害事象を発現したのに対し、エベロリムス単独では54.0%だった。またレンバチニブとエベロリムス併用グループでは、エベロリムス単独(54.0%)に比べ、より高い割合で患者がレンバチニブ(80.4%)またはエベロリムス(76.5%)の投与を中止した。その主な理由は有害事象である。

 

レンバチニブ+アクシチニブ、ニボルマブ、またはカボザンチニブを直接比較する試験がなかったため、製薬会社はネットワークメタアナリシスを用いて間接的にそれぞれの治療を比較した。それにはランダム化比較試験HOPE205、CHECKMATE-025、およびMETEOR(レンバチニブ+エベロリムス、ニボルマブ単独、もしくはカボザンチニブ単独とエベロリムス単独とをそれぞれ比較)が含まれ、分別多項式を用いて各治療のOSとPFS曲線を推定した。これにより製薬会社は、生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)においてはアクシチニブがエベロリムスと同等に効果的であると見なした。これはこの治療分野としては合理的な仮定であると過去の技術評価が認めたことで、評価委員会によって再認識された。評価委員会は、分別多項式を用いた製薬会社のネットワークが、意志決定において適切だったと結論づけた。

 

推奨される投与量は、レンバチニブ18mg (10mgのカプセル剤1個と4mgのカプセル剤2個)を1日1回と、エベロリムス5mgを1日1回である。

 

レンバチニブとエベロリムス併用の費用対効果を分析した結果、カボザンチニブ単独もしくはニボルマブ単独より効果的で安価だとわかった。アクシチニブに比べ、費用対効果の見積もりはNICEが通常許容可能と判断する範囲に収まっている。

 

レンバチニブのカタログ記載価格は、カプセル剤(4mgと10mg)が30個1パックで1,437ポンドである。

 

エベロリムスのカタログ記載価格は、5mgの錠剤が30個1パックで2,250ポンドである。

 

製薬会社は患者アクセス保障について保健省と合意した。この保障により、レンバチニブのカタログ記載価格に一定のディスカウントが適用されるほか、購入時や費用請求時のディスカウントも適用される。ディスカウントの幅は、営利上開示されない。保健省は、この患者アクセス保障がNHSに過度の管理上の負担をもたらすことはないと判断した。

翻訳田中深代

監修小宮武文(腫瘍内科/トゥーレーン大学)

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