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進展型の小細胞肺癌に対してイリノテカンが優れていることは確認できず

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進展型の小細胞肺癌に対してイリノテカンが優れていることは確認できず

Study Fails to Confirm That Irinotecan is Superior in Extensive-Stage Small Cell Lung Cancer
(http://cancer.gov/clinicaltrials/results/irinotecan-and-SCLC0505)
(Posted:05/14/2005) 2005年ASCO会議での報告によると、以前の結果と反対に、拡張期の小細胞肺癌の生存期間においてイリノテカンとシスプラチンは標準療法と同じ程度であった。


キーワード  小細胞肺癌、イリノテカン、エトポシド、シスプラチン

要約
進展型小細胞肺癌患者に対するイリノテカンとシスプラチン併用の延命効果は、標準療法と同じでした。このアメリカでの試験結果は、以前日本で行われた臨床試験の結果と異なるものでした。

出典  米臨床腫瘍学会総会(オーランド、2005年5月14日)

背景
小細胞肺癌患者の3分の2は、発見された時点で難治性の進展型です。進展型小細胞肺癌における標準療法は、トポイソメラーゼの阻害剤で癌細胞の増殖や分裂を妨げると考えられているエトポシドと、シスプラチンの併用療法です。標準療法による現在の生存期間中央値(約10ヶ月)を改善するために、さまざまな薬剤、さらにそれらの組み合わせがテストされています。

イリノテカンは、トポイソメラーゼ阻害剤に分類される、もうひとつの薬剤です。日本で行われた進展型小細胞肺癌の第3相臨床試験では、標準療法のシスプラチンとエトポシドの併用よりも、シスプラチンとイリノテカンを併用したほうが、より長い延命効果が得られるという結果が予備解析で示されたため早期終了となり、その結果は2002年に発表されました。今回の臨床試験は、この予備解析の結果を確認する目的で行われました。

臨床試験

この第3相臨床試験では、331名の進展型小細胞肺癌患者を対象に、イリノテカンとシスプラチンの併用群(221名)とエトポシドとシスプラチンの併用群(110名)に無作為な群分けが行われました。本試験は非盲検であったので、患者と医師の両者に対してどちらの併用療法を行っているのかが明らかにされています。すべての患者は2000年12月から2003年6月の間に登録され、また試験前に抗癌剤治療を一度も受けていませんでした。試験チームは、インディアナポリスにあるインディアナ大学のN.H.Hanna医学博士が主導しました。

結果
以前行われた日本での臨床試験結果に反し、イリノテカンとシスプラチンの併用療法による有意な延命効果は認められませんでした。1年生存率で比較すると、イリノテカン群が35%に対し、エトポシド群が36.1%でした。

また、治療による奏功率はイリノテカン群が52%に対しエトポシド群が51%、無増悪期間の中央値は4.1ヶ月対4.6ヶ月、生存期間の中央値は9.3ヶ月対10.2ヶ月と、いずれにおいても両群間で統計的に有意な差は認められませんでした。

日本の試験と同様、イリノテカン群では、深刻な吐き気、嘔吐、下痢が出やすく、エトポシド群では危険性のある骨髄抑制が出やすい傾向にありました。

制限事項
Hanna博士は、今回の試験と日本の試験とで結果が異なったのは、日本とアメリカの患者集団の差によるかもしれないと認めています。たとえば、同じ薬剤でも異なった代謝経路をとるような遺伝的な差が、両集団の間にはあるかもしれません。しかしながら、この点を明確する遺伝子解析のデータは収集されていません。

さらに、日本とアメリカとで生存率が異なった理由として、アメリカの試験でのイリノテカンのレジメンが、日本でのものと若干違っていたことも考えられます。しかし筆者らは、「私たちはイリノテカンのレジメンを、耐用性を向上させ、投与量を高め、効果を維持、あるいは改善するために、(日本のものから)変更した。」と説明し、この理由は考えにくいと言っています。

コメント
以前の有望な結果にもかかわらず、今回の試験では進展型小細胞肺癌に対するイリノテカン併用とエトポシド併用の間に有意な差は認められませんでした。どちらの薬剤を用いても、生存期間や再発率は同程度でした。一方で、両試験において、副作用の発現が一致していることは意味深いというのがHanna博士の意見です。「イリノテカンの効果を引き出すための最大限の努力にもかかわらず、吐き気や嘔吐の発生率が日本の試験と同じでした。」

(こばやし 訳・Dr.榎本 裕(泌尿器科) 監修)

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