FDAがマントル細胞リンパ腫にアカラブルチニブを迅速承認

FDAがマントル細胞リンパ腫にアカラブルチニブを迅速承認

米国食品医薬品局(FDA)は2017年10月31日、1回以上の治療歴のある成人のマントル細胞リンパ腫患者の治療薬として、acalabrutinib[アカラブルチニブ](商品名:Calquence、アストラゼネカ社およびAcerta Pharma BV社)を迅速承認した。

今回の承認は、1回以上の治療歴のあるマントル細胞リンパ腫患者124人を対象とした第2相非盲検試験(LY-004/NCT02213926)の結果に基づくものである。

本試験は、アカラブルチニブ100 mgを1日2回、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで経口投与するというものであった。

主要エンドポイントである全奏効率(治験医師評価)は81%(95% CI: 73%、87%)であり、そのうち、完全奏効率は40%(95% CI: 31%、49%)であった。治験医師評価による全奏効率は独立審査委員会による評価と高い割合(91%)で一致していた。奏効期間中央値は追跡期間の15.2カ月よりも長いことが示された。最良効果の奏効期間中央値は1.9カ月であった。

多くみられた(アカラブルチニブ服用患者の20%以上)有害反応は、貧血、血小板減少症、頭痛、好中球減少症、下痢、疲労、筋肉痛および皮下出血であった。有害反応によりアカラブルチニブの減量または投与中止に至った患者は、それぞれ全体の1.6%、6.5%であった。最も多く報告された(5%以上)グレード3または4の有害反応は、好中球減少症、血小板減少症および貧血であった。

アカラブルチニブの推奨用量は、100 mgを1日2回(約12時間ごと)の経口投与である。

処方箋情報(添付文書)についてはこちらから。

FDAは今回の承認に先立ち、マントル細胞リンパ腫を適応症としたアカラブルチニブを画期的治療薬/オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定し、優先審査を適用していた。そのため、今回の承認は審査期日の約14週間前に得られた。FDAの迅速承認プログラムの詳細は、企業向けのガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム–医薬品および生物学的製剤」で閲覧可能である。

医療従事者は、医薬品および医療機器の使用との関連が疑われるすべての重篤な有害事象をFDAのMedWatch Reporting Systemに報告する必要がある。報告は、オンラインでのフォームの提出、オンラインで入手可能なフォームの郵送(料金受取人払)・FAX(1-800-FDA-0178)、または電話(1-800-FDA-1088)のいずれかの方法で行う。

Oncology Center of Excellenceのツイッターのフォローはこちらから@FDAOncology

最近の承認情報が得られるOCEの新ポッドキャスト「Drug Information Soundcast in Clinical Oncology(D.I.S.C.O.)」はこちらから。

翻訳担当者 宮原和子

監修 林 正樹(血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

リンパ腫に関連する記事

CD19 CAR-T細胞療法が最も有益なB細胞リンパ腫の特徴が判明の画像

CD19 CAR-T細胞療法が最も有益なB細胞リンパ腫の特徴が判明

MDアンダーソンニュースリリース 2025年6月18日  ● この種の研究では最大規模となる研究で、臨床アプローチの指針となるリンパ腫の生物学に関する新たな知見が得られる
 
  ...
米FDAが再発・難治性濾胞性リンパ腫にタファシタマブ-cxixを承認の画像

米FDAが再発・難治性濾胞性リンパ腫にタファシタマブ-cxixを承認

2025年6月18日、米国食品医薬品局(FDA)が、再発・難治性濾胞性リンパ腫(FL)の成人患者を対象に、レナリドミド+リツキシマブとの併用でtafasitamab-cxix[タファシ...
【ASCO2025】年次総会注目すべき追加研究・LBA ①の画像

【ASCO2025】年次総会注目すべき追加研究・LBA ①

ASCOの見解(引用)5月30日-6月3日イリノイ州シカゴおよびオンラインで開催された2025年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会では、がんのさまざまな部位にわたる幅広いテー...
【ASCO25】ダナファーバー①乳がん、大腸がん標準治療の再定義、KRASG12C肺がん、脳リンパ腫、前立腺がんの画像

【ASCO25】ダナファーバー①乳がん、大腸がん標準治療の再定義、KRASG12C肺がん、脳リンパ腫、前立腺がん

以下の研究結果は、2025年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表された。• ダナファーバーの研究は、希少がんや悪性腫瘍に対する有望な治療法もサポートしている。研究...