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FDAがBRCA遺伝子変異転移乳がんの治療にオラパリブを承認

FDA速報

米国食品医薬品局(FDA)は本日、オラパリブ錠(商品名:Lynparza )を、転移性で、腫瘍に特定の遺伝性(生殖細胞系)遺伝子変異を有する乳がん患者の治療にも承認した。PARP阻害剤から、乳がん治療薬としてFDA承認を受けたのは初めてである。また、「BRCA」遺伝子変異を有する特定の転移性乳がん患者の治療薬としても、初のFDA承認薬となる。オラパリブでの治療が適応となる患者は、BRAC Analysis CDxと呼ばれるFDA承認済みの遺伝子検査によって特定する。

「このクラスの薬剤は、BRCA遺伝子変異を有する進行卵巣がんの治療に使われており、特定のタイプのBRCA遺伝子変異陽性乳がん治療での有効性も示されています」と、FDAのOncology Center of Excellence室長で、FDA医薬品評価研究センター(CDER)の血液・腫瘍製品室長代理でもあるRichard Pazdur医師は述べた。「今回の承認は、多くはがん種にわたって、がんの根本的な遺伝的原因を標的とした薬剤の開発という現在のパラダイムを実証しています」。

乳がんは、米国で最も一般的ながんである。国立衛生研究所に属する国立がん研究所によれば、今年、約252,710人の女性が乳がんと診断され、40,610人が乳がんで死亡すると推定される。 遺伝性乳がん患者の約20~25%、およびすべてのタイプの乳がんの患者の5~10%がBRCA遺伝子変異を有している。BRCA遺伝子は損傷したDNAの修復に関わっており、通常はがん化するのを防ぐために働く。しかしBRCA遺伝子に変異があることで、乳がんを含む特定のがんの発生につながる可能性がある。

オラパリブは、損傷したDNAの修復に関与する酵素を阻害するPARP(ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ)阻害剤である。この酵素を阻害することで、損傷したBRCA遺伝子を持つがん細胞内のDNAは修復されずに細胞死をもたらし、腫瘍の増殖が減速、または止まる可能性がある。オラパリブは、卵巣がんの特定の患者の治療を適応として、FDAが2014年に初めて承認された。今回は生殖細胞系列乳がん感受性遺伝子(BRCA)変異陽性、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性の転移性乳がんで、化学療法による治療歴のある患者の治療へ適応された。ホルモン受容体(HR)陽性乳がんは、過去にホルモン(内分泌)療法を受けているか、あるいは内分泌治療が不適切と判断された患者が対象となる。

またFDAは同日、オラパリブのコンパニオン診断薬として承認されているBRAC Analysis CDxの使用にも、乳がん患者からの血液試料中のBRCA変異の検出を含める形で承認を拡大した。

乳がん治療のためのオラパリブの安全性および有効性は、生殖細胞系列BRCA変異を有するHER2陰性転移性乳がん患者302人のランダム化臨床試験にもとづいている。本試験では、治療後、腫瘍が有意に増殖しなかった期間(無増悪生存期間)を測定した。オラパリブを服用した患者の無増悪生存期間の中央値は7カ月だったのに対し、化学療法のみを受けた患者では4.2カ月だった。

オラパリブの一般的な副作用には、赤血球の減少(貧血)、特定の白血球の減少(好中球減少症、白血球減少症)、悪心 、疲労、嘔吐、風邪症状(鼻咽頭炎)、気道感染、インフルエンザ、下痢、痛み(関節痛/筋肉痛)、味覚異常、頭痛、消化不良、食欲の低下、便秘および炎症および口内炎などが含まれる。

オラパリブの重篤な副作用には、特定の血液または骨髄のがん(骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病)および肺の炎症(肺臓炎)の発生が含まれる。オラパリブは発達中の胎児に害を及ぼすことがある。女性には胎児への潜在的なリスクがあることを伝え、有効な避妊手段を用いるよう勧告すべきである。また新生児にも害を及ぼす可能性があるため、オラパリブ服用中の女性は授乳してはならない。

本薬剤の承認申請には優先審査が認められた。重篤な病態の治療、診断または予防の安全性または有効性を大幅に改善するとFDAが判断し、優先審査を認めた薬剤申請については、6カ月以内に対応することを目標としている。

オラパリブはまた、BRCA変異を有し、3回以上の化学療法による治療歴がある進行卵巣がん患者の治療薬として、また再発性上皮卵巣がん、卵管がん、または原発性腹膜がんを有する患者で、化学療法が部分奏効または完全奏効した患者の維持療法として承認されている。

FDAはアストラゼネカ社に対しLynparzaを承認した。同局はまた、Myriad Genetic Laboratories社に対して、BRAC Analysis CDxを承認した。

翻訳片瀬ケイ

監修原 文啓(乳がん/四国がんセンター)

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