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卵巣がん診断に循環マイクロRNAの測定が有効な可能性

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卵巣がん診断に循環マイクロRNAの測定が有効な可能性

ダナファーバーがん研究所

卵巣がんに対して特異的な循環マイクロRNAを測定する非侵襲的診断ツールの開発

ダナファーバーがん研究所とブリガム&ウィメンズ病院(BWH)の研究チームは、人工知能を活用して卵巣がんを早期の段階で確実に検出する新たな手法の開発に取り組んでいる。研究チームは、卵巣がんの発症リスクに関与している循環マイクロRNA(遺伝物質の一種で小さな非コードRNA)のネットワークを特定した。循環マイクロRNAは、血液サンプルから検出することができる。本研究の結果はeLifeオンライン版に掲載されている。

 

大半の患者において、卵巣がんの診断が下されるときは既に進行しており、5年生存率はおよそ25%である。しかし、予期せず早期にがんが発見された患者は、生存率が著しく高くなっている。現在は、FDA承認の卵巣がんのスクリーニング診断方法が存在していないため、卵巣がんの遺伝的体質を持つ女性だけではなく、一般集団においても卵巣がんの早期発見は困難である。

 

しかし、超音波検査やタンパク質CA125の検出といった卵巣がんの早期発見検査は、高い偽陽性率を伴う。また、臨床試験での結果から、早期卵巣がんの発見にこうした検査を用いても生存率に大きく影響しないことがわかっている。ダナファーバーとブリガム&ウィメンズ病院の研究チームは、早期卵巣がんの真の陽性例の検出において感度と特異度がさらに高いツールの開発を追求した。

 

研究チームは、遺伝子の発現の調整に関与するゲノムのノンコーディング領域であるマイクロRNAと呼ばれる一連の分子を調べた。

 

「マイクロRNAはゲノムのコピーライターであり、遺伝子がタンパク質に転写される前にメッセージを組み替え、そうして校正した情報をゲノムに書き加えていきます」と、BWHの産婦人科医であり、本研究の主任著者であるKevin Elias医師は言う。

 

「本プロジェクトでは、ダナファーバーとブリガム&ウィメンズ病院の協働による相乗効果と、基礎研究者と臨床医の緊密な連携の成果が表れました。私の研究室では、10年間マイクロRNAについて研究していますが、Kevinが患者さんのサンプルを持って研究室を訪ねてきてからは、すぐにこのプロジェクトを開始しました」とダナファーバー放射線腫瘍学部の放射線・ゲノム安定性科主任であるDipanjan Chowdhury博士は述べている。

 

Elias、Chowdhuryらの研究室では、卵巣がん細胞と正常細胞のマイクロRNAプロファイルが異なることを発見した。マイクロRNAは、ゲノムコードの他の部分と異なり血中を循環しているため、血清サンプルから測定することができる。研究チームは、135人の患者(手術および化学療法を施行する前)から採取した血液サンプルのマイクロRNAの配列を解析し、卵巣がんと良性腫瘍、非浸潤腫瘍、健康な組織との間にあるマイクロRNAの違いを探すために、コンピュータープログラムを訓練する「トレーニングセット」を作成した。チームはこの機械学習アプローチを用いて、莫大な量のマイクロRNAデータを活用し、異なる予測モデルを開発した。卵巣がんと良性腫瘍を正確に区別したモデルは神経系ネットワークモデルとして知られ、マイクロRNA間の複雑な相互作用を反映している。

 

そして、このシークエンシングモデルを別の44人の患者からのサンプルに対して使用し、モデルの精度を検討した。モデルが正確であると確認できたため、複数の患者サンプルセットに展開し、合計859件の患者サンプルを用いてモデルの感度と特異度を測定した。結果、この新たな技術は、超音波検査よりも卵巣がんの予測能力においてはるかに優れていた。超音波検査では、異常が見られた検査結果のうち実際に卵巣がんである確率は5%未満であるのに対して、マイクロRNAを用いた検査では、異常が見られた検査結果の実際の卵巣がんの確率はほぼ100%となった。研究チームは最後に最終モデルを実際に応用するために、ポーランドのウッチで外科手術を予定している患者51人を対象に、マイクロRNA診断検査による診断予測を行った。この集団では、異常が見られた検査結果のうち実際の卵巣がんの症例は91.3%と、偽陽性率は極めて低かった。またマイクロRNA診断により異常を認めなかった患者のうち約80%は実際にがんでなかったことが確認された。この値はパップテストの精度に匹敵する。

 

「重要なのは、この検査による卵巣がんの誤診は極めて少なく、悪性腫瘍が認められない場合には陽性信号が検出されることは極めて低いです。これは有効な診断検査の特徴です。」とChowdhury博士は述べた。

 

本研究は、がんを識別するマイクロRNAの生物学的関連性を示す科学的根拠についても検討した。術前、術後に採取された血液サンプルにおいて、マイクロRNAの量に変化があることを発見し、がん組織を除去後には、マイクロRNAのシグナルが減少することが示唆された。実際の患者のサンプルから採取したがん細胞のマイクロRNAを画像化して、血清シグナルががん組織に由来することを確認した。

 

この診断ツールを基礎研究から実際の臨床に応用する上で、卵巣がんリスクの上昇に伴いマイクロRNAプロファイルがどのように変化するかを検証しなければならない。これには、対象となる女性を長期にわたって追跡し前向きに収集したサンプルが必要となる。研究チームはこのツールが卵巣がんリスクの高い女性だけでなく一般集団においても有益かどうか検討する予定である。

 

本研究は以下の団体からの助成により実施した:Robert and Deborah First Family Fund(NICHD K12HD13015)、婦人科腫瘍分野のRuth N. White Research Fellowship、Saltonstall Research Fund、Potter Research Fund、Sperling Family Fund Fellowship、Bach Underwood Fund、ポーランド科学財団および欧州連合Smart Growth Operational ProgrammeのFirst TEAMグラント、NIH P50CA105009、国防総省OC093426、OC140632およびTina Brozman Foundation。

原文掲載日

翻訳ステップアップ!チーム

監修前田 梓(医学生物物理学/トロント大学)

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