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転移乳がんプロジェクト、ゲノム・臨床・症例報告データをウェブで公開

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転移乳がんプロジェクト、ゲノム・臨床・症例報告データをウェブで公開

ダナファーバーがん研究所

Metastatic Breast Cancer (MBC) Project(転移性乳がんプロジェクト)は、クラウドソーシング、ソーシャルメディアを積極的に活用し、転移性乳がんの女性および男性に、研究協力を直接呼びかける取り組みである。本プロジェクトは、初回データリリースという一目標を達成した。プロジェクト2周年記念および4,000人目の参加者登録と時を同じくしてリリースされたデータは、一部の参加患者のゲノムデータ、診療記録から入手した治療歴やその他の情報、ならびに患者自身の治療体験報告を含む包括的なものである。

 

個人情報を非特定化して公開されたデータは、MBCプロジェクトのウェブサイトからアクセスできる。これが初めてのデータリリースであるが、患者や研究コミュニティー間でデータを共有することにより、臨床、分子、および治療に関する新たな洞察の発見を加速するために、今後も複数のデータ共有プラットフォームを利用して定期的に行う予定だ。

 

MBCプロジェクトは、マサチューセッツ工科大学とハーバード大学が共同設立したブロード研究所において、ダナファーバーがん研究所の協力のもと、非営利団体や患者とパートナーシップを組み実施されている。2015年10月に開始したこのプロジェクトは、転移性乳がんの生物学的理解を早急に深めることを目的としている。

 

米国の約155,000人の女性および男性が転移性乳がんに罹患している。生存期間の中央値は約3年であり、米国では毎年40,000人超が転移性乳がんで死亡し、女性のがん死亡数の14%を占めている。治療法は改善されてきているが、現在転移性乳がんに対する治癒的な治療法はない。

 

腫瘍サンプルの研究を行っている施設で治療を受けるのは、乳がん患者のごく一部のみであるため、意義のある研究を行うのに必要な多数の患者をリクルートすることが困難である。本プロジェクトは、研究への参加に対する障壁を低くするために、ソーシャルメディアや支援団体を通したアウトリーチキャンペーンを積極的かつ継続的に実施し、転移性乳がん患者を直接募集した。

 

プロジェクト開始後最初の7カ月間で米国全50州から2,000人を超える女性および男性の参加者を登録することができたことは、このアプローチの有効性を示している。これまでに、4,000人を超える患者が参加しており、その多くはプロジェクトの概念と視野に重要な情報およびフィードバックを提供している。

 

「患者さんとのパートナーシップは、ただ単に患者さんからサンプルを収集することだけではありません。患者さんと共に科学を進歩させていくという意味です」と、ダナファーバーの腫瘍内科医であり、ブロード研究所の準会員である、MBCプロジェクトの責任者Nikhil Wagle医師は述べた。

 

MBCプロジェクトは、基本的な人口統計情報や診療情報を集めるためのアンケート調査をはじめ、さまざまなデータを各参加者から収集する。参加者は、プロジェクトチームが診療記録、唾液サンプル、血液サンプル、および治療過程において収集された腫瘍組織を入手し分析することに同意する。

 

現在までに、3,900人を超える患者がアンケート調査に答え、2,400人を超える患者が診療記録と腫瘍サンプルの使用に同意した。また、1,400人を超える患者が唾液サンプルを提供した。

 

「患者さんは、プロジェクト名がつけられる前から、デザインや実行など、プロジェクトの進化に大きな影響を与えてきました」と、プロジェクトのoperations and scientific outreach部、准ディレクターであるCorrie Painter氏は述べた。「患者さんの熱意に押されて、われわれがもともと可能であろうと考えていたことをはるかに超えるプロジェクトとなりました」。

 

今日cBioPortal for Cancer Genomicsでリリースされたデータは、「治療歴」機能を使用した初の公開データである。非特定化された情報は、以下を含む。

 

• 腫瘍サンプルの全エクソーム解析データ(患者78人から得た103の腫瘍サンプルの変異と遺伝子コピー数の変動を含む)ならびに人口統計、診断、病理詳細、および治療歴に関するデータ(診療記録から入手)
• 患者自己報告情報(患者へのアンケート調査から得た人口統計、診断、治療反応、治療歴
など)

 

「われわれの知る限りでは、このレベルの患者体験と診療記録データがゲノムデータと共に公開ポータルにおいて提供されるのは、今回が初めてです」と、Wagle医師は述べた。「今までに前例がないことです」。

 

「患者さんは、われわれがデータの生成や組み立てを実現したこと、データを公にするという約束を守ったこと、また自らの経験をもとに形があり、かつ前向きなものを共に作り出すことができたということに、活気付けられています」と、Painter氏は述べた。

 

チームは、研究の進歩をできる限り加速させるために、独自の綿密な分析や出版に向けての作業を行う前にデータを公開している。今後、新しいデータセットは、シーケンシングの結果が入手可能になり次第、6カ月ごとに公開する予定である。

原文掲載日

翻訳小畑オーエンズ 和世

監修原 文堅(乳がん/四国がんセンター)

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